近海竿釣り船の操業は、上旬はビンナガ主体で、下旬にカツオ主体に切り替わり、本年のビンナガ漁は終漁した。漁場は房総沖~東北沖で、前年よりも陸に近かった(図1a, b)。
【ビンナガ漁場】
黒潮続流は常磐~三陸南部を北上し、北緯40度付近で南下に転じたが、主漁場は黒潮続流の北上流路と南下流路の間に形成された(図2)。沖でのビンナガ漁は少なかったが、黒潮続流より南側でも漁場形成があった。
【カツオ漁場】
上旬~中旬の主漁場は、黒潮続流の北上流路と南下流路の間の房総~三陸沖に広く形成され、その沖にも漁場が広がった(図3a, b)。下旬の漁場は全体的にやや南下した(図3c)。魚体は大から極小に及ぶとともに、さらに極小より小型のチン・ピンも混じった(図3)。気仙沼に水揚げされたカツオは4~5kg主体で、小型は1kg台、大型は6kg台もあった(図4)。
【カツオ】
7月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は8,125トンで(図5)、前年同月比214%、過去5年平均比128%で近年では好調だった(図6)。カツオの来遊量が多く、漁場が沿岸寄りに形成されたことで水揚げ回数が増加したためと考えられる。水揚港別の水揚量は、気仙沼港5,461トン、千葉県勝浦港1,670トン、鹿児島港887トンなどで、気仙沼と勝浦は前月より増加し、鹿児島でも安定した水揚げが継続した。全国平均価格は302円/kgとなり、前月より安く、高値基調だった前年より安かったが、過去5年平均をやや上回った(図6)。
まき網による全国水揚量は7月に入って急増し5,515.5トンで、前年同月および過去5年平均を大幅に上回った(図7)。水揚港別の水揚量は、気仙沼港3,633.7トン、石巻港381.5トン、銚子港843.0トンなど。全国平均価格は319円/kgで前月を下回り、前年より大幅に安かったが、過去5年平均をやや上回った。
【ビンナガ】
全国の生鮮ビンナガ(全漁法)の1~7月の累計水揚量は20,586.7トンで、不漁だった前年の約1.6倍となった。7月の全国平均価格は470円/kgで、前月を上回ったが、高値だった前年を下回り、過去5年平均をやや下回った(図8)。
近海竿釣り船はカツオ主体に切り替わり、8月中旬の漁場は気仙沼港に近く、7月下旬よりも北上した。今後も沿岸寄りの漁場が続きそうだ。極小よりも小型のチン・ピンが北上しており、魚体は中小に加えてかなり小型の混じりが増える見込みだ。
(水産情報部)