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2022年10月25日
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令和4年9月のスルメイカ漁況について

1.9月のスルメイカ漁について

1)全国の生鮮スルメイカの水揚げ動向

JAFIC主要港における生鮮スルメイカ(全国)の2022年9月の水揚量は2,571トンで、前月を4割上回ったものの、2021年9月を2割下回った(図1、表1)。2018~2021年の過去4年の9月平均4,263トンを4割も下回り、水揚げの伸びを欠き、低調な漁獲であった。

2022年1~9月の累計水揚量(全国)は10,894トンで、2021年同期を13%上回った(図2、表1)。9月の水揚量を海域別にみると、オホーツク海(稚内~羅臼含む)は15トンで、前年9月の1/20と低調であった。釧路は9月に277トンの漁獲があったが、全量が沖底物であった。花咲も9月前半は1日数隻が数十箱の水揚げと少なかったが、9月後半は1日30~40隻が発泡1千箱の水揚げと、上向いた。花咲の9月末累計では前年の1割と、好調だった前年8月の落ち込みが大きかった(前年8月278トン、今年8トン)。三陸・常磐は1,707トンで9月累計比は3割増。特に青森太平洋側の昼いか釣りが好調だったが、八戸沖のまき網と沖合底曳網は水揚げの伸びを欠いた。日本海側の道南桧山で9月にまとまり90トン、9月末累計では前年の4倍であった。

2)生鮮スルメイカの月別平均価格の推移

2022年9月の生鮮スルメイカの平均価格は917円/kgで前月の683円/kgの34%高で、2000年1月以降では最高価格であった(図3)。

3)各地の漁場形成の特徴

①日本海小型いか釣り

小型いか釣り船による9月のスルメイカの漁場は以下のとおり。壱岐諸島・対馬沖周辺(図4-A)では、ケンサキ主体スルメイカ混じりで、時化が多く低調な漁況であった。

金沢港の8月の水揚量は500トンと例年より多かったが、9月は100トンと前年・前々年並みであった(図5)。

新潟港では、9月に南下群を少量漁獲した。累計水揚量は400トンで、低調だった前年の2倍であった(表1、図6)。

酒田港では、9月末の累計水揚量は278トンで、2021年から倍増したが、2020年から半減した(表1、図7)。

稚内港の年間漁獲量は、2017年は2千トンを超えたが、2019~2021年には150~390トンに減少した。今期は9月末現在で、ほとんど漁獲がない。

②太平洋小型いか釣り等

道東の根室・花咲や厚岸で小型いか釣りによる昼いか漁が8月に始まった。花咲港の水揚量は、前年8月は2016年以降最多の278トンであったが、今年の8月は8トンと低迷し、今年の9月は前年同月並みの31トンであった(表1、図9)。釧路港の釣りによる漁獲は前年同様に皆無で、沖合底曳網で少量が水揚げされたのみであった(表1、図10)。

八戸港の9月の水揚量は996トンで前年同月並みであったが、2018~2020年9月から半減した(表1 、図11)。

沖合底曳網は2ヶ月の休漁後に9月から操業を再開した。八戸の生鮮スルメイカの漁獲物の9割は沖合底曳網による漁獲物が占めた。9月上旬は1日100トン以上の水揚げが続き、2021年並みとなったが、中旬以降、1日の水揚げが数十トンと伸びを欠き、2020年から半減した。国産の加工原料不足を反映し、底曳網物でも釣り物を上回る1千円/kgの2020年の2倍の高価格となった(表2)。

③日本海中型いか釣り

9月の中型いか釣り船(船凍船)の主漁場は、大和堆~隠岐諸島北の日韓暫定水域内で操業し、前年8~9月に好漁が続いた大和堆北のロシア水域内で操業する船は、今期はなかった。9月は時化休みを挟んだものの、1日1隻当たり1~2トンとまずまずの漁獲であった。350~400g級(18~25尾入/8kg)の大型サイズの割合が増加したものの320g級の比率が昨年より15%少なかった。1隻1航海(1ヶ月半程度)当たり水揚量は、8月は2千500箱程度であったが、9月になると大型サイズが増え、3千500~4千箱に上向いた。9月の水揚量は1千トンで前年同期の半分、2018年同期の1/4と少なく、平均価格は1,100円/kgと、2019年漁期に次ぐ高価格となった(図12~13)。

2.まとめと今後の動向等について

小型いか釣り船による道東~三陸の8~9月の漁況は、予想よりも水揚量が伸び悩み、低調であった。一方、価格は国産原料不足を反映し、生鮮スルメイカ・冷凍スルメイカとも過去最高となった。冷凍スルメイカ類(アメリカオオアカイカ・アルゼンチンマツイカを含み、調整品を除く)の輸入量は2017年~2021年は年間8~9万トンで、約半分が中国産であった。円安も進んでおり、国産原料の不足分を輸入物で補うことが厳しい状況になっている。

(水産情報部)

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