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2023年09月08日
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vol.1229 記事一覧

7月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

釧路港:7月のまき網による水揚量は42,403トンで、前年を上回った(表1)。価格は前月並みで前年を上回った。釧路沖のまき網の魚体組成は、花咲沖の棒受網・たもすくい網の魚体組成(図1、2)と同様であった。

花咲港:7月の棒受け網による水揚量は715トンで、前年を下回った(表2)。価格は前月・前年を上回った。花咲沖の魚体組成は、体長15~16cm、体重55~60gの1~3歳魚主体で、前年より小型であった(図1、2)。

石巻港:7月の水揚量は1,336トンで、前月・前年を下回った(表3)。価格は前月・前年を上回った。石巻付近の定置網の魚種別水揚量の第1位は、前年12月以降7月まで一貫してマイワシであったが、7月の水揚げは低調であった。

銚子港:7月の水揚量は523トンで、前月・前年を大きく下回った(表4)。価格は前月・前年を上回った。常磐犬吠海域のまき網の漁獲物は、6月からみられた大型魚が7月上~中旬は出現せず、体長13~14cm、体重30~40gの0~1歳魚主体となり、前年より小型であった(図3、4)。7月下旬には二艘まき網により17~19cmの中~大型魚が漁獲された。7月のまき網漁場は主に八戸沖に形成され、犬吠海域~八戸沖での操業があった前年より北よりに漁場が形成された。また、まき網の操業1網当たり漁獲量は前年を上回った。

2. 日本海側のマイワシとウルメイワシについて

境港:7月のマイワシの水揚量は203トンで、前月・前年を大きく下回った(表5)。価格は前月・前年を上回った。ウルメイワシの7月の水揚量は3,616トンで、6月の826トンを大きく上回った。ウルメイワシのまき網の漁獲物は、体長19~20cm、体重85~100gモードの中銘柄(1~3歳魚以上)主体であった(図5、6)。前年同期より中型魚の割合が多かった。

3. 太平洋側のマサバについて

石巻港:7月の水揚量は712トンで、前月を下回り、前年を上回った(表6)。この原因として、三陸南部~常磐海域に生じた海洋熱波により三陸海域へのマサバの北上が早まった可能性がある。価格は前月・前年を上回った。

銚子港:7月の水揚量は189トンで、例年どおり低調であった。

4. 東シナ海・日本海側のさば類について

松浦港:7月のさば類の水揚量は1,790トンで、前月・前年を下回った(表7)。価格は前月・前年並みであった。大型まき網は対馬海域(山口県沖を含む)と東シナ海中・南部海域(東海)主体に操業した。大型まき網による対馬海域の7月のマサバ漁獲量は前年を下回り、過去5年平均並みであった。7月の東シナ海中南部のマサバ漁獲量は前年を上回り、過去5年平均並みであった。対馬海域で漁獲されたマサバは、体長(尾叉長)27~30cm、体重240~320gの1歳魚主体であった(図7、8)。東シナ海中・南部海域の体長は28~33cm、体重は300~340,460~520gの小・中型魚が主体であった。

境港:7月のマサバの水揚量は2,013トンで、前月を下回り、前年を上回った(表8)。価格は前月・前年を上回った。まき網により隠岐海峡で漁獲されたマサバは体長27~29cm、体重240~320gの1歳魚が主体であった(図9、10)。

5. 東シナ海・日本海側のマアジについて

松浦港:7月の水揚量は1,081トンで、前月並みで前年を下回った(表9)。価格は前月並みで、前年を上回った。大型まき網の漁場は、東シナ海中・南部海域(東海)を主体に、対馬海域(山口県沖を含む)と九州西沖海域にも形成された。大型まき網による東シナ海中・南部海域7月の漁獲量は前年・過去5年平均を上回った。東シナ海中・南部海域の漁獲物は体長(尾叉長)18~20cm、体重80~140gの1歳魚が主体であった(図11, 12)。対馬海域の漁獲物は体長17~19cm、体重80~100gの1歳魚主体であった。

境港:7月のマアジの水揚量は407トンで、前月・前年を上回った(表10)。価格は前月を下回り、前年を上回った。

6. まとめと今後の動向

太平洋側の7月のマイワシ漁場は主に道東沖で、八戸沖でも形成された。マイワシの北上に伴い、8月は道東沖、三陸海域ともに漁獲量は減少すると見込まれる。境港の7月のマイワシ水揚量は、前年を大きく下回った。山陰海域の8月のまき網の主対象はマサバからマアジなどに変わると見込まれ、更に台風の影響やお盆の休漁により水揚量は7月より減少すると考えられる。

近年、太平洋側のさば類の北上期におけるまき網漁場形成は不安定である。7月の石巻港の水揚量は6月を下回り、8月も三陸海域では高水温が続くと予測されるため、さば類のまとまった漁場形成は期待できない。東シナ海と山陰海域の7月のさば類の水揚量(漁獲量)は前年を下回り、8月の両海域の水揚量は、台風やお盆休漁のため、7月より減少すると考えられる。

7月の東シナ海と山陰海域のマアジの水揚量は、前年を下回った。例年8月は両海域とも例年7月を下回ることから、低調な水揚げになると考えられる。

(水産情報部)

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