まいわしは、まき網で道東沖、八戸沖、常磐沖、山陰沖、松浦沖等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまき網漁は、8月4~18日は水揚げがなかったものの、下旬は1日あたり1千300~3千300トンのまとまった漁獲がみられた。三陸~常磐沖では、銚子で1千トンを超える水揚げが1日みられ、魚体は80~85gの中羽主体であった。また、三陸沖では引き続き定置網による漁獲がみられた。道東沖ではさけ・ます流し網漁業代替のまいわし棒受網漁が行われ、40~50gの小中羽主体に水揚げされた。
8月上中旬の主要港における水揚量(以下「8月上中旬の水揚量」という。)は6千100トンで前月から90%減少し、前年同月から39%減少した。価格は97円/kgで、前月の89%高、前年同月の98%高であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、千葉・長崎主体に北海道・宮城・石川等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から7%減少し、前年同月から93%増加した。価格は前月の7%高、前年同月並みであった。
今後も引き続き鮮魚サイズの水揚げは少ないとみられ、東京への入荷量はやや減少し、競合するさんまの漁獲が低調なこともあり、卸売価格はやや強含むと見込まれます。
さば類は、まき網では八戸沖、常磐沖、静岡県~三重県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲された。八戸沖では8月に入り、するめいか混じりでさば類の漁獲が始まった。8月上旬は1日あたり150~400トンの水揚げが3日間みられたものの、中旬は水揚げがなく、下旬は20~70トンに落ち込んだ。一方、三陸沿岸では定置網や底曳網による漁獲がみられた。定置網で石巻に水揚げされたまさばは、300~360gの中型魚主体に500gを超える大型魚もみられた。また、少量ではあるものの、伊豆諸島水域ではタモすくい網によるごまさばの漁獲がみられた。
8月上中旬の水揚量は3千700トンで、前月から29%減少し、前年同月から7%増加した。価格は147円/kgで、前月の10%高、前年同月の6%高であった。
消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは宮城主体に岩手・千葉等から、ごまさばは宮城主体に千葉・神奈川・愛媛・長崎等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から22%減少し、前年同月から19%減少した。価格は前月の8%高、前年同月の29%高であった。
さば類の水揚げは引き続き低調に経過すると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
小型いか釣り漁船の漁場は、日本海側の北海道西~道南~山形~北陸~山陰~九州北部に分散して形成され、全般的に低調であった。一方、太平洋側では下北半島~岩手県沖に漁場が形成され、昼いか釣主体の漁を行った。また、三陸の定置網・底曳網で少量ではあるものの漁獲がみられた。8月に入り、八戸沖のまき網漁にするめいかが混じり始めたものの、8月上旬に少量水揚げされたのみであった。
一方、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁は、8月上旬は対馬~壱岐沖や佐渡沖で操業した。中旬以降は大和堆~ロシア海域内で操業を開始し、1日1隻あたり100~200ケース(0.8~1.6トン)の比較的まとまった漁獲が一時的にみられた。
8月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は226トンで前月から22%減少し、前年同月から76%減少した。価格は1,028円/kgで、前月の8%高、前年同月の58%高であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、石川主体に青森・福井・新潟・鳥取等からであった。8月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から27%減少し、前年同月から79%減少した。価格は前月の6%安、前年同月の92%高であった。
9月になると三陸の沖合底曳網によるするめいかの漁獲が再開されるものの、全国的に水揚げは低調に推移すると予想され、生鮮物の東京への入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では常磐沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲された。常磐沖では銚子主体に水揚げされ、8月の水揚量は1千トンと前年同月(40トン)を大きく上回った。山陰沖ではまあじ・まさば主体、東シナ海ではまあじ主体に漁獲された。魚体は山陰沖が60g主体、対馬沖が80~100g主体と小さかった。また、少量ではあるものの三陸の底曳網・定置網による水揚げがみられた。
8月上中旬の水揚量は1千900トンで、前月から46%増加し、前年同月から85%増加した。価格は324円/kgで、前月の27%安、前年同月の25%安であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎・石川主体に宮城・千葉・鳥取・佐賀等、中小あじは宮城・千葉・静岡・長崎等、小・豆あじは三重主体に千葉・福井・静岡・高知等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から23%減少し、前年同月から24%減少した。価格は前月の6%安、前年同月の8%高であった。
今後も低調な水揚げが続くと予想され、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の主漁場は三陸~房総沖に形成され、かつお主体(3kg台主体)の漁を行った。1日1隻あたりの平均漁獲量は1.3~10.6トンで、漁場が沿岸寄りと近いことから新口主体の水揚げであった。気仙沼主体に千葉県勝浦、鹿児島等に水揚げされた。一方、かつお・まぐろまき網漁の主漁場は青森県沖~常磐沖に形成された。かつお主体にきはだ、きめじ、くろまぐろ等を漁獲し、大船渡、気仙沼、石巻、塩釜、小名浜、銚子、千葉県勝浦等に水揚げした。また、三陸の定置網にも入網があった。
8月上中旬の生鮮かつおの水揚量は4千500トンで、竿釣り船の盆休みの影響もあり、前月から37%減少し、不漁であった前年同月の2.5倍であった。価格は361円/kgで、前月の10%高、前年同月の34%安であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に岩手・千葉・伊豆諸島・静岡・長崎・鹿児島等からみられた。8月上中旬の入荷量は前月から13%減少し、前年同月から72%増加した。価格は前月の4%安、前年同月の37%安であった。
8月下旬以降は三陸の漁場が遠ざかり水揚げが減少したものの、回復基調にあり、今後は三陸や鹿児島を中心に安定した水揚げが続くとみられる。東京の入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいと見込まれます。
今期のさんま漁は、7月に解禁した流し網漁の水揚げはなく、8月に入り、例年通り棒受網漁がトン数階層別に順次解禁になった。10日に解禁した小型船は、昨年よりも1日遅い19日に花咲に約470kg、厚岸に約1.1トンを初水揚げした。漁場は花咲東沖の公海(片道3昼夜)と非常に遠かった。15日には中型船、20日には大型船が解禁となり、全階層が出漁した。大型船は、花咲の東南東~東沖500~770海里付近で操業し、花咲、厚岸、大船渡に水揚げされた。魚体は70~80g主体に、100~110gが徐々に増加したものの、全般的に小さかった。
8月中旬までの水揚量は1.6トン、価格は1,868円/kg、下旬の水揚量は620トン、価格は463円/kgであった。
消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手からであった。8月上中旬の入荷量は前月から48%増加し、前年同月から63%減少した。価格は前月並み、前年同月の7%高であった。
今後、漁期が進むにつれて東京への入荷量は増加するものの、水揚げが低調なことから、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
(水産情報部)