まいわしは、まき網では道東沖や常磐沖、山陰沖等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまいわしまき網漁は、20数船団が操業した。1日あたり1千~5千トンのまとまった漁獲が続き、釧路と広尾に水揚げされた。道東沖ではまいわし棒受網漁が引き続き行われ、花咲主体に釧路、厚岸等に水揚げされた。魚体は60g台の小中羽主体で、型の良い100g台も混じった。また、三陸沿岸では定置網による漁獲がみられた。
9月上中旬の主要港における水揚量(以下「9月上中旬の水揚量」という。)は3万8千トンで、前月の3.9倍、前年同月から14%減少した。価格は47円/kgで、前月の4%安、前年同月の44%高であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道・千葉主体に愛知からであった。9月上中旬の入荷量は前月から34%増加し、前年同月並みであった。価格は前月の12%安、前年の26%安であった。
引き続き各地で鮮魚サイズの漁獲は少ないとみられ、今後、東京への入荷量は少なく横ばい、需要が低下するとみられ、卸売価格はやや弱含みと見込まれます。
さば類は、まき網では、八戸沖、常磐沖、太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、九州西沖(五島沖)等で漁獲された。八戸沖では、するめいか混じりでさば類が漁獲され、1日あたり20~400トンの水揚げが散発的にみられた。九州西沖では台風の影響もあり、9月上中旬は水揚げがほとんどみられなかったものの、下旬はあじ主体にさば類の漁獲がみられた。一方、三陸沖では、9月に入り底曳網の操業が解禁され、石巻、宮古に水揚げした。三陸沿岸では、引き続き定置網での漁獲がみられた。また、伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が行われ、ごまさばを漁獲した。
9月上中旬の水揚量は3千500トンで、前月から25%増加し、前年同月から34%減少した。価格は135円/kgで、前月の3%高、前年同月の30%高であった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは青森・岩手・宮城・石川・三重・長崎等から、ごまさばは岩手・宮城・千葉・静岡・三重からであった。9月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から4%増加した。価格は前月の21%高、前年同月並みであった。
今後、さば類の水揚げは低調ではあるものの増加すると予想され、東京への入荷量は増加し、需要期であることから卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
小型いか釣り漁船の漁場は、日本海側では北海道西~道南~山形~北陸~山陰~九州北部に、太平洋側では道東~青森~岩手沖に形成されたものの、全般的に低調であった。9月に入ると、三陸各地で沖合底曳網が解禁された。八戸では1日あたり数トン~170トン、宮古では数トン~50トン、石巻では数トン~20トンと前年より低調ではあるものの、ややまとまった水揚げが続いた。八戸沖では8月以降、まき網でさば・するめいか混じりの漁獲がみられたものの、8~9月の累計水揚量は138tと非常に低調であった。また、三陸沿岸では定置網による漁獲がみられたものの、まとまった水揚げはみられなかった。
中型いか釣り船(船凍)による日本海のするめいか漁は、大和堆及び隠岐諸島北で操業し、1日1隻あたり100~400箱のまとまった漁獲がみられた。
9月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、1千700トンで前月から83%増加し、前年同月から9%減少した。価格は924円/kgで、前月、前年同月の42%高であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、北海道・石川主体に青森・山形・秋田・新潟等、活物は三重・和歌山であった。9月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から28%減少し、前年同月から39%増加した。価格は前月の28%高、前年同月の5%高であった。
今後も全国的に漁獲は低調な状態が続くと予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まき網では常磐沖~房総沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等に漁場が形成された。山陰沖、東シナ海は、台風の影響もあり、低調な漁模様であったものの、台風通過後の9月下旬には、あじ主体・さば混じりの漁獲がみられ、あじの水揚げが上向いた。一方、三陸沿岸では引き続き定置網や底曳網による水揚げがみられた。
9月上中旬の水揚量は700トンで、前月から23%減少し、前年同月から66%減少した。価格は513円/kgで、前月の12%高、前年同月の89%高であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎・鳥取主体に宮城・石川・島根・鹿児島等、中小あじは宮城・石川主体に三重・鳥取・島根等、小・豆あじは石川・三重主体に岩手・京都等からであった。9月上中旬の入荷量は前月から4%減少し、前年同月から34%減少した。価格は前月の10%安、前年同月の62%高であった。
今後も低調な水揚げが続くとみられ、東京への入荷量は低調で横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の漁場は、三陸北部~常磐沿岸および沖合145~156度、伊豆諸島周辺海域に形成され、かつお主体の漁を行った。三陸~常磐では、沿岸は小型魚主体、沖合は大型魚主体の水揚げであった。1日1隻あたりの平均漁獲量は1.4~7.7トンで、気仙沼主体に千葉県勝浦等に水揚げされた。依然、主漁場は沖合・南寄りのため、気仙沼では、2~3日物主体に水揚げし、水揚量は前年同月の30%にとどまった。
一方、かつお・まぐろまき網漁は、北海道・青森県沖~三陸沖~常磐沖~伊豆諸島周辺海域で操業し、くろまぐろ・かつお・きはだ・きめじ等を漁獲した。
まき網によるかつおの漁獲は1日1隻あたり数トン~60トンと前月を上回ったものの、例年と比べて低調であった。
9月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、2千300トンで前月から31%増加し、前年同月から62%減少した。価格は478円/kgで、前月の13%安、前年同月の2.5倍であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、千葉主体に宮城・神奈川・静岡・三重・長崎・鹿児島等からであった。9月上中旬の入荷量は前月から7%増加し、前年同月から53%減少した。価格は前月並み、前年同月の2.7倍であった。
今後、漁期終盤で産地の水揚量が徐々に減少すると予想され、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
さんま棒受網の主漁場は花咲沖470~840海里付近に形成され、道東・三陸各港に水揚げされた。9月上旬の水揚量は、道東・三陸合計で1日あたり数十トンと低調に推移したものの、中下旬は200~800トンの水揚げが続き、徐々に上向いた。9月上旬は60~90gの小型魚主体であったものの、中下旬は90~110g主体と魚体はやや大きくなった。
9月上中旬の水揚量は1千800トンで前年同月から35%増加した。価格は576円/kgで、前年同月の24%安であった。
消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手・宮城からであった。9月上中旬の入荷量は前月の4倍、前年同月から18%増加した。価格は前月の15%安、前年同月並みであった。
今後、漁期が進むにつれて東京への入荷量はやや増加するものの、水揚げが低調なことから、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
(水産情報部)