トピックス
９月の概況と１０月の見通し
まいわし
まいわしは、まき網では道東沖、常磐沖、山陰沖、九州西岸（長崎、鹿児島）等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまき網漁は、１日あたり１，３００～４，５００トンと、前月よりもまとまった漁獲がみられ、釧路・広尾に水揚げした。また、山陰沖では、まいわし主体に漁獲され、９月下旬の魚体は２０～６５ｇ主体であった。一方で、道東沖では引き続きまいわし棒受網漁が行われ、花咲・厚岸・浜中に水揚げされた。また、三陸では定置網による漁獲もみられた。
９月上中旬の主要港における水揚量（以下「９月上中旬の水揚量」という。）は４７，０００トンで、前月の４．８倍、前年同月から３６％増加した。価格は６４円／ｋｇで、前月の９％高、前年同月の９％安であった。
消費地（東京）におけるまいわしの入荷先は、北海道主体に長崎等からであった。９月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から２８％減少した。価格は前月の１０％安、前年同月の１８％高であった。
引き続き小型サイズ主体の水揚げとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいと見込まれます。
さば類
さば類は、まき網では常磐沖、静岡～高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖（五島沖）・東シナ海中南部、九州西岸（長崎、鹿児島）等で漁獲された。さば類の漁獲は九州が中心で、西沖ではまあじ・まさば主体に漁獲された。９月中旬の西沖の魚体は２００～２４０ｇおよび３２０～４００ｇ主体であった。一方、三陸沖では、９月に入り沖合底曳網の操業が解禁され、宮古・石巻等に水揚げした。また、三陸沿岸では前月に引き続き定置網による漁獲がみられたほか、富山湾では定置網、伊豆諸島ではたもすくい網による漁獲がみられた。
９月上中旬の水揚量は６，０００トンで、前月から１０％増加し、前年同月から１２％減少した。価格は１２１円／ｋｇで、前月並み、前年同月の７％安であった。
消費地（東京）におけるさば類の入荷先は、まさばは岩手・宮城・三重主体に富山・長崎等から、ごまさばは岩手主体に宮城・三重・長崎等からであった。９月上中旬の入荷量は前月から２９％増加し、前年同月から１０％増加した。価格は前月の１８％高、前年同月の８％高であった。
さば類の水揚げは全般的に低調ながらも増加すると予想され、東京への入荷量は増加するものの、需要期であることから、卸売価格はやや強含みと見込まれます。
するめいか
小型いか釣船の漁場は、日本海側では北海道西～道南～秋田～北陸～山陰～九州北部の広範囲に形成された。一方、太平洋側では道東～青森～岩手県沖に漁場が形成され、昼いか釣主体の漁を行った。９月に入ると、三陸各地で沖合底曳網漁が解禁され、八戸・宮古・石巻を中心にまとまった水揚げが続いた。また、少量ではあるものの、前月に引き続き三陸の定置網による漁獲もみられた。
一方、中型いか釣船（船凍）による日本海のするめいか漁は、８月以降、能登半島沖や隠岐海峡等で長く続かなかったことから、９月上旬は山陰～対馬沖でけんさきいか漁を行った。中旬になると、大和堆に漁場が形成され、するめいかを漁獲したものの、漁模様は低調であった。
９月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は４，２００トンで前月の７．３倍、前年同月から４５％増加した。価格は８１３円／ｋｇで、前月の８％安、前年の１０％安であった。
消費地（東京）におけるするめいかの入荷先は、青森主体に岩手・宮城・石川・福井等からであった。９月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から１７％減少し、前年同月から９％増加した。価格は前月の３％安、前年同月の５％安であった。
引き続き三陸沖の底曳網でまとまった漁獲がみられるものの、小型いか釣船の水揚げは全国的に低調に推移すると予想され、生鮮物の東京への入荷量は横ばい、全国的に水揚量が少ないことから、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじ
まあじは、まき網では常磐沖、三重～高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖（五島沖）・東シナ海中南部、九州西岸（長崎・鹿児島）等で漁獲されたものの、全般的に低調に推移した。東シナ海では、西沖はまあじ・まさば主体に漁獲され、９月上中旬の西沖の魚体は１００～１２０ｇ主体であった。また、少量ではあるものの、引き続き三陸の底曳網と定置網による漁獲がみられた。
９月上中旬の水揚量は２，８００トンで前月から２９％増加し、前年同月から３６％減少した。価格は２７２円／ｋｇで、前月の３％安、前年同月の４％高であった。
消費地（東京）におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に宮城・石川・鳥取・島根・愛媛・山口・佐賀等、中小あじは宮城・長崎等、小・豆あじは三重主体に静岡・高知等からであった。９月上中旬の入荷量は前月から３０％増加し、前年同月から２５％増加した。価格は前月の１８％安、前年同月の８％安であった。
今後、山陰や九州を中心とした水揚げが続き、産地の水揚量は前月並みで推移すると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばい推移すると見込まれます。
かつお
かつお近海竿釣船の主漁場は三陸北部沖に形成され、９月中旬には青森県の沖合、下旬には常磐の沿岸寄りにも漁場が形成された。かつお主体の漁獲で、気仙沼中心に水揚げされた。魚体は、上中旬は２ｋｇ台主体、下旬は３～４ｋｇ台主体であった。
かつお・まぐろまき網の漁場は、襟裳沖～常磐沖に広く形成された。かつお主体の漁獲は三陸沖でみられ、気仙沼中心に大船渡・石巻・塩釜・中之作・小名浜等に水揚げした。
９月上中旬の生鮮かつおの水揚量は５，９００トンで前月から３１％減少し、前年同月の２倍であった。価格は２７８円/ｋｇで、前月の１８％高、前年同月の３３％安であった。
消費地（東京）におけるかつおの入荷は、宮城主体に北海道・伊豆諸島・長崎等からであった。９月上中旬の入荷量は前月から１３％減少し、前年同月から２９％増加した。価格は前月の５２％高、前年同月の６８％高であった。
今後も三陸沖を中心とした漁獲が続くとみられるものの、漁期終盤で産地の水揚量は徐々に減少すると予想され、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
さんま
さんま棒受網の主漁場は、花咲沖の２５０～２６０海里付近および３３０～６００海里付近に形成され、花咲を中心に厚岸、釧路、八戸、釜石、大船渡、気仙沼、女川に水揚げされた。９月下旬には道東・三陸合計で１日あたり１，４００トンを超える水揚げもみられ、低水準ではあるものの、近年では比較的好調に推移した。魚体は８０～１１０ｇ主体で、前年と比べて比較的太り具合のよいものもみられた。
９月上中旬の水揚量は４，４００トンで前月の６．８倍、前年同月から７３％増加した。価格は６５３円/ｋｇで、前月の１８％高、前年同月の１１％高であった。
消費地（東京）におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手・宮城からであった。９月上中旬の入荷量は前月の５．６倍、前年同月から６７％増加した。価格は前月、前年同月並みであった。一方、冷凍さんまの９月上中旬の入荷量は１０トンで、生鮮さんまの水揚量が増加したことから、前年（２３トン）・前年同月（２７トン）を下回った。
中短期漁況予報によれば、今後の道東・三陸・常磐海域への来遊量は少ないとみられるものの、需要期であることから、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
（水産情報部）