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2022年09月27日
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令和4年8月のスルメイカ漁況について

1.8月のスルメイカ漁について

1)全国の生鮮スルメイカの水揚げ動向

JAFIC主要港における生鮮スルメイカ(全国)の2022年8月の水揚量は1,753トンで、前月から25%減少し、前年同月を44%上回ったものの、2020年・2019年同月の半分と、引き続き低調な漁獲であった(図1、表1)。

2022年1~8月の累計水揚量(全国)は8,245トンで、2021年同期を3割上回ったものの、2018年~2020年同期を2~3割下回った(図2、表1)。海域別にみると、道東で著しく不漁であったほか、道央と九州で前年を下回ったが、その他の海域で前年を上回った(表1)。特に、道南・三陸・常磐で好調であった。

2)生鮮スルメイカの月別平均価格の推移

2022年8月の生鮮スルメイカの平均価格は671円/kgと前月の15%高で、前年8月の673円に匹敵する価格となった(図3)。なお、9月に入っても釣り主体に水揚量が伸びないことから、9月前半の平均価格は897円/kgと、近年で最も高かった2019年10月の827円/kgを上回った。

3)各地の漁場形成の特徴

①日本海小型いか釣り

小型いか釣り船による8月のスルメイカの漁場は以下のとおりである。壱岐諸島・対馬沖周辺(図4のA)では、引き続きケンサキ主体にスルメイカ混じりの漁獲であった。スルメイカの加入が少なく、山陰以西の漁獲は低調であった。例年、金沢港では6月が水揚げのピーク(2020年は年間6千トンの半分の3千トンを6月に水揚げ)となるが、今年は7月(1.2千トン)にずれ込んだほか、8月の水揚げも500トンと前年同月の2倍以上で、例年より多かった(図5)。

新潟港では、今年の漁場水温が平年より約1℃高いことから、スルメイカの北上が早かった。そのため、6月の水揚量は220トンと近年最多で、前年を2倍上回ったものの、後続群が少なく7月に水揚げが半減し、8月は8トンとさらに水揚げが減った(表1、図6)。

酒田港では、新潟港同様に昨年を上回ったものの、6~8月に水揚量の伸びを欠いて失速した(表1、図7)。

稚内港の年間漁獲量は、2017年は2千トンを超え、8月でも1千トンを超えていた。しかし、2018年には1.7千トン、2019年・2020年には300トンに減少し、2021年は146トンとなった。このように、稚内沖まで日本海を北上する群は、2018年以降年々減少し、今年は7月の水揚はなく、8月は5kgであった。

②日本海中型いか釣り

7月の中型いか釣り船(船凍船)の主漁場は、大和堆西部(図4のC)で1日1隻当たり1トン前後の低調な漁が続いた。アカイカ漁を終えた全船が、7月下旬~8月上旬に一斉に八戸で陸揚げ後、日本海のスルメイカ漁に切り替え、操業隻数が7月中の12隻から8月中は40隻前後に増加した。8月になると1日1隻当たり2~3トンに上向き、大和堆の漁場も能登半島沖の東寄りに拡大した。1隻1航海(1ケ月半)あたりの水揚量も7月の20トンから8月は30トンに増加した。また、サイズは1尾300~200g主体から、1尾400g級の特大サイズの割合が増えた。

③太平洋小型いか釣り等

8月中旬になると道東の根室・花咲や厚岸で小型いか釣りによる昼いか漁が始まった。根室・花咲港の水揚量は、前年8月は280トンあったが、今年の8月は14トンに減少。厚岸港で前年8月は13トンあったが、今年の8月は1トンに減少した。釧路・広尾・浦河沖では8月までの漁獲が皆無であった(表1、図9)。

下北半島沿岸では、7月から小型いか釣りによる昼いか漁が行われており、一帯で1日当たり50トンの好漁が8月末まで続いた。

八戸沖の大中型まき網ではスルメイカ・サバ混じりの漁獲が8月中旬からみられ、8月末のスルメイカ累計水揚量は98トンで、前年の年計86トンを上回ったものの、引き続き少なかった。

八戸港や石巻港では、休漁していた沖合底曳網が2ヶ月ぶりに9月に操業を再開した。八戸港では1日100トンの水揚げが続き、好調な出足となった。原料不足(特に国産)を反映し、底曳き網物でも1千円/kgの高価格の発進となった。

2.まとめと今後の動向等について

小型いか釣り船による日本海の漁模様は、金沢港では8月になるとピークは過ぎたものの、この時期としてはまとまった水揚げが続いた。能登半島以北では、新潟~道南では酒田港を除いて低調になった。小樽~稚内では今期はまとまった水揚げがなかった。

一方、太平洋側は下北半島周辺(泊~白糠~三沢~八戸~久慈)の昼いか釣り漁が7~8月は1日合計1万箱(50トン)とまとまったが、9月初頭になると1日合計3千~4千箱(15~20トン)に半減するとともに、時化等もあり漁が切れ始めた。

道東の根室・花咲港では、小型いか釣り(昼いか漁)が8月中旬に開始されたが1日合計0.5トンで下旬に1日合計2トンに増加したものの、9月に入ると1日合計0.1トンと再び低迷した。一方、釧路港では9月に入ると八戸や石巻同様に沖合底曳網のスルメイカが水揚げされ始め、9月中旬に30トン前後の水揚げが2日間続いた。

下北半島~三陸の小型いか釣りの水揚量は8月まで前年をかなり上回ったほか、八戸の沖合底曳網によるスルメイカの水揚は9月20日現在の9月累計で昨年並みの730トンと好発進しており、原料不足・原料価格が高騰する中、今後の動向が注視される。

(水産情報部)

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