トピックス

2023年11月09日
トピックス一覧
最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.1250 記事一覧

9月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1. 近海竿釣り船の漁場

9月の近海竿釣り船のカツオ漁場は、北海道はるか沖、青森沖、東北沿岸、伊豆諸島周辺~伊豆南部海域だった。8月末~9月中旬に東北海域で群れが薄くなり、群れを探索して北海道はるか沖や伊豆諸島周辺に漁場が分散した(図1a)。前年は例年より大型のカツオが東北海域に来遊し、大型のカツオは20℃以上の海域に分布する傾向があるため、漁場は北緯40度以南であったが、本年は中型のカツオが主体となって来遊したために前年より北にも漁場が形成された。気仙沼港水揚げのカツオは3.8~4.0kgが多く、小型の2kg台も水揚げされた(図2)。

2. 水揚量と価格

9月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は3,578トンで、不漁だった前年同月比140%だったが、過去5年平均比82.9%だった(図3)。上~中旬は東北海域で漁獲が少なかったため、水揚主要港の気仙沼港での水揚げが伸び悩み(過去5年平均比56%)、全国の水揚量も過去5年平均を下回った。水揚港別の水揚量は、気仙沼港1,786トン、勝浦港489トン、鹿児島港1,148トンなどで、気仙沼は8月より減少し、勝浦と鹿児島は8月並だった。各港の累計水揚量は、気仙沼港10,259トン、勝浦港7,200トン、鹿児島港7,162トンであった。全国平均価格は382円/kgとなり、前月より高く、高値基調だった前年より安かったが、過去5年平均をやや上回った(図4)。

まき網による全国の生鮮カツオ水揚量は、9月は815トンで前月から半減し、前年を上回り、過去5年平均を下回った。(図5)。水揚港別の水揚量は、気仙沼港696トン、長崎県松浦港79トン、岩手県大船渡港2.1トンであった。全国平均価格は524円/kgで前月を上回り、前年・過去5年平均を上回った(図5)。まき網の価格が竿釣りより高かった理由として、漁場が水揚港に近く鮮度が良かった可能性が考えられる。

3. 今後の見通し

8月末~9月中旬に、東北海域での近海竿釣り船の漁場がほとんどみられなくなり、戻り鰹が来なくなる不安も一時あったが、9月後半には東北海域で群れが探索され、多くの竿釣り船が集まったことで再び漁場が形成された。10月中旬時点で東北海域のカツオは天然の小魚を餌としているようで、脂ののりが良い。例年この時期はオキアミを餌として脂ののりがよくなる傾向がある。今後水温が低下し、オキアミが餌になることで脂ののりが良い状態が続くことが期待される。また、東北海域に戻りガツオの漁場形成が十分期待される。

(水産情報部)

このページのトップへ
続きはこちらから