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2023年01月24日
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令和4年12月の海況について

12月に入り、北部太平洋や日本海北部を中心に降温が進んだが、常磐~三陸~道東沖では高水温が続き、近年(2011~2020年)より2~6℃も高めの海域が広がった。

黒潮域

・大蛇行は12月も継続し、四国~潮岬沖(図1-④)では黒潮流路の離岸が続いた。蛇行部も変動は小さく、遠州灘沖では屈曲部が停滞した(図1-①)。房総半島南東沖では冷水渦(図1-B)の影響で流路は離岸した。

・黒潮流軸周辺の海面水温は、前月は四国まで25℃以上であったが、今月は沖縄沖まで後退し、九州~四国沖は23℃、潮岬沖~伊豆諸島~房総半島沖は21~22℃に降温した。

・遠州灘~熊野灘(図1-①)の海面水温は、黒潮流軸の屈曲部から暖水波及が続いて、近年より1~2℃高めであった。

・四国~潮岬(図1-④)の海面水温は、寒気と平年より風が強かった影響や黒潮流路が離岸し蛇行内側部の冷水渦の影響を受けたため、前月に引き続き近年より1℃前後低めであった。

・房総半島南東沖の海面水温は冷水渦(図1-B)の影響で近年よりやや低めであった。

・沖縄東沖(図1-②)の海面水温は近年より1℃前後高めの状態が続き、小笠原周辺や南鳥島沖(図1-③)は平年より風が強かった影響で、近年より低め海域が広がった。

黒潮域の海面水温の前年差

・四国~潮岬沖(図1-④)の海面水温は、黒潮流路が前年より四国沖で接岸した影響で1℃前後高めであった。

・黒潮蛇行の最南下部の緯度はおおむね前年並みであったが、北上部が東偏したため、熊野灘~遠州灘沖(図1-A)の海面水温は前年より1~2℃低めで、伊豆諸島~関東沖はやや高めであった。

・房総半島南東沖(図1-B)の海面水温は、冷水渦の影響で、近年偏差同様やや低めであった。

親潮域・混合水域

・黒潮続流の流路の常磐沖での北限は38°N前後に達し、前月に引き続き近年では最も北偏していた。

・黒潮続流の流路は、常磐北部ではやや接岸が進み、仙台湾沖に弱い屈曲部が停滞した。

・暖水渦(図1-D)はやや縮小しながら北西進し、道東沖の暖水渦(図1-F)は勢力を保ち停滞した。

・常磐~三陸南部(図1-⑤)、三陸沖~道東沖(図1-⑦)および道東東沖合(図1-⑧)の海面水温は、黒潮続流の接岸や北偏に伴う暖水波及や暖水渦の影響で近年よりかなり高めであり、特に常磐~三陸南部は近年より2~6℃も高かった。

・親潮面積は平年(1993~2017年)よりかなり小さめで、親潮第1分枝は根室半島付近、第2分枝も暖水に阻まれて41°30′N・148°30′Eに停滞した(図1-⑨)。

・襟裳岬沖(図1-⑥)の海面水温は、引き続き親潮系水の影響で近年より低めであったが、周囲の暖水に阻まれ低めの海域は拡大しなかった。

親潮域・混合水域の海面水温の前年差

・襟裳岬~三陸北部沿岸(図1-⑥)の海面水温は、暖水渦が停滞していた前年と比べ、2℃前後低めであった。

・一方、常磐北部~三陸南部(図1-⑤)および三陸~道東沖合(図1-⑦、⑧)の海面水温は、親潮系冷水が発達し始めていた前年と比べ、黒潮続流北上や暖水波及および暖水渦の影響で、前年より2~6℃も高かった。

東シナ海

・南部は寒気と平年より風が強かった影響で低めであったが、北部には高めの海域が残った(⑩)。

日本海

・対馬暖流は、山陰西部沖の蛇行(図1-⑫)が縮小したが、引き続き大和堆付近を通過し、男鹿半島沖で蛇行した。

・対馬暖流の勢力は平年より強めの状態が続き、東朝鮮暖流域には明確な渦構造はないが暖水が停滞して、海面水温は近年より2~4℃高めの状態が続いた(図1-⑪)。また、大和堆付近や津軽半島~北海道沖(⑬)の海面水温も暖水の影響で2℃前後高めであった。

・ピョートル大帝湾(図1-⑭)沖からは対馬暖流が蛇行する山陰西部沖(図1-⑫)にかけて冷水が南下し、海面水温は近年よりやや低めであった。

日本海の前年差

・ピョートル大帝湾沖(図1-⑭)の海面水温は、東朝鮮暖流系水が北上した前年と比べ2~3℃低かった。

・山陰沖の海面水温は、対馬暖流蛇行の影響で前年より1~2℃低かったが、北陸沖では対馬暖流離岸の影響で高めであった。

(海洋事業部)

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