トピックス

2023年06月29日
トピックス一覧
最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.1208 記事一覧

令和5年5月の海況について

三陸~道東海域や日本海では高水温状態が続いた。

黒潮域

大蛇行は5月も継続し、黒潮流路は四国沖では著しく離岸し、潮岬沖でS字状に蛇行(図1-A)した後、熊野灘から遠州灘にかけて接岸した。関東南沖では三宅島~御蔵島を通過して房総半島に接岸した。

黒潮流路周辺の海面水温は、前月から1℃前後昇温し、25℃が屋久島周辺まで北上し、九州~四国沖は24℃、潮岬~伊豆諸島北部は22~23℃、房総半島沖は20~21℃であった。

四国沖(図1-①)の海面水温は、黒潮流路が著しく離岸したため、近年より2℃以上低めであった。一方、熊野灘や遠州灘周辺(図1-③)の海面水温は、黒潮流路が接岸したため、近年より1~2℃高めであった。

沖縄東沖~南鳥島沖(図1-②)の海面水温は、寒気や平年より風が強かったことに加え、台風2号通過の影響で、広範囲で近年より1~2℃低めであった。

伊豆諸島周辺の黒潮外側域(図1-④)の海面水温は、平年より風が強かったため、前月に引き続き近年より低めであった。

親潮域・混合水域

黒潮続流の流路は、5月も常磐海域では接岸気味で、三陸南部沖の39°30′N付近まで著しく北上した。

三陸~道東沖(図1-⑥)の海面水温は、黒潮続流の北上や暖水波及の影響で、近年より4~7℃高めの海域が広がった。常磐海域の海面水温も,黒潮続流からの暖水波及により近年より2~6℃高めであった。

根室半島の南東沖には暖水渦(図1-C)がみられたが、勢力は弱く不明瞭であった。

房総半島~常磐南部沖の海面水温は、黒潮続流南下部から切り離された冷水渦の影響で1~2℃低め、常磐はるか沖(図1-⑦)は、黒潮続流が145°E以東で南下したため、1℃前後低めであった。

親潮面積は平年(1993~2017年の平均)よりかなり小さめの状態が続き、親潮第2分枝(図1-⑧)の南端も41°N・148°E付近に停滞した。

東シナ海

北部~九州西沖(図1-⑨)の海面水温は、温かく湿った大気や日射量が多かったため、近年より1℃前後高めであった。一方、南部には近年より低めの海域が広がった。

日本海

対馬暖流の勢力は平年(1993~2017年の平均)よりかなり強めの状態が続き、その主な流路は岐諸島北沖と大和堆東沖付近でS字状(図1-⑪)に蛇行し、佐渡島北沖でも蛇行した。

平年より日射量が多かった影響で、日本海全域の海面水温はおおむね近年より高めで、特に東朝鮮暖流域(図1-⑩)では暖水渦が発達し、津軽海峡沖も対馬暖流からの暖水の影響も加わり、近年より2℃以上高めであった。

能登半島北沖の一部海域(図1-⑪)では対馬暖流の蛇行の影響で低温水が南下して、海面水温は近年より低めであった。

黒潮大蛇行の推移

蛇行部は現在もS字状を呈しており、S字の南半分が徐々に東進している。このままS字の南半分が東進し続けた場合、熊野灘~遠州灘沖にS字の北半分が暖水渦として切り離されることも考えられる。

(海洋事業部)

このページのトップへ
続きはこちらから