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2024年03月29日
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vol.1296 記事一覧

2月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1. 近海竿釣り船の漁場

本年の近海カツオ竿釣り船は1月下旬頃から数隻が出漁し、例年と同様に漁期が始まった。2月に入ると出漁する船は増加し、32隻が九州以南で操業した(図1)。2月上旬は例年漁場となる硫黄島南東海域でカツオ大銘柄を主体に漁獲した(図2)。この多くは千葉県勝浦港に水揚げされたとみられ、同港へ2月に水揚げされたカツオの魚体組成を見ると、6kg以上(2歳程度)が主体で、例年同様だった。中旬以降は、硫黄島南東海域の平均漁獲量が低下し、近年初漁期に活況になる南西諸島周辺での平均漁獲量が好調(7.7トン/隻・日)だった。そのため、漁場が南西諸島周辺へ移り、主に薩南海域でカツオ大銘柄を主体に漁獲した(図2)。同海域で漁獲されたカツオの多くは鹿児島県鹿児島港へ水揚げされたとみられる。しかし南西諸島周辺の好調は長くは続かず、硫黄島南東海域の平均漁獲量も減少し、下旬の中型竿釣り船全体の平均漁獲量は低水準(3.1トン/隻・日)になった(図2)。

2. 水揚量と価格

2月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は624トンで(図3)、前年同月比144%で過去5年平均並だった。鹿児島港への水揚量が365トンで最も多く、前年同月比4.3倍だった。一方、勝浦港は181トンで、前年同月比58%だった。例年この時期に勝浦港に水揚げされるカツオの漁場は、伊豆諸島はるか南方だが、今年は硫黄島南東海域で漁獲量が少なく、中旬以降の南西諸島周辺での漁獲が増加したため、勝浦港への水揚量が去年より少なく、鹿児島港への水揚げが増加したとみられる。

全国平均価格は489円/kgとなり、前年・過去5年平均を上回った(図3)。最も水揚量が多かった鹿児島港の価格は前年同月より安かったが、水揚量2番目の勝浦港、3番目の愛媛県愛南町で前年より高く、全国平均が前年と過去5年平均を上回ったとみられる。

3. 今後の見通し

日本近海は平年より水温が高めで、特に伊豆小笠原列島より西の黒潮以南は海面水温20℃以上となっており、カツオが来遊しやすい海況といえる。3~4月の漁場は、暖水が波及する高知県沿岸や、黒潮に沿った海域での形成が期待される。直近の海況では黒潮は潮岬沖で離岸しており、熊野灘や遠州灘は海面水温が低いため漁場形成は少ないとみられる。今後は、伊豆小笠原列島の海面水温20℃以上の海域を北上した群れや、黒潮沿いに西方から北上した群れが伊豆諸島周辺に到達し、春~初夏にかけて同海域での漁が期待される。

(水産情報部)

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