まいわしは、まき網で道東沖、八戸沖、三陸~常磐沖、山陰沖等で漁獲された。道東沖では例年通りミール向けを主体とするまき網漁が始まり、前年より7日早い6月20日に釧路へ1千200トンを初水揚げした。価格は51円/kg(税込)で、ペルー沖のカタクチイワシの解禁延期等による世界的なミール価格の高騰等により、前年(39円/kg(税込))を上回った。八戸では6月中旬以降に1日あたり300~1千700トンの水揚げが続いた。三陸~常磐沖の水揚げの主体であった銚子では、1日あたり100~1千400トン水揚げされ、魚体は40~50gの中羽主体で、粗脂肪量(千葉県水産総合研究センター測定)が15~20%の脂ののったものもみられた。また、三陸では定置網によるまとまった漁獲が続いた。一方で、道東沖では6月に入り、まき網漁に先駆けて、さけ・ます流し網漁業代替のまいわし棒受網漁が始まった。
6月上中旬の主要港における水揚量(以下「6月上中旬の水揚量」という。)は2万2千トンで前月から31%減少し、前年同月から6%減少した。価格は79円/kgで、前月の15%安、前年同月の79%高であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、宮城・千葉・鳥取主体に北海道・石川・長崎等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から29%増加し、前年同月から16%増加した。価格は前月並み、前年同月の4%安であった。
今後、東京への入荷量は横ばいと見込まれるものの、入梅いわしの旬を迎え、末端のニーズが強くなることから卸売価格はやや強含むと見込まれます。
さば類は、まき網では常磐沖、静岡県~三重県沖、山陰沖、九州対馬沖・東シナ海中南部等で漁獲された。山陰沖ではまさば主体に漁獲され、境港で6月上中旬に1日あたり100~800トンの水揚げが続いた。一方、三陸沖では底曳網、三陸沿岸では定置網によるさば類のまとまった漁獲が続き、石巻の6月の水揚量は6千900トンで前月(3千100トン)の2.2倍と好調であった。また、富山湾では定置網、伊豆諸島水域ではタモすくい網(ごまさば)による水揚げがみられた。
6月上中旬の水揚量は1万5千トンで、前月から72%増加し、前年同月から7%増加した。価格は104円/kgで、前月の10%安、前年同月の3%高であった。
消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは宮城・千葉・富山主体に青森・石川・鳥取等から、ごまさばは千葉主体に宮城・静岡等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から36%増加し、前年同月から3%増加した。価格は前月の9%安、前年同月の16%高であった。
今後、まき網漁は端境期を迎え、水揚げは各地とも低調に経過すると予想される。東京への入荷量は減少し、卸売価格は強含みで推移すると見込まれます。
小型いか釣り漁船の漁場は、日本海側の北海道南~山形~北陸~山陰~九州北部に分散して形成され、全般的に低調であった。主漁場は5月に続き能登半島沖に形成されたが、漁況は極めて低調であった。6月に入り、道南(桧山、松前、函館)でも水揚げが始まったものの、低調であった。一方、太平洋側では下北半島~岩手県沖に漁場が形成され、昼いか釣主体の漁を行った。また、三陸の定置網、底曳網、富山湾の定置網でも漁獲された。石巻の底曳網でややまとまり、6月の水揚量は140トン(前年同月比1.9倍)であった。
一方、6月中旬には中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁が始まり、例年通り大和堆に出漁したものの群がいなかったことから、九州北部でするめいか主体にけんさきいか混じりの操業を行った。
6月上中旬の生鮮するめいかの水揚量(富山湾の定置網は除く)は396トンで前月の4.6倍、前年同月から66%減少した。価格は778円/kgで、前月の44%高、前年同月の32%高であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、青森・石川主体に秋田・山形・富山・福井・山口・長崎等からであった。6月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月の2.3倍、前年同月から52%減少した。価格は前月の28%安、前年同月の40%高であった。
今後も水揚げは各地とも低調に推移するとみられるものの、夏から秋に向けて盛漁期となり、徐々に増加することが期待される。生鮮物の東京への入荷量はやや増加するものの、全国的に低調な漁模様であることから、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、生鮮物の入荷がやや増加することに伴い、入荷量はやや減少し、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では常磐沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲されたものの、全般的に低調であった。西沖・東シナ海中南部海域ではまあじ主体に漁獲され、東シナ海中南部海域の魚体は80~120g主体であった。6月は松浦で1千トン(前月比47%・前年比68%)、長崎で2千200トン(前月比120%・前年比91%)水揚げされた。また、少量ではあるものの、三陸の底曳網、定置網による水揚げがみられた。
6月上中旬の水揚量は2千600トンで、前月から30%減少し、前年同月から36%減少した。価格は265円/kgで、前月の9%高、前年同月の17%高であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは石川・長崎主体に富山・島根・山口・高知・佐賀等、中小あじは新潟主体に千葉・島根等、小・豆あじは三重主体に神奈川・新潟・石川・富山・静岡・高知等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から4%減少し、前年同月から15%減少した。価格は前月の11%高、前年同月の15%高であった。
今後も産地の水揚げは低調に推移すると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の漁場は三陸~房総沖主体に伊豆諸島周辺海域等に形成された。三陸~房総沖ではびんなが主体にかつお混じり、伊豆諸島周辺海域ではかつお主体の漁獲がみられ、1日1隻あたりの平均漁獲量は6.7~13.4トンであった。気仙沼、千葉県勝浦、鹿児島主体に水揚げされ、気仙沼と千葉県勝浦はびんなが主体であったことから、前年と比べてかつおの水揚げが低調であったものの、気仙沼は6月に入り上向いた。
また、かつお・まぐろまき網漁は三陸~常磐沖、伊豆諸島周辺海域~房総沖でかつお主体にびんなが、くろまぐろ等を漁獲し、気仙沼、石巻、塩釜、小名浜、銚子、千葉県勝浦等に水揚げした。
6月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、3千600トンで前月から61%増加し、前年同月から25%減少した。価格は384円/kgで、前月の20%安、前年同月の22%高であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、千葉主体に宮城・伊豆諸島・静岡・三重・愛媛・高知・長崎・鹿児島等からみられた。6月上中旬の入荷量は前月から18%増加し、前年同月から26%減少した。価格は前月の10%高、前年同月の32%高であった。
今後、三陸沖のかつおの漁獲が本格化するとみられ、水揚量はさらに増加することが期待される。東京の入荷量は増加し、卸売価格はやや弱含むと見込まれます。
(水産情報部)