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2023年04月26日
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vol.1192 記事一覧

3月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

〇石巻港:3月の水揚量は3,263トンで、前月を下回り、前年を上回った(表1)。価格は前月を下回り、前年を上回った。石巻付近の定置網の魚種別水揚量の第1位は、前年12月16日以降マイワシとなったが、3月もマイワシが第1位であった。石巻湾(網地島)の定置網の漁獲物は、体長17~22cm、55~110gの中型・大型群(2~4歳魚以上)で(図1, 2)、銚子港の水揚物(図3, 4)と似た組成であった。金華山付近の定置網の漁獲物は、体長13cm、体重25gモードの小型群(1歳魚)に中型群(2~4歳魚)が混じった(図1, 2)。

〇銚子港:3月の水揚量は約33千トンで前月を下回り、前年並みであった(表2)。価格は前月を下回り、前年を上回った。常磐犬吠海域のまき網の漁獲物は、2月同様に体長16.5~18cm、45~75gの中型群(2~4歳魚)主体に、体長20cm以上、90g以上の大型群(4歳以上)も混じった(図3, 4)。

2. 日本海側のマイワシとウルメイワシについて

〇境港:3月のマイワシの水揚量は18千トンで前月を上回り、前年並みであった(表3)。価格は前月をやや下回り、前年を上回った。マイワシの漁獲物は、体長16~18cm、65gモードの中小銘柄(1歳魚)が主体で、体長19cm、85gモードの中銘柄(2歳魚)とそれ以上が混じった(図5, 6)。ウルメイワシの3月の水揚量はなかった。

3. 太平洋側のマサバについて

〇石巻港:3月の水揚量は1,025トンで、前月を下回り、前年を上回った(表4)。価格は前月並みで、前年を下回った。

〇銚子港:3月の水揚量は1トンで、不漁だった前月・前年を更に下回った(表5)。価格は前月・前年を上回った。本年のまき網の主漁場は前年同様に常磐~犬吠埼沖であったが、マイワシが主体となり、さば類は混じる程度であった。この一因として、2月同様に常磐海域の水温が黒潮続流の北偏によりかなり高かった可能性が考えられる。

4. 東シナ海・日本海側のさば類について

〇松浦港:3月のさば類の水揚量は1,776トンと前月並みで、前年を上回った(表6)。価格は前月を下回り、前年並みであった。大型まき網は対馬海域主体に操業し、九州西沖海域でも操業した。大型まき網による対馬海域の3月のマサバ漁獲量は前年・過去5年平均を下回った。対馬海域(山口県沖を含む)で漁獲されたマサバは、前月同様に体長(尾叉長)26、34cm、体重200、420gにモードの1、2歳主体に3歳魚が若干加わった(図7, 8)。九州西沖海域では、体長30~39cm、体重320~620gの2、3歳魚が主体であった。

〇境港:3月のマサバの水揚量は1,171トンで前月を下回り前年を上回った(表7)。価格は前月を下回り、前年を上回った。

5. 東シナ海・日本海側のマアジについて

〇松浦港:3月の水揚量は1,153トンで、前月・前年を下回った(表8)。3月の価格は前月・前年を上回った。大型まき網の漁場は、九州西沖海域を主体に、対馬海域にも形成された。対馬海域の3月の漁獲量は前年・過去5年を下回った。九州西沖海域の3月の漁獲量は前年をやや下回り、過去5年平均を上回った。対馬海域の漁獲物は、体長20~23cm、体重120~160 g モードの2歳魚が主体に、19cm未満、80g未満の1歳魚が加わった(図9, 10)。九州西沖海域の漁獲物は、体長30cm、体重420gモードの3歳魚以上が主体であった。(図9, 10)。

〇境港:3月の水揚量は15トンで、前月・前年を下回った(表9)。

6. まとめと今後の動向

3月の太平洋側のマイワシ漁場は、常磐~犬吠海域に形成された。前年10月頃からマイワシ価格が高騰したため、この海域でのまき網の狙いが、1月からは従来のマサバからマイワシに変わったものと思われる。4月の常磐海域は盛漁期を迎えるため期待できる。山陰まき網は、2月下旬からマイワシに狙いを変えたため、3月も好漁となった。例年では4月はマサバやマイワシを狙うが、対馬暖流系の長期予報(対象:4~9月)ではマイワシは東シナ海・日本海とも前年・平年を上回るとされている。そのため、山陰海域でも4月はマイワシの好漁が期待される。

4月のさば類の漁獲動向は、太平洋側は従来から不安定であり、常磐海域の高水温が続くと予測されるため、期待薄である。東シナ海でも、4月の漁獲量は例年3月より少ないので期待薄である。一方、4月の東シナ海のマアジは盛漁期にあたり、漁獲量は例年3月並であるため、期待したい。

(水産情報部)

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