4月上中旬は前月に引き続き南西諸島に漁場が形成されたが、下旬までには主漁場は熊野灘~伊豆七島周辺に移った(図1a)。魚体はカツオ極小~小主体だった。熊野灘~遠州灘は、4月中旬以降に黒潮大蛇行の北縁部から沿岸側への暖水波及がみられ、同海域での漁場形成の要因となった(図2赤丸)。また、前年同月は南西諸島が主漁場で特大が主体だったが(図1b)、本年は伊豆諸島ルートを北上する小型のカツオが前年より多かったため、熊野灘~伊豆七島周辺が主漁場となったとみられる。
4月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は2,399.4トンで(図3)、前年同月比112%、過去5年平均比96%だった。主要港の累積水揚量は、4月上旬は鹿児島港が最も多かったが、下旬には千葉県勝浦港に漁場が近くなったため同港が最多となった(図4)。4月末までの累計水揚量は、千葉県勝浦港が3,421.6トン、鹿児島港が2,798.2トン、御前崎港が216.1トンだった。全国平均価格は464円/kgとなり、前月を上回り、前年・過去5年平均を上回った(図5)。まき網による4月の水揚量は前月より増加し、前年同月および過去5年平均を大幅に上回った(図6)。水揚港別にみると、千葉県勝浦に199.8トン、銚子港に105.0トンで、房総周辺がまき網の主漁場になったとみられる。全国平均価格は363円/kgで、前月より高く過去5年平均並だった。
熊野灘~伊豆七島周辺の漁場は、しばらくは黒潮からの暖水波及により高水温が持続すると見込まれ、カツオの好漁も継続するとみられる。また房総~常磐のごく沿岸の5月15日の海面水温は20°以下で、カツオにとって低温だが、すぐ沖の142°E付近を黒潮続流が北上しているため(図7)、この周辺の20℃前後の海域も今後漁場になる見込みだ。
(水産情報部)