まいわしは、まき網では道東沖、八戸沖、三陸(岩手)~常磐沖、四国沖、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。道東沖では、例年どおりミール向けを主体とするまき網漁が始まり、6月20日に釧路・広尾に合計4千600トンを初水揚げした。八戸では6月に入り、1日あたり1千トンを超える水揚げが8日間みられ、6月の水揚量は前年同月の2.4倍であった。この時期主力となる銚子の水揚量は1千500トンで、前年同月比19%と低調に推移した。銚子のまいわしの魚体は体重45gの中羽主体であった。一方で、道東沖では6月に入り、まき網漁に先駆けて、まいわし棒受網漁が始まった。また、三陸では定置網による漁獲もみられた。
6月上中旬の主要港における水揚量(以下「6月上中旬の水揚量」という。)は2万4千トンで、前月の2.2倍、前年同月から9%増加した。価格は66円/kgで、前月の31%安、前年同月の17%安であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道・千葉主体に岩手・宮城・長崎等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から51%増加し、前年同月から24%減少した。価格は前月の5%安、前年同月の6%高であった。
今後、東京への入荷量は横ばいと見込まれるものの、入梅いわしの時期でもあり、末端のニーズが強くなることから、卸売価格はやや強含みと見込まれます。
さば類は、まき網では常磐沖、静岡県~和歌山県沖、山陰沖、九州対馬沖・東シナ海中南部、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。山陰沖ではまさば主体に漁獲され、境港では1日あたり170~960トンの水揚げが続き、6月の水揚量は前年同月の2.2倍であった。東シナ海では、対馬沖でまさば主体に漁獲され、主に松浦に水揚げされた。一方、三陸では底曳網や定置網によるさば類のまとまった漁獲が続き、大船渡・石巻主体に水揚げされた。大船渡の6月の水揚量は前月の3.9倍、前年同月の1.8倍と好調に推移した。また、前月に引き続き富山湾では定置網、伊豆諸島ではたもすくい網による漁獲がみられた。
6月上中旬の水揚量は2万1千トンで、前月の2.4倍、前年同月から36%増加した。価格は100円/kgで、前月の17%安、前年同月の5%安であった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは宮城主体に岩手・千葉・富山・鳥取等から、ごまさばは宮城・千葉主体に静岡等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から3%減少し、前年同月から14%減少した。価格は前月の4%安、前年同月の3%安であった。
今後、夏場にかけて各地のさば類の水揚げは低調に経過すると予想される。東京への入荷量はやや減少し、卸売価格は強含みと見込まれます。
小型いか釣船の漁場は、北海道南~山形~北陸~山陰~九州北部の広範囲に形成されたものの、水揚げは全般的に極めて低調であった。主漁場は能登半島沖に形成されたが、能登半島地震の影響で操業隻数が例年に比べて少ないこともあり、低調な漁模様であった。また、6月に入り、道南(桧山、松前、函館)でも水揚げが始まったが、極めて低調に推移した。一方、太平洋側では下北半島~岩手県沖に漁場が形成され、昼いか釣主体の漁を行った。また、三陸の定置網や底曳網、富山湾の定置網による漁獲も引き続きみられた。
一方、6月に入り、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁が始まり、能登半島沖で漁を行った。開始当初は漁模様が良かったものの、その後は月夜もあり、低調に推移した。
6月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は290トンで前月の3.8倍、前年同月から26%減少した。価格は792円/kgで、前月の5%安、前年同月並みであった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、石川主体に青森・秋田・山形・新潟・福井、富山、長崎等からであった。6月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月の2.4倍、前年同月から8%減少した。価格は前月並み、前年同月の39%高であった。
本来なら夏から秋に向けて水揚量が徐々に増加する時期ではあるが、今後も各地の水揚げは極めて低調に推移すると予想され、生鮮物の東京への入荷量は横ばい、全国的に水揚量が少ないことから、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では常磐沖、三重県沖、山陰沖、九州対馬沖・東シナ海中南部、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。東シナ海中南部で、まあじ主体に漁獲され、唐津や松浦、枕崎の水揚量は前年同月を上回り、好調に推移した。魚体は体重100g前後主体であった。また、少量ではあるものの、前月に引き続き三陸の底曳網や定置網による漁獲がみられた。
6月上中旬の水揚量は5千500トンで前月から10%減少し、前年同月の2倍であった。価格は216円/kgで、前月の14%高、前年同月の18%安であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に石川・鳥取・島根・山口・福岡・高知・佐賀・長崎・福岡等、中小あじは高知・長崎等、小・豆あじは三重主体に宮城・高知・静岡等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から3%増加し、前年同月から39%増加した。価格は前月の4%安、前年同月の23%安であった。
今後も九州を中心とした水揚げが続くとみられ、東京への入荷量は横ばい、需要期であることから卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の漁場は、東北北部沖~東海地方沿岸まで広く形成された。6月前半はかつお主体の漁獲だったが、後半には例年よりも北寄りの八戸東沖でびんながのまとまった群れが見つかり、近海竿釣り船のほぼ全船が集中した。このため、6月下旬以降、気仙沼ではかつおの水揚げは低調に推移したものの、気仙沼、千葉県勝浦ともに6月の水揚量は前年同月を上回った。
また、かつお・まぐろまき網漁は、6月上中旬は東北~房総沖、伊豆諸島周辺海域、下旬は近海竿釣り船と同じ八戸東沖でかつお主体に漁獲し、気仙沼主体に大船渡、石巻、千葉県勝浦等に水揚げした。
6月上中旬の生鮮かつおの水揚量は5千100トンで前月の3倍、前年同月から42%増加した。価格は287円/kgで、前月の27%安、前年同月の25%安であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、千葉・宮城主体に伊豆諸島・神奈川・静岡・三重・和歌山・愛媛等からみられた。6月上中旬の入荷量は前月から23%増加し、前年同月並みであった。価格は前月の22%安、前年同月の6%高であった。
7月に入っても青森県沖では近海竿釣り船によるびんながの漁獲が続いているが、かつおの漁獲は三陸沖主体に順調に推移するとみられ、東京への入荷量はやや増加、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
(水産情報部)