JAFIC主要港におけるマイワシ(全国)の2024年3月の水揚量は46,957トンで、前月の40,923トンを上回ったが、前年同月の半分程度に落ち込んだ。価格は78円/kgで、前月を下回ったが、前年同月を上回り、2020年以降で最も高値であった(図1、2)。
3月の水揚の主体は三陸南部~犬吠、日本海、九州地域であった。全地域で前年同月を下回り、特に太平洋側で顕著であった(図3)。三陸南部~犬吠の漁場は三陸南部~常磐、日本海の漁場は隠岐海峡~山口県見島沖、九州の漁場は対馬周辺~九州西沖に形成された。
石巻港:3月のマイワシ(定置網主体)の水揚量は1,894トンで前月・前年同月を下回った(図4)。三陸南部沖まき網の漁獲物は、主に体長15~17cm、体重30~50gの範囲にあり、1~3歳魚主体に4歳魚混じりであった。定置網の漁獲物は16~18cm、体重40~60gの範囲にあり、2~3歳魚主体に4歳魚混じりであった(図5、6)。また、脂肪量については、多い個体と少ない個体が混ざっており、それぞれ産卵前と産卵後の個体と考えられる。
銚子港:3月のマイワシ(まき網)の水揚量は19,262トンで前月並みであったが、前年同月の6割程度にとどまった(図7)。鹿島灘の漁獲物は、体長16cm、体重40gにモードを持つ1、2歳魚が主体で3、4歳魚混じりであった(図8、9)。
境港:3月のマイワシの水揚量は12,353トンで前月から大きく増加したが、前年同月を下回った(図10)。隠岐海峡~山口県見島沖の漁獲物は、体長17~19cm、体重50~80gの1~3歳魚が主体であった(図11、12)。また、脂肪量については、太平洋側と同様に脂肪量が多い個体と少ない個体が混ざっていた。
JAFIC主要港におけるさば類(全国)の2024年3月の水揚量は5,840トンで、前月の25,631トンを下回り、前年同月を下回った。価格は128円/kgで、前月・前年同月を上回った(図13、14)。
3月の水揚の主体は九州地域であり、全地域で前年同月を下回った(図15)。九州地域の漁場は対馬周辺~九州西沖であった。
松浦港:3月の水揚量は2,337トンで前月を下回り、前年同月並みであった(図16)。九州西沖の漁獲物は、体長(尾叉長)26~33cm、体重200~500g主体の2歳魚以上に小型の1歳魚が混じった(図17、18)。
JAFIC主要港におけるマアジ(全国)の2024年3月の水揚量は3,069トンで、前月の2,339トンを上回り、前年同月を下回った。価格は295円/kgで、前月・前年同月を下回ったものの、2023年に次いで高い水準であった(図19、20)。
3月の水揚の主体は九州地域であり、三陸南部~犬吠地域を除き前年同月を下回った(図21)。九州地域の漁場は九州西沖であった。
松浦港:3月の水揚量は1,374トンで、前月を上回り、前年同月並みであった(図22)。九州西沖の漁獲物は、体長(尾叉長)22~25cm、体重120~220g主体の2歳魚以上であった(図23、24)。
3月の全国のマイワシ水揚量は前月並みで、前年同月を下回り、漁獲の中心は三陸南部~常磐と隠岐海峡~山口県見島沖、対馬~九州西沖であった。太平洋系群のマイワシ長期漁海況予報(予測期間1~6月)によると、2歳魚以上の来遊量は前年並みの高水準であるが、1歳魚の来遊量は前年を下回ると予測されている。太平洋側では3月は1~3歳魚主体に漁獲され、漁獲量は前年を下回ったため、1歳魚の来遊量の減少や操業日数の減少が要因と考えられる。また、日本海側では2月下旬以降まき網によるマイワシの漁獲がまとまっており、3月に入っても隠岐海峡~対馬周辺で漁獲が続き、九州西沖でも近年みられなかったまとまった漁獲があった。対馬暖流系の長期漁海況予報(予測期間2023年11月~2024年3月)では東シナ海における来遊量は前年・平年を上回るとされており、予報を下回った要因として操業隻数に違いは見られなかったことから来遊量が予測を下回ったことが原因と考えられる。対馬暖流系群のマイワシ長期漁海況予報(予測期間2024年4~9月)によると、前年並みで平年を上回る(東シナ海)、前年並みで平年を下回る(日本海)とされており、今後の動向を注視したい。
3月の全国のマサバの水揚量は低調であり、漁獲の中心であった日本海および東シナ海側の水揚量も前年同月を下回った。対馬暖流系群のマサバ長期漁海況予報(予測期間2023年11月~2024年3月)によると、1歳魚と2歳魚以上を主体に漁獲量は東シナ海では前年・平年並み、日本海側では前年並みで平年を上回るとされている。3月の水揚量は日本海・東シナ海側では予報を下回った。対馬暖流系群のマサバ長期漁海況予報(予測期間2024年4~9月)によると、沖合域、沿岸域とも前年・平年並み(東シナ海)、前年を下回り平年を上回る(日本海)とされており、今後の動向を注視したい。
3月の全国のマアジの水揚量は前年を下回った。漁場は九州西沖が主体であった。マアジ対馬暖流系群の長期漁海況予報(予測期間2023年11月~2024年3月)によると、11~3月は1~2歳魚主体に、来遊量は前年並み(東シナ海)、前年を下回る(日本海)とされており、東シナ海・日本海とも3月の水揚量は予報どおりであった。また、対馬暖流系群のマアジ長期漁海況予報(予測期間2024年4~9月)によると、沖合域、沿岸域とも前年・平年を下回る(東シナ海)、前年並みで平年を下回る(日本海)とされており、両海域の動向に注目したい。
(水産情報部)