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2022年11月24日
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10月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1. 近海竿釣り船の漁場

10月の近海カツオ竿釣り船の主漁場は、上旬~中旬には三陸はるか沖150°E以東に形成され、中~下旬は東北沿岸、伊豆諸島周辺、熊野灘~遠州灘にも分散して形成された(図1a赤楕円,図2)。魚体は、三陸はるか沖では「特大」主体(図2a,c)、東北沿岸では「中~大」主体(図2b)、伊豆諸島周辺では「中~大」主体(図2b,c)、熊野灘~遠州灘では「小」または「特大」主体となり(図2a~c)、前月に引き続き全体的に量は少なかった。また、例年より早く、漁場を東北海域より南方へ移す船が多かった。これは、東北海域で漁獲量が伸びなかったためとみられる。1日1隻当たりの漁獲量は月平均2.1トン/隻・日と低迷し、前月・前年より少なかった(図3)。

2. 水揚量と価格

10月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は1,144トンで、前年同月比46.9%、不漁だった2020年同月比38.1%となった。本年8月以降の月別水揚量は近年では最低水準で、不漁が続いている(図4)。主要3港の累計水揚量は、10月末時点で気仙沼が7,472トン(前年比36%)、房総勝浦が7,134トン(前年比94%)、鹿児島が6,845トン(前年比111%)となった。例年は気仙沼が夏以降の水揚げで他の漁港を大きく引き離していたが、今年は東北沖の不漁を受けて伸びなかった(図5)。

釣りによる10月の生鮮カツオの全国平均価格は575円/kgで、7月以降高値で推移し、10月の月平均価格は2017年以降で最も高かった(図6a)。

まき網によるカツオの水揚げは10月にはほとんどなく、長崎県松浦で断続的に少量が水揚げされ、量がまとまらなかったためか価格は175円/kgで、前年・過去5年平均を下回った。

3. 今後の見通し

11月上旬で気仙沼港への水揚げは終了したとみられるが、今期は東北海域で例年主体となる体重3~4kgの脂乗りのいい「戻り鰹」はほとんど水揚げされなかった。今後、主漁場が伊豆諸島以西へ移る見通しだ。また、西日本では鹿児島で例年並のカツオの水揚げが続いており、年内は水揚げが続くとみられる。

(水産情報部)

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