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2023年06月29日
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5月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオと生鮮ビンナガの水揚状況について

1. 近海竿釣り船の漁場

5月の近海竿釣り船の漁場は高知沖~伊豆諸島沖において、カツオ(小)主体に漁獲し、下旬からビンナガ漁が始まり、房総~東北海域でビンナガを漁獲した(図1a)。前年同月は房総沖の漁場は遠かったが(図1b)、本年は黒潮続流が房総~東北海域に接岸気味に北上し、下旬には岩手県釜石東方まで北上した。この黒潮続流の海面水温21℃前後の海域でビンナガが好漁だった。

2. 水揚量と価格

【カツオ】

5月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は3,108トンで(図2)、前年同月比82%、過去5年平均比95%とやや低調だった。これは、ビンナガを狙った操業が多かったためであり、不漁ではない。水揚港別の水揚量は、千葉県勝浦港1,393.2トン(前年同月比55%)、鹿児島港889.9トン(同125%)など。全国平均価格は452円/kgとなり、前月並で、前年・過去5年平均を上回った(図3)。

まき網による5月の水揚量は前月より増加したが、ビンナガを狙った操業が多かったため、前年同月および過去5年平均を大幅に下回った(図4)。水揚港別の水揚量は、千葉県勝浦港528.8トン、気仙沼港366.8トン、銚子港298.0トンなど。全国平均価格は381円/kgで、前月・過去5年平均を上回った。

【ビンナガ】

5月下旬から主に竿釣りとまき網による水揚げが急増し、全国の5月の水揚量は7,939トンで前年・過去5年平均を上回った(図2)。前年は不漁だったが、今年は好調であった。水揚港別の水揚量は、気仙沼港4,237.6トン(過去5年平均比246%)、千葉県勝浦港1,624.0トン(同49%)など。全国平均価格は448円/kgで、過去5年平均を上回った。ビンナガの冷凍在庫は2022年10月~2023年3月は2万トンを下回り、前回不漁だった2020年並の低水準だったことから(図6)、在庫確保の動きがあり、高値基調となったとみられる。

3. 今後の見通し

6月の漁場は5月の房総~東北海域漁場で、引き続きビンナガ主体の漁獲が好調だが、徐々に漁獲量が減少しているため、竿釣り船は6月中にカツオ主体の水揚げに切り替わる見通しである。カツオの魚体は5月に小笠原~伊豆周辺で漁獲された極小~小が成長したものが漁獲され、小主体になると見込まれる。夏以降も東北海域の漁場が期待できる。

(水産情報部)

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