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2023年07月26日
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vol.1218 記事一覧

6月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

釧路港:本年の道東のまき網・棒受網・たもすくい操業が6月下旬から開始された。6月の水揚量は14,474トンで、前年を上回った(表1)。釧路沖のまき網の魚体組成は、花咲沖の棒受網・たもすくい網の魚体組成と同様であった。

花咲港:6月の水揚量は747トンで、前年を上回った(表2)。花咲沖の魚体組成は、体長16~18cm、体重50~75gの1~3歳魚主体に、体長19~20cm以上、体重80~90gの3~4歳魚以上が混じった(図1, 2)。

石巻港:6月の水揚量は7,744トンで、前月を下回り、前年を上回った(表3)。価格も前月を下回り、前年を上回った。石巻付近の定置網の魚種別水揚量の第1位は、前年12月以降マイワシとなったが、6月もマイワシが第1位であった。三陸南部沖のまき網の漁獲物は、体長15.5~16cm、体重40~45gモードの1~2歳魚主体であった(図3, 4)。4月以来漁獲されてきた大型魚(産卵後の北上群と思われる)はほとんど見られなくなった。

銚子港:6月の水揚量は8,127トンで、前月・前年を下回った(表4)。価格は前月・前年を上回った。常磐犬吠海域のまき網の漁獲物は、5月より大型魚の割合が減少し、体長15~16.5cm、体重40~60gの1~2歳魚主体に、体長17~19cm以上、体重70~80gの2~3歳が混じった(図5, 6)。6月上旬のまき網漁場は主に金華山沖~犬吠海域に形成された。6月下旬には八戸沖にも形成され、前年より北上が早かった。また、まき網の操業1網当たり漁獲量は前年より少なかった。

2. 日本海側のマイワシとウルメイワシについて

境港:6月のマイワシの水揚量は3,517トンで、前月・前年を上回った(表5)。価格は前月を下回り、前年を上回った。まき網の漁獲物は、体長19~20cm、体重90~120gモードの中銘柄(1~3歳魚以上)主体であった(図7, 8)。前年同期の隠岐海峡の組成よりやや大きかった。ウルメイワシの6月の水揚量は18トンであった。

3. 太平洋側のマサバについて

石巻港:6月の水揚量は6,913トンで、前月を上回り、前年を下回った(表6)。前月を上回ったのは、マサバ群が三陸南部海域へ北上したためと思われる。また、前年を下回ったのは、三陸南部~常磐海域に生じた海洋熱波でマサバの北上が不安定になったことが影響したと思われる。価格は前月を下回り、前年並みであった。

銚子港:6月の水揚量は374トンで、前月・前年を上回った(表7)。価格は前月を下回り、前年を上回った。

4. 東シナ海・日本海側のさば類について

松浦港:6月のさば類の水揚量は1,866トンで、前月・前年を上回った(表8)。価格は前月並みで、前年をやや下回った。大型まき網は対馬海域と東シナ海中・南部海域主体に操業した。大型まき網による対馬海域の6月のマサバ漁獲量は前年・過去5年平均をわずかに上回った。6月の東シナ海中南部のマサバ漁獲量は前年・過去5年平均をやや上回った。対馬海域(山口県沖を含む)で漁獲されたマサバは、体長(尾叉長)28~29cm、体重260gモードの1歳と体長33cm、体重320g以上の大型魚(2歳魚以上)で構成された(図9, 10)。東シナ海中・南部海域の体長・体重組成は対馬海域同様だが、大型魚の割合が高かった。6月の西沖のマサバ漁獲量は前年・過去5年平均を下回った。

境港:6月のマサバの水揚量は4,904トンで、前月を下回り、前年を上回った(表9)。価格は前月・前年を上回った。まき網により漁獲されたマサバは、隠岐海峡では体長26~30cm、体重220~380gの1歳魚が主体であった(図11, 12)。

5. 東シナ海・日本海側のマアジについて

松浦港:6月の水揚量は1,065トンで、前月・前年を下回った(表10)。価格は前月・前年を上回った。大型まき網の漁場は、東シナ海中・南部海域を主体に、対馬海域と九州西沖海域にも形成された。大型まき網による東シナ海中・南部海域6月の漁獲量は前年を下回り、過去5年を上回った。東シナ海中・南部海域の漁獲物は体長(尾叉長)18cm、体重100gモードの1歳魚が主体であった(図13, 14)。

境港:6月のマアジの水揚量(4~6月はマルアジを含む)は82トンで、前月・前年を大きく下回った(表11)。価格は前月・前年を上回った。

6. まとめと今後の動向

太平洋側の6月のマイワシ漁場は、主に三陸中部~犬吠海域に形成されたが、下旬には八戸沖にも形成された。群れサイズは前年より小さいと考えられた。マイワシの北上に伴い、7月は道東沖の漁獲量が増加し、三陸海域の漁獲量は減少すると見込まれる。境港の6月のマイワシ水揚量は、前年を上回った。山陰海域の7月のまき網の主対象はマイワシからマサバなどに変わると見込まれ、更に7月に入り時化が続いていることによる操業日数の減少などの影響でマイワシの7月の水揚量は6月より減少すると考えられる。

近年、太平洋側のさば類の北上期におけるまき網漁場形成は不安定である。6月の石巻港と銚子港の水揚量は5月を上回ったが、7月も三陸海域では高水温が続くと予測されるため、さば類のまとまった漁場形成は期待できない。東シナ海と山陰海域の6月のさば類の水揚量(漁獲量)は前年を上回ったが、7月の両海域の水揚量は、例年6月を下回るため、期待薄である。

6月の東シナ海と山陰海域のマアジの水揚量は、前年を下回った。7月は両海域とも例年6月並みで経過することから、期待薄である。

(水産情報部)

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