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2023年06月20日
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vol.1205 記事一覧

5月の概況と6月の見通し

まいわし

まいわしは、まき網で常磐沖、山陰沖等で漁獲された。水揚げの主体であった銚子では1千300~4千700トンのまとまった漁獲が延べ7日間みられた。魚体は70~95gの中羽主体で、粗脂肪量(千葉県水産総合研究センター測定)は15%前後と脂ののったものがみられ始めたが、痩せたものも目立った。また、三陸では定置網と底曳網によるまとまった漁獲が続いた。5月の石巻のまいわしの水揚量は、定置網で8千800トン(前年同月3千700トン)、底曳網は5月下旬にさば類主体の漁に切り替わったものの、3千500トン(前年同月0.2トン)と非常に好調であった。

5月上中旬の主要港における水揚量(以下「5月上中旬の水揚量」という。)は3万2千トンで前月並み、前年同月から21%減少した。価格は92円/kgで、前月の27%高、前年同月の2.2倍であった。

消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、宮城・千葉・石川主体に鳥取等からであった。5月上中旬の入荷量は前月から15%減少し、前年同月から35%増加した。価格は前月の7%高、前年同月の16%高であった。

今後も三陸~常磐沖ではまいわし主体の漁獲が続くとみられる。また、道東沖ではまいわし棒受網漁やまき網漁が始まる。東京への入荷量は増加し、入梅いわしの旬を迎え、卸売価格は高値・横ばいと見込まれます。

さば類

さば類は、まき網では静岡県~三重県沖、山陰沖~九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲された。山陰沖ではまさば・まあじ主体に漁獲され、境港で1日あたり100~1千トンの水揚げが続き、5月は5千500トンで前年同月(3千900トン)から40%増加した。一方、三陸沖では底曳網、三陸沿岸では定置網によるさば類の漁獲がみられた。底曳網、定置網ともにまいわし主体であったものの、底曳網は5月下旬にさば類主体の漁に切り替わり漁獲が上向いた。また、富山湾では定置網、伊豆諸島水域ではタモすくい網(ごまさば)による水揚げがみられた。

5月上中旬の水揚量は8千800トンで、前月から8%増加し、前年同月から15%減少した。価格は116円/kgで、前月の15%高、前年同月の21%高であった。

消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは宮城・千葉・富山・石川・静岡・鳥取・長崎等から、ごまさばは宮城・千葉・静岡等からであった。5月上中旬の入荷量は前月から7%減少し、前年同月から5%減少した。価格は前月並み、前年同月の14%高であった。

今後も水揚げが低調な状態が続くとみられ、東京への入荷量は低調・横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

するめいか

小型いか釣り漁船の漁場は、日本海側の山形~北陸~山陰~九州北部の広範囲に形成されたものの、全般的に低調であった。5月に入り、能登半島沖で操業が始まったが、前年同期よりも操業隻数・水揚げ箱数ともに少なく、1日あたり数~30隻・数十~900箱と非常に低調であった。魚体は30尾入りの小型サイズ主体であった。また、富山湾の定置網で引き続き漁獲がみられたものの、富山県によると、5月は83トンで前月(133トン)、前年同月(337トン)を下回った。一方、太平洋側では、5月末に下北半島沖で昼いか釣り漁が始まった他、三陸の定置網や底曳網による漁獲がみられた。

5月上中旬の生鮮するめいかの水揚量(富山湾の定置網は除く)は85トンで前月の2.8倍、前年同月から62%減少した。価格は543円/kgで、前月の17%安、前年同月の16%安であった。

消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、富山主体に山形・新潟・石川・山口・長崎等、活物は千葉であった。5月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から42%減少し、前年同月から61%減少した。価格は前月の23%高、前年同月の76%高であった。

6月に入り北海道でのするめいか漁が解禁され、今後、産地の水揚量は資源の不安はあるものの、徐々に増加することが期待される。生鮮物の東京への入荷量はやや増加し、小型主体の入荷が続くとみられるものの、全国的に低調な漁模様であることから、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

まあじ

まあじは、まき網では常磐沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲されたものの、全般的に低調であった。東シナ海では、対馬沖および中南部海域でまあじ主体に漁獲した。5月の水揚量は松浦で1千800トン(前月比192%・前年比80%)、長崎で2千200トン(前月比289%・前年比60%)と前月を上回ったものの、前年同月を下回った。対馬沖の魚体は100g前後主体で前月よりも小さいものが多かった。

5月上中旬の水揚量は3千800トンで、前月から35%増加し、前年同月から47%減少した。価格は242円/kgで、前月の4%安、前年同月の30%高であった。

消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に石川・鳥取・島根・高知・佐賀・鹿児島等、中小あじは新潟・石川・島根・鹿児島等、小・豆あじは神奈川・新潟・静岡・石川・富山・三重・高知等からであった。5月上中旬の入荷量は前月から12%減少し、前年同月から15%減少した。価格は前月の30%高、前年同月の38%高であった。

例年、4~5月は盛漁期を迎え入荷量が増加するものの、本年は低調なまま推移した。今後、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

かつお

かつお近海竿釣り船の主漁場は、常磐~房総沖、伊豆諸島周辺海域等に形成された。5月に入り、常磐~房総沖では例年通りびんなが漁が始まり、びんなが主体にかつお混じりの漁獲がみられた。伊豆諸島周辺海域ではかつお小主体に漁獲し、漁場が近いことから新口(前日物)主体の水揚げであった。気仙沼ではびんなが主体に水揚げされ、5月は4千200トンと、好漁であった2020年の9割程であった一方、かつおは33トンであった。千葉県勝浦ではかつお(1千400トン)主体に水揚げされた。

また、かつお・まぐろまき網漁は三陸~房総沖、伊豆諸島周辺海域でびんなが主体にかつお、きはだ、きめじ、めばち等を漁獲し、気仙沼、石巻、塩釜、銚子、千葉県勝浦等に水揚げした。

5月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、2千200トンで前月から46%増加し、前年同月から30%減少した。価格は480円/kgで、前月の6%高、前年同月の53%高であった。

消費地(東京)におけるかつおの入荷は、愛媛・鹿児島主体に宮城・千葉・伊豆諸島・静岡・三重・高知・宮崎等からみられた。5月上中旬の入荷量は前月から10%減少し、前年同月から4%減少した。価格は前月の11%安、前年同月の17%高であった。

今後、びんながに替わり三陸沖のかつおの漁獲が本格化するとみられ、東京の入荷量は増加し、卸売価格はやや弱含むと見込まれます。

(水産情報部)

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