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2023年05月26日
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vol.1197 記事一覧

4月の概況と5月の見通し

まいわし

まいわしは、まき網で常磐沖、静岡県沖、山陰沖等で漁獲された。三陸~常磐では1日あたり1千800~5千500トンのまとまった水揚げが8日間みられ、銚子主体に水揚げされた。魚体は55~90gの中羽主体で、加工原料や飼料向けが大半であった。境港でもややまとまり、1日あたり100~1千トンの水揚げが続いた。また、三陸では底曳網と定置網によるまとまった漁獲がみられた。石巻主体に水揚げされ、4月の両漁業種による水揚量は7千600トンで、前月の3.3倍、前年同月の1.4倍であった。

4月上中旬の主要港における水揚量(以下「4月上中旬の水揚量」という。)は3万3千トンで、前月から38%減少したものの、前年同月から9%増加した。価格は73円/kgで、前月の30%高、前年同月の65%高であった。

消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、石川主体に宮城・千葉・京都・鳥取等からであった。4月上中旬の入荷量は前月から8%減少し、前年同月から44%増加した。価格は前月並み、前年同月の7%安であった。

三陸~常磐沖で北上群の漁獲がまとまるのは入梅の頃(6月10日前後)と予想され、水揚量は徐々に増加するとみられる。東京への入荷量はやや増加すると見込まれるものの、鮮魚で流通する大型サイズの水揚げが少ないことから、卸売価格は横ばいと見込まれます。

さば類

さば類は、まき網では静岡県~三重県沖、山陰沖~九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲された。山陰沖では、4月中旬はまさば主体に漁獲され、境港で1日あたり1千トンを超える水揚げが2日間みられた。漁獲を制限していた九州のまき網漁は、TAC枠の前借りができるようになったものの、水揚量は前月を下回った。また、三陸沖では底曳網、三陸沿岸では定置網、富山湾では定置網、伊豆諸島水域ではタモすくい網による水揚げがみられた。

4月上中旬の水揚量は8千200トンで、前月から39%増加し、前年同月の2.1倍であった。価格は101円/kgで、前月の20%安、前年同月の5%安であった。

消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは宮城・千葉・富山・静岡・三重・長崎等から、ごまさばは千葉・静岡・三重・高知からであった。4月上中旬の入荷量は前月から19%減少し、前年同月から28%減少した。価格は前月の5%安、前年同月の20%高であった。

今後も水揚げが低調な状態が続くとみられ、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。

するめいか

小型いか釣り漁船の漁場は、主に日本海側の山陰~九州北部に形成されたものの、全般的に低調であった。また、富山湾の定置網で引き続き漁獲がみられたが、富山県水産情報システムによると、4月は147トンで前月(525トン)、前年同月(405トン)を下回った。

4月上中旬の生鮮するめいかの水揚量(富山湾の定置網は除く)は30トンで前月から49%減少し、前年同月から83%減少した。価格は655円/kgで、前月の20%安、前年同月並みであった。

消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、富山主体に新潟・石川・山口・長崎、活物は千葉・静岡・三重であった。4月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月並み、前年同月から36%減少した。価格は前月の4%安、前年同月の17%高であった。

例年、5月に入ると能登半島沖で小型サイズ主体に水揚げされ始める。今後、生鮮物の東京への入荷量はやや増加し、小型主体の入荷が続くとみられるものの全国的には水揚量が少ないことから、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。

まあじ

まあじは、まき網では常磐沖、三重県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲された。東シナ海では、さば類のTAC枠が追加されたこともあり漁獲が上向き、唐津(850トン・前月比139%)や松浦で(1千470トン・前月比130%)の水揚量は前月を上回ったものの、前年同月の半分程の水準で低調であった。魚体は対馬沖では240g主体、西沖では200g主体であった。

4月上中旬の水揚量は2千700トンで、前月の2.5倍、前年同月から39%減少した。価格は252円/kgで、前月の38%安、前年同月の1.5倍であった。

消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に千葉・石川・三重・鳥取・島根・高知・佐賀等、中小あじは新潟・静岡・鳥取・島根、小・豆あじは新潟・石川・京都・三重・高知等からであった。4月上中旬の入荷量は前月から37%増加し、前年同月から4%減少した。価格は前月の16%安、前年同月並みであった。

今後、盛漁期を迎え水揚げが本格化する時期ではあるものの、低調な漁獲が続いていることから、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

かつお

かつお近海竿釣り船の主漁場は、4月上~中旬は南西諸島周辺海域に、下旬は熊野灘~伊豆半島周辺海域に形成され、かつお極小・小主体に漁獲した。千葉県勝浦主体に鹿児島等に水揚げされ、勝浦では4月は1千500トンと前年同月(100トン)を大きく上回り、漁場が近いことから新口(前日物)主体であった。

また、かつお・まぐろまき網漁が始まり、伊豆諸島周辺海域できはだ・きめじ・くろまぐろ等を漁獲し、塩釜、千葉県勝浦、銚子等に水揚げした。

4月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、1千500トンで前月の1.6倍、前年同月から11%増加した。価格は451円/kgで、前月の4%高、前年同月の20%高であった。

消費地(東京)におけるかつおの入荷は、千葉・鹿児島主体に静岡・伊豆諸島・三重・愛媛・高知・宮崎等からみられた。4月上中旬の入荷量は前月の1.9倍、前年同月の1.5倍であった。価格は前月の5%安、前年同月の9%高であった。

今後、盛漁期に入り、産地の水揚量が増加することが予想され、東京の入荷量は増加し、卸売価格は弱含むと見込まれます。

(水産情報部)

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