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2024年02月28日
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vol.1285 記事一覧

令和6年1月の海況について

黒潮大蛇行は1月も継続し、三陸沖では黒潮続流の北偏も続いて、海面水温は近年(2011~2020年)よりかなり高めの状態であった。日本海も一部海域では近年より低めであったが、おおむね高めの状態であった。

黒潮域

・黒潮流軸は、九州南東沖では小蛇行が発達し、やや離岸したが、四国沖はおおむね前月並の離岸状況であった。潮岬沖の蛇行部は停滞して前月とほぼ同じ位置にあったが、御前崎沖(図1-⑤)では流軸の屈曲部が再び発達して遠州灘沖に張り出し、伊豆諸島付近では前月よりやや北の新島~三宅島を流れて房総半島に接岸した。

・熊野灘~遠州灘(図1-⑤)では屈曲部が発達した影響で暖水が波及し、海面水温は近年より1~2℃高めであった。

・黒潮外側の関東南東沖(図1-④)や小笠原や南鳥島周辺(図1-③)では、平年に比べて風が強く日射量が少なかった影響で、海面水温が近年より低めの海域がみられた。

・小笠原東沖(図1-②)では暖水が北上した影響で、海面水温が近年より高めの海域が拡大した。西日本南沖(図1-①)でも海面水温が近年より高めの状態が続いた。

親潮域・混合水域

・黒潮続流は、常磐では前月よりやや接岸し、三陸では引き続き接岸して、最北上部は40°N付近に達して停滞した(図1-⑥)。

・常磐~三陸沖では黒潮続流の北偏のため、沿岸から沖合にかけての広い範囲で海面水温が近年より5℃以上高めの状態が続き、三陸沖合(図1-⑥)では近年より10℃以上高めの海域もみられた。

・三陸北部~襟裳岬南沖(図1-⑪)では、津軽暖流系の暖水渦(図1-E)は衰退したが、黒潮続流から暖水が波及し、海面水温が近年より低めの海域はほぼ消滅して4~6℃高めに転じた。

・根室南東沖や道東のはるか沖(図1-⑦)の海面水温は、黒潮続流の沖合の峰付近(図1-⑧)からの暖水波及が続き、近年より高めの海域は前月より拡大して4~5℃高めの海域が広がった。

・親潮面積は平年(1993~2017年)よりかなり小さい状態が続き、第1分枝(図1-⑨)は襟裳岬付近に停滞し、第2分枝(図1-⑩)は暖水に覆われて不明瞭であった。

東シナ海

・平年に比べて風が弱く、気温が高く、日射量も多かった影響で、海面水温は近年より高めの海域が拡大した。

日本海

・対馬暖流の勢力は平年(1993~2017年)よりかなり強めの状態が続いた。主な流路は、隠岐諸島沖を北上して大和堆の北に達し、富山湾北沖~佐渡西沖を南下して東北沖では離岸した。

・対馬暖流の北上や離岸の影響で、大和堆北沖や東北沖(図1-⑮)の海面水温は近年より2~4℃高めであった。北海道西沖(図1-⑯)の海面水温も対馬暖流系水の影響で1~2℃高めであった。

・山陰沖と能登半島北沖~佐渡西沖(図1-⑬)では(図1-⑬)は、冷水の南下の影響で、海面水温が近年よりやや低めの海域がみられた。

・朝鮮半島沿岸や北部沖(図1-⑰)では、平年に比べて風が強く、日射量も少なかった影響で、海面水温が近年より低めの海域が拡大した。

オホーツク海

・1月下旬に流氷が北海道に接岸し始め、オホーツク海の氷域面積はおおむね平年並みで推移した。

今後1か月の見通し

・2月15日現在、九州南東沖に冷水渦があり、黒潮流路は九州東岸で離岸しているが、反時計回りの冷水渦に沿って反流が発生し、黒潮系暖水が九州東岸に接岸している。蛇行部はやや東進して石廊崎沖の30~31°Nまで南下した後、石廊崎沖を北上して三宅島~八丈島を通過している。

・過去5回(1975~1980年、1981~1984年、1986~1988年、1989~1990年、2004~2005年)の黒潮大蛇行の終了前4カ月間の流路分布(図2-①)をみると潮岬沖で接岸していた。一方、2024年1月は潮岬沖で離岸しており(図2-②)、蛇行部も西よりに位置している。このため、今回の大蛇行は少なくとも今年の4~5月までは継続すると考えられる。

・黒潮の今後1か月の流路は、九州南東沖の冷水渦が東進するため九州~四国沖では離岸するが、冷水渦に沿って暖水が沿岸に波及するため、九州~四国沿岸域の海面水温は一時的に近年より高めとなる見込みである。熊野灘~遠州灘では、黒潮流軸の屈曲が2月上旬に一時的に縮小したが、2月中旬現在は再び1月並みに発達しため、この海域の海面水温は1月同様に近年より1~2℃高めの見込みである。

・気象庁の季節予報によれば、2月中旬~3月中旬の1か月間月における本州の気温は平年より高めとなる確率が高い。このため、関東南東沖の黒潮外側域では、海面水温が近年より低めの海域は縮小し、西日本南沖の海面水温は引き続き近年より高めで推移する見込みである。

・親潮域・混合域の今後1か月の海面水温は、気象庁の予測によると黒潮続流が3月上旬までは1月並みに北偏する見込みであるため、常磐~三陸沖では高めの状態が続き、近年より5℃以上高めの海域が広がると考えられる。

・道東~三陸北部沖では、親潮が平年(1993~2007年)より弱いと見込まれ、黒潮続流からの暖水波及も継続しつつ145°E付近まで東進するため、襟裳岬~道東沖には親潮系冷水が差し込む余地が出来る。そのため、海面水温が近年より高め海域は縮小し、近年より低めの海域が生じると考えられる。

・日本海の海面水温は、気象庁によれば対馬暖流が平年よりかなり強い状態が続くと見込まれ、冬型の気圧配置も弱いと予測されるため、近年より低めの海域は縮小すると考えられる。

(海洋事業部)

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