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2023年03月01日
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vol.1177 記事一覧

1月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

〇石巻港:1月の水揚量は4,364トンで前月・前年を上回った(表1)。価格は前月並みで前年を上回った。石巻付近の定置網の魚種別水揚量第1位は、前年12月16日以降マイワシとなったが、1月もマイワシが第1位であった。

〇銚子港:1月の水揚量は約11千トンで前月(水揚ナシ)を上回り前年を下回った(表2)。なお、銚子の1月のマイワシの水揚量は年により大きく変動し、2017年~2022年は3千トン~18千トンであった。価格は前年を上回った。金華山付近の定置網の漁獲物は、体長15cm、35gモードの小型群(主に1歳魚) 、体長17.5cm、55gモードの中型群(主に2歳魚と3歳魚)主体に、体長20cm、90gモードの大型群(4歳以上)も混じった(図1, 2)。常磐・犬吠海域のまき網の漁獲物は、2歳以上が主体で、前年よりやや大型個体が多かった。

2. 日本海側のマイワシとウルメイワシについて

〇境港:マイワシは1月には水揚げされなかった。ウルメイワシの1月の水揚量は前年並みの80トンであった。

3. 太平洋側のマサバについて

〇石巻港:1月の水揚量は2,401トンで前月を下回り、前年並みであった(表3)。価格は前月・前年を上回った。本年のまき網の主漁場は前年同様に塩屋崎~犬吠埼沖であった。

〇銚子港:1月の水揚量は3,172トンで前月・前年を下回った(表4)。価格は前年・前月を上回った。さば類の2007~2019年のまき網による1月の水揚量は増加傾向にあったが、前年・今年とも不漁であった。この一因として、常磐海域の水温が黒潮続流の北偏によりかなり高かった可能性が考えられる。1月の体長(尾叉長)組成と体重組成は同じ日でも操業により異なっていた。前年は29~35cm、体重250~400gの大型主体であったが、本年は上記大型魚に加え、23cm、120gモードの小型魚が多い操業もあった(図3、4)。

4. 東シナ海・日本海側のさば類について

〇松浦港:1月のさば類の水揚量は4,168トンで前月・前年を上回った(表5)。1月の価格は前月を下回り前年並みであった。大型まき網は対馬海域主体に操業し、九州西沖海域でも操業した。大型まき網による対馬海域の1月のマサバ漁獲量は前年・過去5年並みであった。対馬海域で漁獲されたマサバの体長(尾叉長)範囲は22~42cm、対馬海域では体長25、33cm、体重160、500gにモード、九州西沖海域では体長28、33cm、体重200、300g にモードがあった(図5、6)。対馬海域では0歳魚から2歳魚以上と幅広く、九州西沖海域では1歳と2歳魚以上が主体であった。

〇境港:1月のマサバの水揚量は8千トンで前月・前年を上回った(表6)。価格は前月・前年並みであった。

5. 東シナ海・日本海側のマアジについて

〇松浦港:1月の水揚量は860トンで前月・前年を下回った(表7)。1月の価格は前月・前年を上回った。大型まき網の漁場は対馬海域を主体に、九州西沖海域にも形成された。対馬海域の1月の漁獲量は前年・過去5年を下回った。対馬海域では12月には見られなかった体長20cm、体重120gモードの1歳魚が2歳魚以上(体長28cm、体重300gモード)に混じって漁獲された(図7、8)。九州西沖海域では。2歳魚以上(体長24、31cm、体重220、360gモード)が漁獲された。

〇境港:マアジ゙の水揚はなかった。

6. まとめと今後の動向

全国主要港における1月のさば類の水揚量は前年12月に引き続き低調で、前年を下回った。水揚港別にみると境港のマサバは前年を上回ったが、石巻港・松浦港は前年並み、銚子港は前年を下回った。太平洋側の1月の漁場は常磐~犬吠海域に形成されたが、漁況は低調であり、常磐海域の高水温が影響した可能性がある。一方、太平洋側のマイワシは順調に南下し、常磐~犬吠海域に漁場が形成された。前年10月頃からマイワシ価格が高騰したこともあって、この海域でのまき網の狙いが、従来のマサバからマイワシに変わったものと思われる。さば類の需要は大きいこと、資源状態は良好とみられることから、今後の降温とともに漁獲の回復を期待したい。

1月の境港の水揚量はマサバ主体に前年を上回り、前年2月の水揚量は1月を上回ったため、2月の好漁が期待される。1月の東シナ海のまき網では、マサバ主体にマアジとゴマサバも水揚げされた。主漁場は対馬海域であった。当海域の大型まき網に対するさば類のTAC配分枠がほぼ消化されたため、一部の漁船は山陰沖や常磐海域に移動した。今後の割当量の動向に注視したい。

(水産情報部)

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