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2024年06月14日
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vol.1315 記事一覧

4月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1. 近海竿釣り船の漁場

4月の近海カツオ竿釣り船の漁場は前月に主漁場だった南西諸島の漁獲が低迷し、伊豆小笠原列島沿いで操業する船が増加した(図1)。カツオ主体に漁獲された漁場の1日1隻あたり漁獲量は海域全体の月平均で4.7トン/隻・日で、前月より増加した。海域別では、南西諸島周辺は3.9トン/隻・日、伊豆小笠原列島沿いでは5.7トン/隻・日であった(図1)。年初から伊豆小笠原列島沿いの海面水温は20℃以上でカツオが分布できる水温帯となっており、カツオは徐々に北上しているものと見られる。

2. 水揚量と価格

4月の全国の釣りによる生鮮カツオの水揚量は1,467トンで(図2)、前月より増加したが、引き続き前年・過去5年平均を下回った。水揚量が最も多かったのは鹿児島県鹿児島港だった(625トン)。千葉県勝浦港は、伊豆小笠原列島沿いでの操業が増加したため入港隻数が増加し、水揚量は前月より大幅に増加した(395トン)。また、愛媛県愛南は430トンで前月を上回り、同港の4月の水揚量としては近年では最も多かった。

全国平均価格は500円/kgで、前月よりやや安くなったが、前年・過去5年平均を上回った(図2)。最も水揚量が多かった鹿児島港の価格は467円/kg、勝浦港は659円/kgと、高値基調であったのに対し、愛南は397円/kgで比較的安かった。

3. 今後の見通し

伊豆小笠原列島沿いで漁獲されたカツオの多くは千葉県勝浦港に水揚げされる。勝浦港に水揚げされたカツオは特特大銘柄(6~7.7kg)が最も多かった(図3)。小銘柄と小々銘柄(1.4~2.2kg)は全体の30%程度で、前月(10%)より増加した(図3)。この小サイズの群れは秋の東北沖の戻り鰹につながることが期待され、この増加傾向は東北各港にとっては良いニュースになるだろう。一方、勝浦港で水揚げされ始めたのは4月中旬以降で、前年と比べると小サイズの水揚げ開始時期が遅く、現状では盛況とは言えない状況だ。直近の海況では伊豆諸島周辺の海面水温は20℃以上であるが、遠州灘や熊野灘には暖水の波及はあまり見られず、カツオの漁場は遠州灘には広がらず、伊豆南部海域にとどまっている。また、黒潮続流は東北沖に北上する流路となっており、常磐海域へ暖水の張り出しがみられるが、カツオにとってはまだ水温は低い。しばらくは銚子より南で操業されると予想する。

(水産情報部)

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