6月の近海竿釣り船の操業はビンナガ主体となった。5月に引き続き黒潮続流が接岸気味に北上しており、主漁場は房総~東北海域で、下旬には房総南東沖にも漁場形成があった(図1a)。前年6月は房総半島より南の漁場で例年より早くビンナガ漁が終わり、不漁だった(図1b)。本年6月はビンナガ主体の漁獲が続き、全国水揚量は5,572トンで比較的好漁だった(図2)。近海竿釣り船による6月のカツオ主体の漁場はビンナガと同様の海域であったが、全船がビンナガ狙いだったため、カツオ主体の漁場はほとんどなかった。
【カツオ】
6月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は3,252トンで(図2)、前年同月比56%、過去5年平均比79%と低調だった。この原因は、近年は5~6月にビンナガが少なくカツオを狙う年もある中で、本年はビンナガ主体の操業が6月いっぱい続き、カツオの水揚量が伸びなかったためである。
主要港の水揚量は、気仙沼港518トン(前月比17倍)、千葉県勝浦港1,038トン(同75%)、鹿児島港928トン(同104%)で、鹿児島港は安定した水揚げが継続した。全国平均価格は380円/kgとなり、前月を下回り、前年・過去5年平均を上回った(図3)。
まき網による6月の全国水揚量は2,863.8トンで、前月比2倍に増加し、前年同月および過去5年平均を大幅に上回った(図4)。主要港の水揚量は、気仙沼港1,681トン(前月比4.6倍)、千葉県勝浦港748トン(同1.4倍)、銚子港215トン(同72%)であった。全国平均価格は380円/kgで前月並となり、前年・過去5年平均を上回った。
【ビンナガ】
全国の生鮮ビンナガ(全漁法)の1~6月の累計水揚量は19,545トンで、不漁だった前年の約2倍となり、本年は好調だった。主要港の水揚量は、気仙沼港3,656トン、千葉県勝浦港1,328トン、紀伊勝浦港365トンであった。全国平均価格は398円/kgで、前月より安くなったが、過去5年平均を上回った(図5)。
近海竿釣り船のビンナガ主体の漁場は7月上旬も継続しているが、徐々にカツオ主体に切り替わっている。カツオの魚体は、7月上旬は極小~小主体だが、今後は成長した小主体になると見込まれる。夏季も引き続き黒潮続流は接岸気味に北上し、東北北部は暖水の影響を受けるとみられ、今後も東北海域にカツオの漁場が形成され、水揚量も伸びると期待される。
(水産情報部)