石巻港:12月の水揚量は2,569トンと前月並みで前年を下回り(表1)、過去5年平均(9,688トン)も大きく下回った。価格は前月・前年を上回った。
銚子港:12月の水揚量は6,639トンで前月・前年を上回ったが(表2)、過去5年平均の25,496トンを大きく下回った。価格は前月を下回り、前年並みであった。
鹿島灘~三陸北部沖の漁獲物は、体長(尾叉長)22~28cm、体重100~220g主体の0~2歳魚であった(図1、2)。主な漁場は釜石港北灯台~金華山沖、犬吠埼沖に形成された。
松浦港:12月のマサバの水揚量は3,137トンで、前月・前年を上回り(表3)、過去5年平均(1,250トン)を上回った。価格は前月・前年を上回った。
境港:12月のマサバの水揚量は1,983トンで前月・前年を大きく上回り(表4)、過去5年平均(394トン)を大きく上回った。価格は前月・前年を大きく上回った。
大型まき網は対馬海域主体に操業した。対馬海域の12月のマサバ漁獲量は5,319トンで前年と過去5年平均を大きく上回った。対馬海域の漁獲物は、体長(尾叉長)30~34cm、体重360~600gの1~2歳魚が主体であった(図3、4)。
松浦港:12月の水揚量は1,202トンで、前月を上回り、前年を下回った(表5)。過去5年平均(1,094トン)並みであった。価格は前月を下回り、前年を上回った。大型まき網の漁場は、九州西沖海域主体に形成された。九州西沖海域の12月の漁獲量は52,650トンで、前年と過去5年平均を上回った。九州西沖海域の漁獲物は、体長(尾叉長)21~24cm、体重140~200gの1歳魚が主体であった(図5、6)。
太平洋側のさば類(主にマサバ)の水揚量は、石巻港は前年を大きく下回り、低調であった。銚子港の水揚量は前月・前年を上回ったものの、過去5年平均の2割程度と低調であった。この原因として、常磐~三陸中部海域における黒潮続流の北偏や接岸により、産卵南下群が沖合を回遊したことなどが考えられる。太平洋系群のマサバ長期漁海況予報によると、1~6月は犬吠埼以北のまき網では低調であった前年並、三陸海域の定置網、底びき網では前年並と予測されている。また、1月も水温が高めの状態は解消されないと予測されている。今後の動向に注視したい。
一方、大型まき網による東シナ海(対馬沖)の12月のさば類(主にマサバ)の漁獲量は前年・過去5年平均を大きく上回った。また、境港の12月のマサバ水揚量も前年を大きく上回り、過去5年平均も大きく上回った。マサバ対馬暖流系群の長期漁海況予報によると、11~3月は0~1歳魚主体に前年並みの来遊量で、主漁場は対馬周辺海域とされていたが、12月の漁獲量は予報を上回った。対馬周辺海域での今後の動向を注視したい。
12月の松浦港のマアジの水揚量は前年を下回った。一方、まき網による東シナ海(九州西沖)の12月の漁獲量は11月に続き前年を上回った。マアジ対馬暖流系群の長期漁海況予報によると、11~3月は0~1歳魚主体に、来遊量は前年並み(東シナ海)~前年を下回る(日本海)とされるが、11月と12月の対馬海域・九州西沖海域・東シナ海中南部海域の合計水揚量は1,972トンであり前年の1,288トンを上回っている。また、上記の長期予報によると東シナ海の主漁場は、九州西沖と対馬周辺海域となるとされるため、両海域の動向に注目したい。
(水産情報部)