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2023年05月26日
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vol.1199 記事一覧

4月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

〇石巻港:4月の水揚量は7,857トンで、前月を上回り、前年並みであった(表1)。価格は前月・前年を上回った。石巻付近の定置網の魚種別水揚量の第1位は、前年12月以降マイワシとなったが、4月もマイワシが第1位であった。石巻湾の定置網の漁獲物は、体長17~21cm、体重40~90gの中型・大型群(2~4歳魚以上)主体に、体長13.5cm、体重20gモードの小型魚(1歳魚)が混じった(図1, 2)。前年の金華山付近の定置網の漁獲物は、体長16~18cm、体重35~60gの中型主体で、今年は前年より大型個体がやや多かった。

〇銚子港:4月の水揚量は約29千トンで前月・前年を下回った(表2)。価格は前月・前年を上回った。常磐犬吠海域のまき網の漁獲物は、3月同様に体長17~19cm、体重55~90gの中型群(2~4歳魚)主体に、体長20cm以上、体重90g以上の大型群(ニタリ、4歳以上)が混じった(図3. 4)。また、3月同様に前年よりやや大型であった。なお、三陸南部の定置網で見られた1歳魚はほとんど認められなかった。

2. 日本海側のマイワシとウルメイワシについて

〇境港:4月のマイワシの水揚量は6,424トンで前月を下回り、前年並みであった(表3)。価格は前月・前年を上回った。まき網の漁獲物は、体長18cm、体重70gモードの中小銘柄(1歳魚)主体に、体長19cm、体重90gモードの中銘柄(2歳魚)とそれ以上が混じった(図5, 6)。ウルメイワシの4月の水揚量は126トンであった。

3. 太平洋側のマサバについて

〇石巻港:4月の水揚量は318トンで、前月・前年を下回った(表4)。価格は前月・前年を下回った。

〇銚子港:4月の水揚量は1トンで、著しい不漁だった前月をさらに下回るとともに、不漁であった前年を大きく下回った(表5)。価格は前月・前年を下回った。本年のまき網の主漁場は前年同様に常磐~犬吠埼沖であったが、マイワシが主体となり、さば類は混じる程度であった。この一因として、3月同様に常磐海域の水温が黒潮続流の北偏によりかなり高かった可能性が考えられる。マイワシに混獲されたマサバは、体長(尾叉長)23cm、体重120gモードの1~2歳魚が主体で、体長30cm以上、体重300g以上の3歳魚以上は4月下旬になって出現した(産卵後の北上群と思われる)(図7、8)。

4. 東シナ海・日本海側のさば類について

〇松浦港:4月のさば類の水揚量は1,009トンと前月・前年を下回った(表6)。価格は前月・前年を下回った。大型まき網は対馬海域主体に操業し、九州西沖海域と東シナ海中・南部海域でも操業した。大型まき網による対馬海域の4月のマサバ漁獲量は前年・過去5年平均を上回った。対馬海域(山口県沖を含む)で漁獲されたマサバは、3月同様に体長28、32cm、体重330gモードの1、2歳主体に3歳魚が若干加わった(図9、10)。九州西沖海域と東シナ海中・南部海域では、体長24~26cm、体重240gモードの1、2歳魚が主体であった。

〇境港:4月のマサバの水揚量は4,933トンで前月・前年を上回った(表7)。価格は前月・前年並みであった。隠岐海峡で中型まき網により漁獲されたマサバは、体長31~32cm、体重440~540gモードの2~3歳魚が主体であった(図11、12)。

5. 東シナ海・日本海側のマアジについて

〇松浦港:4月の水揚量は1,384トンで、前月を上回り、前年を下回った(表8)。価格は前月を下回り、前年を上回った。大型まき網の漁場は、対馬海域を主体に、九州西沖海域や東シナ海中・南部海域にも形成された。対馬海域の4月の漁獲量は前年を下回り、過去5年を上回った。対馬海域と九州西沖海域の漁獲物は、体長(尾叉長)24cm、体重200~240gモードの2歳魚が主体であった。(図13, 14)。東シナ海中・南部海域の漁獲物は体長18cm、体重100gモードの1歳魚主体に体長23cm、体重200gモードの2歳魚が加わった。

6. まとめと今後の動向

太平洋側の4月のマイワシ漁場は常磐~犬吠海域に形成された。前年10月頃からマイワシ価格が高騰したことに加え、この海域では高水温が続いたため、まき網の狙いが1月からは従来のマサバからマイワシに変わったものと思われる。常磐~犬吠海域は5月も盛漁期であるため、期待できる。4月の山陰まき網船は3月のマイワシ狙いから4月入るとマサバ狙いに一旦は変更したが、下旬に再びマイワシ狙いとなった。そのため、山陰海域の4月のマイワシ水揚量は前月を下回り、前年並みであった。前年5月の水揚量は4月並であったため、5月も期待できる。

5月は常磐~犬吠海域では高水温が続くと予測されているため、さば類は期待薄である。5月の東シナ海のさば類の漁獲量は、例年4月より少ないため期待薄である。

5月の東シナ海のマアジの漁獲量は、対馬海域では例年4月並(盛漁期)、九州西沖海域では例年4月を下回るため、全体として4月を下回ると予測される。

(水産情報部)

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