まいわしは、まき網では道東沖、青森県沖、三陸~常磐沖、山陰沖、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまき網漁は20船団が操業し、釧路・広尾に水揚げした。7月上中旬は1日あたり1千500~6千800トンを水揚げしたものの、下旬は300~2千トンと低調に推移した。八戸では、7月に入っても1日あたり1千トンを超える水揚げが続き、前年よりも好調であった。また、道東沖では引き続きまいわし棒受網漁が行われたほか、三陸では定置網による漁獲もみられた。
7月上中旬の主要港における水揚量(以下「7月上中旬の水揚量」という。)は7万トンで、前月の2.9倍、前年同月から14%増加した。価格は52円/kgで、前月の21%安、前年同月の3%高であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道・青森・岩手・宮城・千葉・長崎等からであった。7月上中旬の入荷量は前月から39%減少し、前年同月から6%減少した。価格は前月の26%高、前年同月の21%高であった。
今後、小型サイズ主体とみられ、鮮魚サイズの水揚げは少ないことから、東京への入荷量は減少し、卸売価格は強含みと見込まれます。
さば類は、まき網では八戸沖、常磐沖、静岡~和歌山県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。八戸沖では、前年より遅い7月下旬からさば類が漁獲され始めた。山陰沖や対馬沖ではまさば主体、西沖や東シナ海中南部ではまあじ主体にさば類混じりで漁獲された。7月下旬の対馬沖の魚体は、240~320g主体であった。一方、三陸では前月に引き続き定置網や底曳網によるまとまった漁獲がみられ、大船渡、石巻主体に水揚げされた。また、富山湾では定置網、伊豆諸島ではたもすくい網による漁獲がみられた。
7月上中旬の水揚量は6千トンで、前月から71%減少し、前年同月から17%増加した。価格は131円/kgで、前月の31%高、前年同月並みであった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは宮城主体に岩手・千葉・三重・長崎等から、ごまさばは宮城主体に岩手・千葉・静岡・三重等からであった。7月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から3%増加した。価格は前月の11%高、前年同月の3%安であった。
各地のさば類の水揚げは、夏場にかけて低調に経過すると予想され、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みと見込まれます。
小型いか釣船の漁場は、北海道西~道南~山形~北陸~山陰~九州北部の広範囲に形成されたが、水揚げは全般的に極めて低調であった。主漁場は能登半島沖に形成され、7月中~下旬は漁獲が上向いたものの、例年と比べて低調な漁模様が続いた。一方、太平洋側では下北半島~岩手県沖に漁場が形成され、昼いか釣主体の漁を行った。また、前月に引き続き三陸の定置網や底曳網による漁獲もみられた。7月下旬には、八戸沖のまき網漁にするめいかが混じったが、水揚げは2日間のみであった。
一方、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁は、7月上旬は能登半島沖で漁を行った。中旬には八戸・三沢沖でも操業したものの、漁獲量が落ちたことから、下旬後半には全船が能登半島沖に再度移動し操業した。
7月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は490トンで前月から61%増加し、前年同月から69%増加した。価格は767円/kgで、前月の7%安、前年の19%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、石川主体に北海道・青森・岩手・宮城・福井等からであった。7月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月並み、前年同月から60%増加した。価格は前月並み、前年同月の19%安であった。
今後も低調な水揚げが続くと予想され、生鮮物の東京への入荷量は横ばい、全国的に水揚量が少ないことから、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では常磐沖、三重県~和歌山県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲され、全般的に低調であった。九州西沖・東シナ海中南部では、まあじ主体に漁獲された。東シナ海中南部の魚体は80~120g主体と小さかった。また、前月に引き続き三陸の底曳網や定置網による漁獲がみられ、水揚量は前月、前年同月を上回った。
7月上中旬の水揚量は1千500トンで前月から72%減少し、前年同月から19%増加した。価格は378円/kgで、前月の76%高、前年同月の15%安であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは宮城主体に石川・山口・高知・佐賀・長崎等、中小あじは宮城・三重・長崎等、小・豆あじは三重主体に千葉・静岡・高知等からであった。7月上中旬の入荷量は前月から32%減少し、前年同月から30%増加した。価格は前月の41%高、前年同月の20%安であった。
盛漁期が過ぎ、今後水揚げは低調に推移するとみられ、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の漁場は、青森~岩手県沖および三陸南部沖に形成された。7月上旬前半は前月に引き続きびんなが主体の漁獲であったが、徐々にかつお主体に切り替わった。気仙沼主体に水揚げされ、かつおの魚体は2~4kg台が中心であった。戻りがつおのような脂のりの良いものが多く、気仙沼の7月の価格は305円/kgと、前年同月(290円/kg)よりも高値であった。
また、かつお・まぐろまき網漁は、近海竿釣り船と同様に青森県沖および三陸沖主体に漁場が形成された。青森県沖ではかつお・くろまぐろ主体、三陸沖ではかつお主体に漁獲し、気仙沼主体に八戸、石巻、中之作、大船渡等に水揚げした。
7月上中旬の生鮮かつおの水揚量は5千800トンで前月から26%増加し、前年同月から18%減少した。価格は329円/kgで、前月の13%高、前年同月並みであった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に岩手・伊豆諸島・千葉・三重等からであった。7月上中旬の入荷量は前月から11%増加し、前年同月から18%増加した。価格は前月の7%高、前年同月の38%高であった。
例年、8月の竿釣りはお盆で休漁する船がみられるものの、当面は好調な漁獲が続くと予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
(水産情報部)