トピックス

2023年09月28日
トピックス一覧
最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.1236 記事一覧

8月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

釧路港:8月のまき網による水揚量は12,021トンで、前月・前年を下回った(表1)。価格は前月並みで前年を上回った。釧路沖のまき網の魚体組成は、体長15~16cm、体重40~45gの1~3歳魚主体で、花咲沖の棒受網・たもすくい網の魚体組成(図1、2)と比較して小型であった。漁獲量の船間差が大きく、申し合わせ休漁もあって群れは薄かったと考えられる。この一因は、海洋熱波により魚群が北方四島以北に分布したためと思われる。また、例年8月はお盆休暇により操業日が少ないため、水揚量は減少する。

花咲港:8月の棒受網による水揚量は1,272トンで、前期・前年を上回った(表2)。価格は前月並みで前年を下回った。花咲沖の棒受網・たもすくい網の魚体組成は、体長15~18cm、体重45~60gの1~3歳魚主体で、前年と同様であった(図1、2)。棒受網の水揚量の動向や魚体組成が道東まき網のもの異なることから、対象とする魚群が異なると思われる。

2. 日本海側のウルメイワシについて

境港:8月のウルメイワシの水揚量は30トンで、前月・前年を大きく下回った(表3)。価格は前月・前年を上回った。

3. 太平洋側のマサバについて

八戸港:8月の水揚量は957トンで、前月を下回り、前年を上回った(表4)。価格は前月を上回り、前年を下回った。

4. 東シナ海・日本海側のさば類について

松浦港:8月のさば類の水揚量は1,146トンで、前月・前年を下回った(表5)。価格は前月並みで前年を下回った。大型まき網は九州西沖海域と東シナ海中・南部海域(東海)主体に操業した。大型まき網による九州西沖海域の8月のマサバ漁獲量は前年を上回り、過去5年平均を下回った。8月の東シナ海中南部のマサバ漁獲量は前年を上回り、過去5年平均を上回った。九州西沖海域の漁獲物の体長は26~30cm、体重は240~300gの小型魚が主体であった(図3、4)。

5. 東シナ海・日本海側のマアジについて

松浦港:8月の水揚量は1,205トンで、前月・前年をわずかに上回った(表6)。価格は前月を下回り、前年を上回った。大型まき網の漁場は、九州西沖海域を主体に、対馬海域(山口県沖を含む)と東シナ海中・南部海域(東海)にも形成された。大型まき網による九州西沖海域8月の漁獲量は前年・過去5年平均を下回った。九州西沖海域の漁獲物は体長(尾叉長)20~22cm、体重120~160gの1歳魚が主体であった(図5, 6)。対馬海域の漁獲物は体長18~21cm、体重80~140gの1歳魚主体であった。

境港:8月のマアジの水揚量は884トンで、前月・前年を上回った(表7)。価格は前月・前年を上回った。

6. まとめと今後の動向

太平洋側の8月のマイワシ漁場は主に道東沖で、犬吠埼沖でも形成された。9月は道東沖へ魚群が南下し出漁日も8月より増加するため、漁獲量は増加すると見込まれる。しかし、海洋熱波は9月も続くと予測されているため、魚群の南下が遅れる可能性がある。

近年、太平洋側のさば類の北上期におけるまき網漁場形成は不安定で、南下は遅れる傾向にある。八戸港のさば類の8月の水揚量は7月を下回ったが、9月も三陸海域では高水温が続くと予測されるため、さば類のまとまった漁場形成は期待できない。東シナ海と山陰海域の8月のさば類の水揚量(漁獲量)は前年を下回った。9月の両海域の水揚量は、前年同様8月より減少すると考えられる。

8月の東シナ海と山陰海域のマアジの水揚量は、前年を上回った。例年9月は両海域とも漁況は低調であり、今年も前年並みの水揚量になると考えられる。

(水産情報部)

このページのトップへ
続きはこちらから