まいわしは、まき網では道東沖、青森県沖、常磐沖、山陰沖、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまき網漁は、1日あたり1千~3千トンのまとまった漁獲が8日間みられ、釧路・広尾に水揚げした。また、道東沖では引き続きまいわし棒受網漁が行われ、花咲・厚岸中心に水揚げされた。魚体は55~60gの小中羽主体であった。一方、三陸では定置網による漁獲もみられた。
8月上中旬の主要港における水揚量(以下「8月上中旬の水揚量」という。)は9,800トンで、前月から86%減少し、前年同月から59%増加した。価格は59円/kgで、前月の13%高、前年同月の39%安であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道主体に千葉・鳥取・長崎等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から44%減少し、前年同月から43%減少した。価格は前月の17%高、前年同月の32%高であった。
今後も小型サイズ主体で、鮮魚サイズの水揚げは少ないとみられ、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みと見込まれます。
さば類は、まき網では八戸沖、常磐沖、静岡~和歌山県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。八戸沖では、上旬のみであったが前月に引き続きさば類の漁獲がみられ、8月の水揚量(1,100トン)は前年同期を上回った。山陰沖や東シナ海ではまあじ主体にさば類混じりで漁獲された。8月上旬の山陰沖の魚体は、240~320g主体であった。一方、三陸では定置網でまとまった漁獲がみられたほか、富山湾では定置網、伊豆諸島ではたもすくい網による漁獲がみられた。
8月上中旬の水揚量は5,500トンで、前月から10%減少し、前年同月から48%増加した。価格は121円/kgで、前月の7%安、前年同月の18%安であった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは宮城主体に岩手・千葉・富山等から、ごまさばは千葉主体に宮城等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から27%減少し、前年同月から4%減少した。価格は前月の4%安、前年同月の14%安であった。
さば類の水揚げは引き続き低調に経過すると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいと見込まれます。
小型いか釣船の漁場は、北海道南~秋田~北陸~山陰~九州北部の広範囲に形成されたが、全般的に低調な漁模様であった。主漁場は引き続き能登半島沖に形成され、低調ながらも金沢の水揚量は前月を上回った。一方、太平洋側では青森~岩手県沖に漁場が形成され、昼いか釣主体の漁を行った。また、前月に引き続き三陸の定置網や底曳網による漁獲もみられた。
一方、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁は、8月中旬まではするめいかの群れがいなかったことから、山陰~対馬沖でけんさきいか漁を行った。下旬になると、小型いか釣り船と同じ能登半島沖でまとまった漁獲がみられた。
8月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は580トンで前月から18%増加し、前年同月の2.5倍であった。価格は887円/kgで、前月の16%高、前年の14%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、石川主体に青森・岩手・宮城・福井・新潟等からであった。8月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から16%増加し、前年同月の2.5倍であった。価格は前月の4%安、前年同月の17%安であった。
9月になると三陸の沖合底曳網によるするめいかの漁獲が再開されるものの、全国的に低調な水揚げが続くと予想され、生鮮物の東京への入荷量は横ばい、全国的に水揚量が少ないことから、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では常磐沖、三重~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部、九州西岸(長崎)等で漁獲された。山陰沖や東シナ海では、まあじ主体に漁獲された。境港で水揚げされたまあじの魚体は60~200g主体、松浦は100~240g主体であった。また、少量ではあるものの、引き続き三陸の底曳網と定置網による漁獲がみられた。
8月上中旬の水揚量は2,200トンで前月から42%増加し、前年同月から15%増加した。価格は280円/kgで、前月の26%安、前年同月の14%安であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に宮城・石川・鳥取・島根・山口・佐賀等、中小あじは宮城・高知・佐賀・長崎等、小・豆あじは三重主体に千葉・静岡・高知等からであった。8月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から66%増加した。価格は前月の11%安、前年同月の24%安であった。
盛漁期が過ぎ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばい推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の主漁場は、8月上中旬は三陸北部沖、下旬は南下し、茨城県~三陸南部沖に形成された。いずれの漁場もかつお主体の漁獲で、気仙沼主体に水揚げされ、魚体は2~4kgが中心であった。
また、かつお・まぐろまき網漁は、8月上旬は青森県沖、中下旬は東北北部沖および常磐沖~房総半島沖に漁場が形成された。かつお主体にくろまぐろ・きはだ・きめじ等を漁獲し、気仙沼主体に大船渡・石巻・小名浜等に水揚げした。
8月上中旬の生鮮かつおの水揚量は8,500トンで前月から50%増加し、前年同月から87%増加した。釣り、まき網ともに漁場が比較的近かったこともあり、気仙沼に水揚げが集中し、8月の水揚量は好調に推移した。価格は235円/kgで、前月の30%安、前年同月の35%安であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に伊豆諸島・長崎等からであった。8月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から38%増加した。価格は前月の15%安、前年同月の23%高であった。
今後も三陸を中心とした水揚げが続くとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
今期のさんま棒受け網漁は、漁船のトン数階層に関係なく8月10日に公海への出漁が解禁になった。前年よりも3日早い16日に花咲に67トン、17日に厚岸に70トン初水揚げした。また、本州(大船渡・気仙沼・女川)でも前年より早い23日に初水揚げした。漁場は花咲東沖の340~380海里付近および420~520海里付近であった。魚体は90~130g主体で、前年と比べてやや大きかった。
8月中旬までの水揚量は640トン、価格は554円/kg、下旬の水揚量は1,900トン、価格は888円/kgであった。今年は大型船の出漁が前年よりも早まったこと、6~7月に行ったサンマ資源量直接推定調査において確認されたまとまった群れを漁獲できたことから、水揚量は前年同月を上回った。
消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手・宮城からであった。8月上中旬の入荷量は前月の7.3倍、前年同月の3.3倍であった。価格は前月の6%安、前年同月並みであった。
今後、漁期が進むにつれて東京への入荷量は増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。
(水産情報部)