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2022年08月19日
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vol.1113 記事一覧

7月の概況と8月の見通し

まいわし

まいわしは、まき網では道東沖や三陸~常磐沖、及び山陰沖等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまいわしまき網漁は、10数船団が操業し、1日あたり1千~5千トンのまとまった漁獲が続き、釧路と広尾に水揚げされた。銚子では1日あたり2千トンを超える水揚げが1日みられたものの、魚群の北上が進んで漁場が分散し、7月後半は400トン程と犬吠埼沖の漁獲は低調となった。山陰沖の隠岐海峡の中小型まき網では、7月に入りまいわし主体からうるめいわし主体に切り替わったものの、境港では400~500トンの水揚げが数日みられ、まいわしの漁獲は好調であった。魚体は50~60gの小中羽主体であった。三陸沿岸では引き続き定置網での漁獲もみられ、25~35gの小羽主体であった。また、道東沖ではさけ・ます流し網漁業代替のまいわし棒受網漁が行われ、50~60gの小中羽主体に70~100gの中羽・ニタリ(大中サイズ)が混じった。

7月上中旬の主要港における水揚量(以下「7月上中旬の水揚量」という。)は6万1千トンで、前月の2.6倍、前年同月から15%減少した。価格は45円/kgで、前月並み、前年同月の26%高であった。

消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、鳥取主体に北海道・岩手・宮城・千葉・石川等からであった。7月上中旬の入荷量は前月から12%増加し、前年同月から10%減少した。価格は前月の9%安、前年同月の10%安であった。

各地で鮮魚向けとなる大型サイズが少なく、中型・小型サイズ主体の漁獲であることから、今後、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みと見込まれます。

さば類

さば類は、まき網では常磐沖、太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲されたものの、各地とも低調な漁模様であった。常磐沖(日立・鹿島沖~房総沖)では、7月後半にまき網による漁獲がみられたものの、まいわし主体でさばの漁獲は散発的であった。三陸沿岸では定置網や底曳網でも漁獲された。また、伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が行われ、ごまさば主体に漁獲した。

7月上中旬の水揚量は3千200トンで、前月から77%減少し、前年同月から26%減少した。価格は115円/kgで、前月の14%高、前年同月の5%高であった。

消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは岩手・宮城・千葉・静岡・石川・長崎等から、ごまさばは岩手・宮城・千葉・静岡・三重等からであった。7月上中旬の入荷量は前月から27%減少し、前年同月から16%減少した。価格は前月の13%高、前年同月の10%高であった。

各地のさば類の水揚げは秋季まで低調に経過すると予想され、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。

するめいか

小型いか釣り漁船の漁場は、北上が進み、日本海の北海道西~道南~山形~北陸~山陰~九州北部の広範囲に形成された。主漁場は能登半島~北陸沖であった。金沢では、時化等の影響で6月下旬後半以降は低調な漁模様であったものの、7月中旬~下旬には1日あたり約80隻、1万箱を超える水揚げがみられ、再び漁獲がまとまった。魚体は25尾入りの中型サイズ主体に20尾入りの大型サイズが混じった。7月に入ると、小樽管内でも水揚げが始まった。また、富山湾の定置網は減少してきたものの引き続き漁獲があった。

一方、太平洋側では、6月末に青森県下北半島沖で昼いか釣り漁が始まった。また、三陸沿岸の定置網や底曳網による漁獲も引き続きみられた。

中型いか釣り船(船凍)による日本海のするめいか漁は、7月前半は引き続き能登半島の輪島沖で操業した。後半は小樽沖で数日好漁がみられたものの漁が切れたことから、佐渡北に南下して操業した。7月下旬には石川県小木で船凍するめいかの水揚げが始まった。

7月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、1千400トンで前月から36%増加し、前年同月から78%増加した。例年、日本海の北陸では6月が盛漁期だが、時化や休漁、来遊の遅れ等により水揚げのピークがずれ、7月の水揚量が増加したとみられる。価格は600円/kgで、前月並み、前年同月の15%安であった。

消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、石川主体に青森・山形・秋田・新潟・富山・福井等、活物は新潟・静岡・和歌山であった。7月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から22%増加し、前年同月から61%増加した。価格は前月の15%高、前年同月の7%安であった。

入荷の主体である北陸物の漁獲が7月以降再びまとまっていることから、生鮮物の東京への入荷量はやや増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。冷凍物は、生鮮物の入荷がやや増加することから、入荷量はやや減少し、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

まあじ

まあじは、まき網では山陰沖、対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部海域等に漁場が形成された。山陰沖では、中小型まき網がまいわし主体からうるめいわし主体の漁獲に切り替わり、まあじの漁獲は前月と比べて更に低調となった。東シナ海では、特に西沖(五島沖)・東シナ海中南部海域でまあじ主体に水揚げし、西沖の魚体は100~140gの小サイズ主体であった。また、三陸沿岸では引き続き定置網や底曳網による水揚げがみられた。

7月上中旬の水揚量は2千600トンで、前月から33%減少し、前年同月から20%減少した。価格は237円/kgで、前月の8%高、前年同月の4%安であった。

消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に石川・島根・佐賀等、中小あじは石川主体に新潟・静岡・長崎等、小・豆あじは三重主体に新潟・石川・富山・福井等からであった。7月上中旬の入荷量は前月から7%減少し、前年同月から18%減少した。価格は前月の16%安、前年同月の3%安であった。

盛漁期が過ぎ、今後、低調な水揚げが続くとみられ、東京への入荷量はやや減少、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。

かつお

かつお近海竿釣り船の主漁場は、房総半島沖~三陸北部沖の黒潮続流域等に形成され、かつお主体の漁を行った。漁場は東経145~152度と沖合のため、2~3日物主体の水揚げで、1日1隻あたりの平均漁獲量は3.3~6.2トンと前月よりもやや低調となった。気仙沼主体に千葉県勝浦等に水揚げされ、魚体は3~4kg台の大~中サイズ主体であった。例年この時期に漁獲される三陸沖合に北上する小型魚(1~2kg級)が少ないことが影響して、6月下旬以降水揚げが失速し、7月も低調に推移した。なお、近年5~7月に盛漁期を迎える一本釣りのびんなが漁は、6月上旬以降びんなが主体の漁場が形成されていないことから、本年の漁はほぼ終漁したとみられる。

一方、かつお・まぐろまき網漁は、青森~房総沖の沿岸及び沖合で操業し、くろまぐろ・きめじ・きはだ・かつお等を漁獲し、気仙沼・石巻・塩釜等に水揚げされた。

7月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、3千トンで前月から42%減少し、前年同月から69%減少した。価格は469円/kgで、前月から50%増加し、前年同月の2.6倍であった。

消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に千葉・三重・鹿児島等からであった。7月上中旬の入荷量は前月から43%減少し、前年同月から36%減少した。価格は前月の34%高、前年同月の1.9倍であった。

8月の一本釣りはお盆の休漁で出漁隻数が減少することから、今後、東京への入荷量は減少し、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

(水産情報部)

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