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2022年11月18日
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vol.1146 記事一覧

10月の概況と11月の見通し

まいわし

まいわしは、まき網では道東沖や山陰沖等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまいわしまき網漁は、20数船団が操業した。1日あたり3千~5千トン前後の安定した漁獲が続き、釧路、広尾を中心に気仙沼、石巻等に水揚げされた。魚体は50g台の小中羽主体であった。道東沖のまき網漁の操業は、例年通り10月末で終漁した。また、道東沖ではまいわし棒受網・タモすくい漁が行われ、花咲、浜中に水揚げされた。一方で、三陸沿岸では定置網による漁獲がみられた。

10月上中旬の主要港における水揚量(以下「10月上中旬の水揚量」という。)は4万5千トンで、前月から18%増加し、前年同月から21%減少した。価格は53円/kgで、ミール向けの価格が高めで推移していることを反映し、前月の13%高、前年同月の44%高であった。

消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、愛知主体に北海道・宮城・千葉等からであった。10月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から3%増加した。価格は前月の16%高、前年の11%安であった。

道東沖のまき網漁が終漁し、産地の水揚量が減少することから、今後、東京への入荷量は減少し、卸売価格は強含みと見込まれます。

さば類

さば類は、まき網では、八戸沖、常磐沖、太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲された。九州対馬沖・西沖ではまさば主体にごまさばの漁獲がみられ、西沖のまさばの魚体は、200g前後の小型魚主体に300~600gが混じった。一方、三陸沖では底曳網による漁獲がみられ、石巻で1日あたり100~200トンのまとまった水揚げが続いた。三陸沿岸では、引き続き定置網での漁獲がみられた。また、伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が行われ、ごまさばを漁獲した。

10月上中旬の水揚量は8千トンで、前月の2.2倍、前年同月から19%減少した。価格は112円/kgで、前月の17%安、前年同月の4%高であった。

消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは北海道・岩手・宮城・千葉・富山・三重等から、ごまさばは岩手・宮城・三重からであった。10月上中旬の入荷量は前月から11%増加し、前年同月から5%減少した。価格は前月の18%安、前年同月の23%安であった。

今後、水温の低下により三陸・常磐沖の水揚量が徐々に増加すると予想され、東京への入荷量はやや増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。

するめいか

小型いか釣り漁船の漁場は、日本海側では北海道西~道南~山形~北陸~山陰~九州北部に、太平洋側では道東~青森~岩手沖に形成されたものの、全般的に低調であった。三陸各地では沖合底曳網によりややまとまった水揚げが続く一方、定置網による漁獲は低調であった。10月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、1千500トンで前月から15%減少し、前年同月から12%増加した。価格は、各地とも水揚げが非常に低調であったことや、物価や燃油の高騰等が影響し、1,014円/kgと過去最高で、前月の10%高、前年同月の66%高であった。

一方、中型いか釣り船(船凍)による日本海のするめいか漁は、大和堆西及び隠岐諸島北に漁場が形成され、1日1隻あたりの漁獲量は100~500箱と船間差、日間差があった。10月の冷凍するめいかの平均価格は1,205円/kgで、2019年に次ぐ高価格となった。

消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、北海道主体に青森・福島・石川等、活物は三重・和歌山であった。10月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から47%減少し、前年同月から64%減少した。価格は前月の11%高、前年同月の32%高であった。

今後も低調な漁獲が続くと予想され、生鮮物の東京への入荷量は少なく・横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

まあじ

まき網では常磐沖~房総沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等に漁場が形成された。あじ主体の漁獲は山陰沖で、境港の10月の水揚量は1千900トンと台風の影響で低調であった前月(490トン)から上向いた。魚体は100gの小型魚主体であった。九州対馬沖・西沖では、さば類主体にあじの漁獲がみられた。一方、三陸沿岸では引き続き定置網や底曳網による水揚げがみられた。

10月上中旬の水揚量は2千900トンで、前月の3.3倍、前年同月から18%増加した。価格は254円/kgで、前月の49%安、前年同月の6%高であった。

消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に鳥取・島根・山口・佐賀等、中小あじは千葉・山口・長崎等、小・豆あじは石川・京都主体に岩手・石川・京都・三重等からであった。10月上中旬の入荷量は前月の1.4倍、前年同月から14%減少した。価格は前月の35%安、前年同月の10%高であった。

東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

かつお

かつお近海竿釣り船の漁場は、三陸沖合145~155度および三陸北部~常磐沿岸等に形成され、10月中旬~下旬には伊豆諸島周辺海域や熊野灘沖でも操業した。かつお主体に水揚げし、1日1隻あたりの平均漁獲量は0.4~2.5トンと前月と比べて低調となった。例年この時期に水揚げの主体となる気仙沼の10月の水揚量は、380トンで前年同月の25%にとどまった。三陸沖で操業する船は徐々に減少し、例年より早く切り上げつつある。

一方、かつお・まぐろまき網漁は10月中旬に今期の水揚げが終漁した。

10月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、1千トンで前月から56%減少し、前年同月から55%減少した。価格は521円/kgで、前月の10%高、前年同月の72%高であった。

消費地(東京)におけるかつおの入荷は、鹿児島主体に宮城・千葉・三重・宮崎等からであった。10月上中旬の入荷量は前月から24%減少し、前年同月から53%減少した。価格は前月の27%高、前年同月の2倍であった。

水揚げの主力である三陸沖のかつお一本釣り漁の終漁が近いことから、東京への入荷量は減少し、卸売価格は強含みで推移すると見込まれます。

さんま

さんま棒受網の主漁場は花咲沖210~520海里付近に形成された。道東・三陸各港に水揚げされ、合計で1日あたり300~900トンの水揚げが続いた。8~10月の累計水揚量は1万1千トンで、記録的不漁であった前年同期(8千800トン)を上回ったものの、低水準であった。魚体は90~110g主体と前年よりも小さく、120gを超す個体は少なかった。

10月上中旬の水揚量は4千500トンで前月の2.4倍、前年同月から39%増加した。価格は677円/kgで、前月の18%高、前年同月並みであった。

さんまの入荷は、北海道主体に岩手・宮城・福島からであった。10月上中旬の入荷量は前月の2.2倍、前年同月から28%増加した。価格は前月の4%安、前年同月並みであった。

11月に入っても漁獲が続いており、漁場も次第に近づいてくると予想されることから、今後、産地の水揚量は増加すると見込まれ、東京への入荷量はやや増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。

(水産情報部)

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