〇厚岸港・浜中港:道東のマイワシは、たもすくい網漁業により12月上旬に水揚げされた。水揚量は前月を下回り前年を上回った(表1)。11月の価格は前月・前年を下回ったが、12月は水揚量が少なかったため上昇した。花咲港への水揚はなかった。
〇石巻港:12月の水揚量は前月を上回り前年を下回った(表2)。価格は前年を上回った。石巻付近の定置網の漁獲物の水揚量1位の魚種は12月15日まではカタクチイワシであったが、16日以降はマイワシとなった。
〇境港:マイワシは12月には水揚げされなかった。ウルメイワシの12月の水揚量は前年を下回り、価格は前年を上回った(表3)。
〇八戸港:12月の水揚量は前月並みだったが、不漁だった前年を更に下回った(表4)。価格は前年を下回った。
〇石巻港:12月の水揚量は前月および不漁だった前年を上回った(表5)。価格は前年を下回った。前年の漁場は主に犬吠埼沖に形成されたが、本年の漁場は三陸南部主体に犬吠埼沖にも形成された。この南下の遅れは、黒潮続流の北偏に伴う常磐海域の高水温によるものと考えられる。
〇銚子港:12月の水揚量は11月を上回り、 前年を下回った(表6)。価格は前年・前月を上回った。12月の体長(尾叉長)組成と体重組成のモードは、12月22日まではそれぞれ23cmと140gにあり、小型群のみであった(図1、2)。28日にようやく前年並みの33cmモード、300-400g主体(成魚:成熟する群と思われる)の組成となった(図1、2)。近年、マサバ太平洋系群の成長の遅れにより、体長20~30cmには1~3歳魚が混在し、体長のみから年齢を把握することが困難になっている。
〇松浦港:12月のさば類の水揚量は前月・前年を下回った(表7)。12月の価格は前月・前年を上回った。対馬海域主体に操業され、九州西沖海域でも操業された。対馬海域の12月のマサバ漁獲量は前年を上回り過去5年を下回った。対馬海域で漁獲されたマサバは体長(尾叉長)26~27cm、対馬海域では体長25、29、34cm、体重160、360gにモード、九州西沖海域では体長25cm、体重180gにモードがあった(図3、4)。九州西沖海域では0歳と1歳魚主体、対馬海域では1歳魚と2歳魚以上が主体に0歳魚も混じった。
〇境港:12月のマサバの水揚量は前月を下回り前年を上回った(表8)。価格は前月を上回り前年並みであった。
〇松浦港:12月の水揚量は前月・前年を上回った(表9)。12月の価格は前月・前年を下回った。漁場は九州西沖海域と対馬海域に形成された。九州西沖海域の12月の漁獲量は前年・過去5年を下回った。対馬海域の12月の漁獲量は前年を上回り過去5年平均並みであった。九州西沖海域で漁獲されたマアジは体長(尾叉長)25cmにモード、体重180gにモードがあり(図5、6)、1歳魚主体であった。対馬海域では体長29cm、34cm、39cmにモード、体重300g~800gが主体で、2歳魚以上が主体であった。
〇境港:マアジ゙の水揚量は前月を下回り、前年を上回った(表 10)。価格は前月・前年を上回った。
全国主要港における12月のさば類の水揚量は11月に引き続き低調で、前月・前年を下回った。水揚港別にみると12月の境港のマサバと石巻港のさば類の水揚量は前年を上回ったが、八戸港・銚子港・松浦港は前年を下回った。太平洋側の12月の主漁場は三陸南部で、前年に比して南下が遅れ、小型魚主体であった。12月28日にようやく前年並みの大型魚がまき網で漁獲された。今後の降温とともに漁獲の増加が期待される。太平洋側のマイワシは12月中旬から三陸南部の定置網で漁獲が見られ、南下が始まった。
12月の日本海側のまき網では、マサバとマアジ主体に水揚され、これら2魚種の水揚量は前月を下回ったが、前年を上回った。12月の東シナ海のまき網では、マサバ主体にマアジとゴマサバも水揚げされた。漁場はマサバが対馬海域主体に九州西沖海域、マアジが対馬海域と九州西方海域であった。東シナ海におけるさば類の近年5年平均漁獲量は1月が12月を大きく上回っていることから、今後の漁獲に期待したい。
(水産情報部)