10月1~23日の全国主要港の生鮮スルメイカ水揚量(速報値)は前年同期比20%増の2083トンだった。主要港のうち、北海道室蘭は419トン(前年は実績なし)、岩手県宮古は2・1倍の473トン、宮城県石巻は2・8倍の430トン。いずれも底引網物が主体となった。
今期は黒潮系北上暖水の勢力が強く、9月ごろまで岩手沖まで張り出していた。九州西岸で生まれた稚イカが黒潮で流され、成長しながら黒潮系北上暖水で三陸に移送されて漁獲対象になった。
1~23日の水揚量は前年を上回ったものの、スルメイカの不漁は続く。同期間の平均浜値はキロ713円だった。釣物より相場安となる底引網物の水揚げが多く、前年同期比では3割安となったが、長引く不漁により高値水準が続いている。
漁獲可能量(TAC)について、沖底の漁獲枠が上限に近く、留保分から手当てしないと唯一獲れている沖底の操業がストップする。獲れる地域や時期、獲れる漁法の偏りが年々大きくなる傾向にある。TACの弾力的な運用が必要であろう。
(みなと新聞取材)