トピックス

2023年09月28日
トピックス一覧
最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.1237 記事一覧

8月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオと生鮮ビンナガの水揚状況について

1. 近海竿釣り船の漁場

近海竿釣り船のカツオ漁場は、黒潮続流が東北海域で岸寄りに北上する影響が続き、前年同期よりも岸寄りに漁場が形成された(図1)。上旬は宮城県と岩手県の沿岸が主漁場となり好漁だったが、中旬は近海竿釣り船の休暇で操業は減少した。下旬は沿岸の漁場が続かなかったため北海道東沖から伊豆諸島南方まで広く漁場が探索された(図2)。近海竿釣り船の多くは宮城県気仙沼港と千葉県勝浦港に水揚げした。気仙沼港水揚げのカツオは3~3.2kgが多く、小型の1kg台、2kg台も多かった(図3)。

2. 水揚量と価格

8月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は4,368トンで、不漁だった前年同月比177%だったが、過去5年平均比91.6%だった(図4、5)。上旬は主要港の気仙沼港に漁場が近く水揚量が多かったが、中旬以降減少し、月を通しては過去5年平均を下回った。水揚港別の水揚量は、気仙沼港2,331トン、勝浦港489トン、鹿児島港1,161トンなどで、気仙沼と勝浦は前月より大幅に減少した一方、鹿児島では前月を上回り、南方での水揚げが好調だった。全国平均価格は359円/kgとなり、前月より高く、高値基調だった前年より安かったが、過去5年平均をやや上回った(図5)。

まき網による全国の生鮮カツオ水揚量は、8月は2,134トンで前月から半減したが、過去5年平均並だった(図6)。水揚港別の水揚量は、気仙沼港1,855トン、勝浦港86.6トンなど。全国平均価格は374円/kgで前月を上回り、前年より安かったが、過去5年平均をやや上回った(図6)。

3. 今後の見通し

9月中旬時点で、東北海域での近海竿釣り船の漁場がほとんどみられなくなり、例年より早く漁場は南に移動している。東北海域でカツオの群れが薄く、探索が難しいようだ。例年8月の漁場水温は24℃前後だが、本年8月の平均漁場水温は27℃で、北上する中型・小型の群れにとっては東北沿岸の水温が高すぎるとみられ、後半は群れも薄かった。今後秋季に向けて水温が低下し、東北海域はカツオの群れが来遊可能な海況になる見通しだ。戻り鰹を対象に、東北海域で再び漁場が形成されることに期待したい。

(水産情報部)

このページのトップへ
続きはこちらから