トピックス

2023年12月19日
トピックス一覧
最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.1265 記事一覧

11月の概況と12月の見通し

まいわし

まいわしは、道東沖でタモすくい網、三陸沿岸で定置網、九州(長崎、鹿児島)西岸でまき網による漁獲がみられた。道東沖では、まき網漁の終漁後もタモすくい網漁が行われ、花咲、浜中、厚岸に水揚げされた。魚体は45~85gの小中羽~中羽主体であった。

11月上中旬の主要港における水揚量(以下「11月上中旬の水揚量」という。)は1千500トンで前月から97%減少し、前年同月から91%増加した。価格は119円/kgで、前月の48%高、前年同月の22%高であった。

消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道主体に青森からであった。11月上中旬の入荷量は前月から26%減少し、前年同月から28%増加した。価格は前月の68%高、前年同月の30%高であった。

産地の水揚げは低調に推移し、鮮魚サイズは少ないとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいからやや強含みと見込まれます。

さば類

さば類は、まき網では八戸沖、三陸~常磐沖、三重県~和歌山県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲された。例年、三陸~常磐沖では水温の低下により南下群がまとまって漁獲されるが、今年は八戸、石巻、銚子主体に数十~600トンの水揚げが数日みられたのみであった。常磐沖のまさばの魚体は160~200gのローソクサイズ主体であった。東シナ海では、対馬沖はまさば・ぶり主体にごまさばを、西沖はまさば主体にごまさばを漁獲した。さば類の水揚量は唐津で1千300トン(前月比342%)、松浦で4千100トン(前月比158%)、長崎で1千600トン(前月比149%)と、前月よりも好調であった。西沖の魚体は300~340gの小サイズ主体であった。一方、三陸沖では沖合底曳網による漁獲がみられ、石巻では1日あたり数十~240トンの水揚げが続いた。三陸沿岸では引き続き定置網による漁獲もみられた。また、少量ではあるものの、伊豆諸島水域ではたもすくい網によるごまさばの漁獲がみられた。

11月上中旬の水揚量は1万2千トンで、前月から30%増加し、前年同月から12%増加した。価格は170円/kgで、前月の19%高、前年同月の55%高であった。

消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは岩手主体に北海道・宮城・千葉・富山・三重・長崎等から、ごまさばは岩手・宮城・千葉・静岡・三重からであった。11月上中旬の入荷量は前月から14%増加し、前年同月から5%増加した。価格は前月の4%安、前年同月の4%高であった。

今後、三陸~常磐沖の漁獲が上向くと予想され、東京への入荷量は増加し、卸売価格は弱含みで推移すると見込まれます。

するめいか

小型いか釣船は、日本海側では北海道北~道南~山形~北陸~山陰沖に、太平洋側(昼いか釣主体)では道東~青森県~岩手県沖に漁場が形成されたものの、全般的に極めて低調であった。また、三陸各地では底曳網による漁獲がみられ、八戸、宮古、石巻主体にややまとまった水揚げがみられた。

一方、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁は、11月上中旬は大和堆周辺で、下旬は隠岐諸島北で操業したものの、徐々に時化で休漁する船が増加した。1日1隻あたりの漁獲量は数~600箱と船間差・日間差が大きかった。

11月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は780トンで前月から49%減少し、前年同月並みであった。価格は1,143円/kgで、前月の9%高、前年同月並みであった。

消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、北海道・青森主体に岩手・山形・福島・新潟・鳥取等からであった。11月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から41%減少し、前年同月から8%減少した。価格は前月の16%高、前年同月の18%高であった。

低調なまま漁期終盤を迎え、生鮮物の東京への入荷量は少なく・横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

まあじ

まあじは、まき網では常磐沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲されたものの、低調に推移した。山陰沖ではまあじ主体に漁獲され、境港で水揚げされたまあじの魚体は100~140gの小サイズ主体であった。東シナ海ではまさば主体にまあじも漁獲され、西沖の魚体は140~160の小~中小サイズ主体であった。また、少量ではあるものの三陸の底曳網・定置網による水揚げがみられた。

11月上中旬の水揚量は2千300トンで、前月並み、前年同月から15%減少した。価格は300円/kgで、前月の4%安、前年同月の33%高であった。

消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に千葉・鳥取・福岡・佐賀・大分等、中小あじは千葉・静岡、小・豆あじは三重主体に岩手・石川・愛知・京都・高知等からであった。11月上中旬の入荷量は前月から15%増加し、前年同月から9%減少した。価格は前月の4%安、前年同月の28%高であった。

今後も低調な漁獲が続くとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

かつお

かつお近海竿釣船の漁場は三陸沿岸、伊豆諸島周辺海域に形成され、かつお主体の漁を行った。1日1隻あたりの平均漁獲量は0.8~1.3トンで、11月に入り、三陸沖の操業を切り上げる船が増え、11月下旬には今期の水揚げが終了した。主産地である気仙沼の今期の水揚量は1万4千トンで、不漁だった前年同期の1.9倍であった。一方、かつお・まぐろまき網漁は、青森県沖でくろまぐろ主体に漁獲し、塩釜に水揚げした。

11月上中旬の生鮮かつおの水揚量は650トンで、前月から81%減少し、前年同月から30%減少した。価格は739円/kgで、前月の86%高、前年同月の2倍であった。

消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城・鹿児島主体に千葉・富山・京都・長崎・宮崎等からみられた。11月上中旬の入荷量は前月から72%減少し、前年同月から14%減少した。価格は前月の1.9倍、前年同月の21%高であった。

三陸沖のかつお一本釣漁が終了したことから、東京の入荷量は減少し、卸売価格は強含みで推移すると見込まれます。

さんま

さんま棒受網の漁場はオホーツク海の羅臼沖、花咲~釧路沖、三陸の久慈~気仙沼沖等に広く形成された。花咲、厚岸、釜石、大船渡、気仙沼、女川、小名浜に水揚げされ、道東・三陸各港合計で1日あたり100~1千100トンの水揚げが続いた。また、11月に入り、2年ぶりに銚子でも水揚げがみられた。魚体は、オホーツク海で30~90g主体に100gアップも混じり、三陸沖は70~120g主体であった。

11月上中旬の水揚量は6千100トンであった。低調ながらも前月から26%増加し、前年同月から8%増加した。価格は257円/kgで、前月の45%安、前年同月の47%安であった。

消費地(東京)における生鮮さんまの入荷は、岩手主体に北海道・宮城・福島からであった。11月上中旬の入荷量は前月の61%減少し、前年同月から54%減少した。価格は前月から4%安、前年同月の22%高であった。一方、冷凍さんまの11月上中旬の入荷量は、前月から46%減少し、前年同月から69%増加した。また、冷凍さんまの在庫量は9月末で約4千400トンと前年同月の128%、2020年比では72%、2021年比では76%であった。

今後、漁期終盤を迎え、例年どおり12月中旬頃には今期の操業が終了すると見込まれる。東京への入荷量は減少し、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

(水産情報部)

このページのトップへ
続きはこちらから