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2024年06月14日
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vol.1313 記事一覧

4月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 全国のマイワシの水揚動向と価格

JAFIC主要港におけるマイワシ(全国)の2024年4月の水揚量は65,820トンで、前月の52,022トンを上回り、前年同月も上回った。価格は84円/kgで、前月・前年同月を上回り、2020年以降で最も高値であった(図1、2)。

 4月の水揚の主体は三陸南部~犬吠と日本海であった。三陸南部~犬吠では前年同月並みで、日本海では前年同月を上回った(図3)。三陸南部~犬吠の漁場は三陸南部~常磐、日本海の漁場は隠岐海峡~山口県見島沖に形成された。

2. 太平洋側のマイワシについて

石巻港:4月のマイワシ(まき網・定置網主体)の水揚量は5,684トンで前月を上回り、前年同月を下回った(図4)。価格は77円/kgで全国平均を下回った。三陸南部沖まき網の漁獲物は、体長15.5~17cm、体重40~50gの1~3歳魚主体に体長18~19cm、体重50~60gの2~4歳魚混じりであった(図5、6)。

銚子港:4月のマイワシ(まき網)の水揚量は29,956トンで前月を上回ったが、前年同月並みであった(図7)。価格は89円/kgで全国平均を上回った。鹿島灘の漁獲物は、体長17.5~19cm、体重50~60gの2~4歳魚が主体であった(図8、9)。

3. 日本海側のマイワシについて

境港:4月のマイワシの水揚量は17,174トンで前月・前年同月を大きく上回った(図10)。価格は71円/kgで全国平均を下回った。隠岐海峡~鳥取県見赤崎沖の漁獲物は、体長16~18cm、体重50~70gの1~3歳魚が主体であった(図11、12)。

4. 全国のさば類の水揚動向と価格

JAFIC主要港におけるさば類(全国)の2024年4月の水揚量は10,046トンで、前月の6,733トンを上回り、前年同月を下回った。価格は108円/kgで、前月を下回り、前年同月並みであった(図13、14)。

4月の水揚の主体は九州であり、前年同月並みであった(図15)。九州の漁場は対馬周辺~九州西沖であった。また、日本海の水揚量は前年を大きく下回った。

5. 太平洋側のマサバについて

石巻港:4月の水揚量は828トンで、定置網とまき網により漁獲されたものが水揚げされ、前月・前年同月を上回ったが低調であった。

6. 日本海・東シナ海側のマサバについて

境港:4月の水揚量は1,645トンで前月を上回り、前年同月を大きく下回った(図16)。

松浦港:4月の水揚量は2,779トンで前月・前年同月を上回った(図17)。対馬沖の漁獲物は、体長(尾叉長)32~34cm、体重500~580g主体の2歳魚以上に小型の1歳魚が混じった。東シナ海中・南部海域の漁獲物は、体長30~33cm、体重460~520g主体の2歳魚以上に1歳魚が混じった(図18、19)。

7. 全国のマアジの水揚動向と価格

JAFIC主要港におけるマアジ(全国)の2024年4月の水揚量は5,315トンで、前月の4,112トンを上回り、前年同月並みであった。価格は215円/kgで、前月・前年同月を下回った(図20、21)。

4月の水揚の主体は九州であり、前年同月を上回った(図22)。九州の漁場は九州西沖~東シナ海中・南部海域であった。

8. 東シナ海側のマアジについて

松浦港:4月の水揚量は1,803トンで、前月・前年同月を上回った。東シナ海中・南部海域の漁獲物は、体長(尾叉長)18~26cm、体重100~280gの1~2歳魚が中心であった(図23、24)。

8. まとめと今後の動向

マイワシは三陸南部~犬吠と日本海を中心に順調に漁獲されている。三陸南部(仙台湾)と鹿島灘~犬吠埼では、前者の漁獲物がより小型となっており、魚価や漁況をみながら漁場の選択が行われているようである。この背景には、近年の常磐~三陸海域の高水温により、未成魚の越冬場所が従来の常磐海域から三陸南部にシフトしていることが考えられ、今後の魚群の北上にともなう魚体組成や来遊量水準の変化に注目したい。日本海では山陰西部で好漁が続く一方、北海道西岸で広くマイワシの漂着が観察されている。高い資源量水準と日本海沖合域の高水温を反映したものと考えられるが、今後の状況を注視していく必要がある。

4月の全国のさば類の水揚量はマサバを中心に低調であった。水揚げの中心は九州西沖~東シナ海中・南部海域であり、前年並みを維持したが、日本海の水揚量は前年の33%にとどまった。例年5月には九州西沖~東シナ海中・南部海域での漁獲量が低下する一方、山陰西部では盛漁期を迎える。マサバ対馬暖流系群の資源状態には大きな変化はないものとみられるが、今後の動向に注意が必要である。一方、マサバ太平洋系群では、近年の低調な漁獲水準を反映して資源量の下方修正が行われており、今後も大規模なまき網漁場の形成は難しいものと思われる。しかしながら、近年の黒潮大蛇行にともない黒潮続流が三陸中部まで北上一方、親潮勢力が弱い状態が続くなかで、沖合域を中心に分布・回遊状況が十分把握されているとは言えず、今後の漁況の変化に引き続き注目していく必要があろう。

4月の全国のマアジの水揚量は前月を上回り、前年並みであった。漁場は九州西沖~東シナ海中・南部海域が中心であった。九州の水揚量は前年同月の139%と上回っていた。マアジ対馬暖流系群の長期漁海況予報(予測期間4~9月)によると、沖合域・沿岸域とも前年・平年を下回る(東シナ海)、前年並みで平年を下回る(日本海)とされているが、4月の水揚量は九州では予報を上回り、日本海では予報を下回った。今後マアジの盛漁期に入ることから、動向に注目したい。

(水産情報部)

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