まいわしは、まき網では道東沖や八戸沖、三陸~常磐沖、山陰沖及び松浦沖等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまいわしまき網漁は、10数船団が操業した。時化やお盆の休漁もあり、1日あたり数百~2千トンの漁獲が散発的にみられ、釧路と広尾に水揚げされた。また、道東沖ではさけ・ます流し網漁業代替のまいわし棒受網漁が引き続き行われ、花咲、釧路主体に水揚げされた。魚体は40~50gの小中羽主体であった。
8月上中旬の主要港における水揚量(以下「8月上中旬の水揚量」という。)は9千700トンで、前月から85%減少し、前年同月の2.7倍であった。価格は49円/kgで、前月の9%高、前年同月の16%高であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、千葉・鳥取主体に北海道・愛知等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から76%減少し、前年同月から44%減少した。価格は前月の27%高、前年の3%安であった。
引き続き各地で鮮魚向けとなる大型サイズの漁獲は少ないとみられ、今後、東京への入荷量は少なく横ばい、卸売価格は横ばいと見込まれます。
さば類は、まき網では道東沖、八戸沖、常磐沖、太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲されたものの、各地とも低調な漁模様であった。道東沖ではまいわし主体にさばが混じり、8月上旬の2日間に計220トンの水揚げがあった。八戸沖では、8月に入り、するめいか混じりでさばの漁獲が始まったものの、1日あたり数トン~十数トン程と低調であった。東シナ海では、対馬沖ではまさばのみ、西沖ではまあじ主体にまさばの漁獲がみられた。対馬沖では400~800g級の中・大型魚主体に小型魚が若干混じった。一方、三陸沿岸では、引き続き定置網で漁獲された。また、伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が行われ、ごまさば主体に漁獲した。
8月上中旬の水揚量は2千800トンで、前月から10%減少し、前年同月から34%減少した。価格は131円/kgで、前月の13%高、前年同月の27%高であった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは青森・岩手・宮城・千葉・静岡・長崎等から、ごまさばは岩手・宮城・千葉・静岡・三重等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から17%増加し、前年同月から35%増加した。価格は前月の5%安、前年同月の12%安であった。
各地のさば類の水揚げは引き続き低調に経過すると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
小型いか釣り漁船の漁場は、日本海側の北海道西~道南~山形~北陸~山陰~九州北部の広範囲に形成された。主漁場は引き続き能登半島沖であった。金沢では、来遊の遅れ等から盛漁期が例年より1ヶ月ずれ、8月の水揚量・水揚隻数は7月から半減したものの、例年よりも多かった。
一方、太平洋側では、道東~青森~岩手沖に漁場が形成され、昼いか釣主体の漁を行った。道東では8月中旬より操業が始まり、花咲や厚岸に水揚げされた。青森県下北半島沖の水揚げは好調で、三沢では300トン、白糠では140トンと前年同月の2倍であった。また、三陸沿岸で定置網や底曳網による漁獲がみられた他、八戸沖のまき網漁にするめいかが混じり始めた。
中型いか釣り船(船凍)による日本海のするめいか漁は、大和堆西で操業し、あかいか漁を終えた船も二次航海をするめいか漁に切り替えた。8月中旬までは良い船で1日1隻あたり250箱を漁獲したが、下旬は70箱と低調となった。
8月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、960トンで前月から33%減少し、前年同月から82%増加した。価格は652円/kgで、前月の9%高、前年同月の7%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、石川主体に青森・山形・秋田・新潟・福井等、活物は和歌山であった。8月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から18%減少し、前年同月から74%増加した。価格は前月の3%高、前年同月の8%安であった。
今後も全国的に大幅な漁獲増加はみられず、引き続き低調と予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まき網では日立・鹿島沖~房総沖、山陰沖、九州西沖(五島沖)等に漁場が形成されたものの、大中型まき網は道東沖のまいわし漁や八戸沖のするめいか・さば漁に切り替えた船が多く、まあじの漁獲は低調であった。一方、三陸沿岸では引き続き定置網や底曳網による水揚げがみられた。
8月上中旬の水揚量は920トンで、前月から65%減少し、前年同月から57%減少した。価格は457円/kgで、前月の93%高、前年同月の83%高であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に宮城・千葉・静岡・島根・佐賀等、中小あじは静岡・島根・長崎等、小・豆あじは三重主体に石川・福井・京都・高知等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から33%減少し、前年同月から29%減少した。価格は前月の62%高、前年同月の52%高であった。
今後も低調な水揚げが続くとみられ、東京への入荷量はやや減少、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の漁場は、三陸南部~日立・鹿島沖の黒潮続流域に形成され、かつお主体(4~5kg台の大型魚主体)の漁を行った。主漁場が東経146~154度と遠いことから、2~3日物主体の水揚げであった。1日1隻あたりの平均漁獲量は2.4~11.3トンで、気仙沼主体に千葉県勝浦等に水揚げされた。漁場が前年よりも南方に寄ったことから、8月の気仙沼の水揚量は前年同月から67%減少し、千葉県勝浦は26%増加した。なお、お盆は休暇を取る船が大半であるため、操業隻数が少なかった。
一方、かつお・まぐろまき網漁は北海道・青森県沖~三陸南部沖~日立・鹿島沖で操業し、くろまぐろ・かつお・きはだ・きめじ等を漁獲し、気仙沼・石巻・塩釜・銚子・千葉県勝浦等に水揚げした。まき網によるかつおの漁獲は1日1隻あたり1~10トンと低調であった。
8月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、1千700トンで前月から40%減少し、前年同月から64%減少した。価格は549円/kgで、前月の17%高、前年同月の2.5倍であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に岩手・千葉・三重・鹿児島・長崎等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から38%減少し、前年同月から39%減少した。価格は前月の23%高、前年同月の1.8倍であった。
産地の水揚げは引き続き低調とみられ、今後、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
今期のさんま漁は、道東近海で行う流し網漁が7月8日に解禁され、14日、釧路港に初水揚げしたものの、1隻合計2.5kgのみで、その後は水揚げがなかった。8月に入り、例年通り棒受網漁がトン数階層別に順次解禁になった。10日に解禁した小型船は、18日に花咲港に0.3トンを初水揚げした。昨年よりも1日早い水揚げとなったものの、漁場は花咲東南東沖の860海里付近(片道3昼夜)と非常に遠かった。魚体は60~90g主体で昨年よりも型が小さかった。15日には中型船、20日には大型船が解禁となり、全階層が出漁した。大型船は、花咲東南東沖780~810海里で操業し、26日に花咲港に8隻が64トンを初水揚げした。大型船の漁獲物も70~80gの小型魚主体であった。
8月中旬の水揚量は0.3トン、価格は10,081円/kg、下旬の水揚量は421トン、価格は317円/kgであった。水揚量は徐々にまとまりつつあるものの、8月は前年同月(821トン)の51%に留まった。
消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手・宮城からであった。8月上中旬の入荷量は前月の3.3倍、前年同月の1.8倍であった。価格は前月の5%高、前年同月の1.3倍であった。
今後、漁期が進むにつれて東京への入荷量は増加するものの、水揚げが低調なことから、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
(水産情報部)