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2023年11月24日
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vol.1258 記事一覧

10月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1. 近海竿釣り船の漁場

10月の近海竿釣り船のカツオ漁場は、東北沿岸と伊豆諸島周辺~伊豆南部海域に形成された。前年より漁場が近いため水揚回数も増加し、延操業隻数は前年の倍以上の654隻だった(図1a、b)。9月下旬から主漁場となった東北沿岸は黒潮続流の北上の峰の西側で、続流から沿岸に波及した暖水と青森沖を南下した冷水によって潮境が形成されたことにより好漁場となった(図2)。また、漁獲されたカツオの肥満度が前年に比べて高く、適水温と好適な餌環境が重なったとみられる。

気仙沼港に水揚げされたカツオの魚体は、大(3.0~4.0kg)が主体で、小小~中(3kg以下)の割合は8~9月より減少した(図3)。この銘柄組成について、換算式を用いて生まれ季節ごとのグループに分類すると、9月から大型のA群(冬生まれ2歳弱)の割合が増加したと考えられる(図4)。しかし、今年の好適な餌環境を考えると、中型の群れが大型の群れに分類されてしまうほど例年よりも成長が速かった可能性も考えられる。

2. 水揚量と価格

10月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は4,003トンで、不漁だった前年同月比304%、過去5年平均比184%だった(図5)。水揚港別の水揚量は、気仙沼港は3,235トンで前月を大幅に上回ったのに対し、勝浦港(77トン)と鹿児島港(450トン)は前月を下回った。各港の10月末までの累計水揚量は、気仙沼港が13,494トン、勝浦港が7,277トン、鹿児島港が7,587トンであった。10月の全国平均価格は414円/kgで、前月より高く、高値基調だった前年より安かったが、過去5年平均並だった(図6)。

10月のまき網による全国の生鮮カツオ水揚量は112トン(気仙沼港が109トン)で前月より減少し、前年・過去5年平均を下回った(図7)。10月の全国平均価格は448円/kgで前月より安かったが、前年・過去5年平均より高値だった(図7)。

3. 今後の見通し

10月のJAFIC気仙沼の測定では、肥満度が高い個体の割合が前月より多く、9月後半から好適な餌環境が継続しているとみられる。11月も東北沿岸は戻りガツオの漁場が続くとみられ、前年より長くカツオが楽しめそうだ。

(水産情報部)

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