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2022年07月29日
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vol.1107 記事一覧

6月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

〇銚子港:6月の北部まき網による水揚物の主体はマイワシであった。マイワシの主漁場は、上中旬は塩屋崎沖~犬吠埼沖に形成され、下旬には金華山沖に漁場が形成された。マイワシの1網当たり平均漁獲量は88トンで、5月を下回った。道東沖まで北上した群れもあり、金華山沖~犬吠埼沖の群れが薄くなったと考えられる。

銚子港への6月の水揚量は5月および前年を下回った(表1)。水揚げされたマイワシは体長14.5cm、体重35gにモードがあり(図1、2)、主に1歳魚と考えられる。

〇石巻港:6月の水揚量は5月並みで前年を下回った(表2)。定置網と底曳網に加え、まき網による水揚げが増加した。水揚げされたマイワシは体長14cm、体重25gにモードがあり(図3、4)、主に1歳魚と考えられる。

〇釧路港:6月27日から道東まき網が開始し、例年に比べて出漁隻数が多く、1網当たりの水揚量は165トンで魚群のまとまりが良く、好調な水揚げであった。道東沖の水温が10℃前後に保たれ、沿岸を北上した群れが道東沖に留まったことから出だしが好調であったと考えられる。

〇花咲港:道東沖棒受網は6月3日から、たもすくい網は6月7日から操業を開始した。前年は棒受網による水揚げはほとんど花咲港であったが、今年は釧路港でも水揚げがあった。前年に比べると親潮の勢力が強いことから落石沖~花咲沖までの広い範囲が漁場となった。水揚げされたマイワシは体長16cm、体重50gにモードがあった(図5、6)。4、5月に犬吠埼沖で水揚げされていたマイワシが北上し、道東沖で水揚げされていると考えられる。

2. 日本海側のマイワシについて

〇境港:6月の水揚量は5月を下回るとともに、前年を下回った(表3)。漁場は3月以降と同様に隠岐海峡周辺に形成された。6月はマアジとマサバを水揚げし、月の後半はウルメイワシを水揚げした。7月以降はウルメイワシの水揚げが増加している。境港に水揚げされたマイワシは体長18.5cm、体重75gにモードがあった(図7、8)。6月よりも大型のサイズが水揚げされ、主に1~2歳魚と考えられる。

3. 太平洋側のマサバについて

〇石巻港:6月の水揚量は5月を下回り、前年を上回った(表4)。定置網と底曳網による水揚げであった。水揚げされたマサバは体長(尾叉長)34cm、体重400gにモードがあった(図9、10)。60gの小型サイズはタイやベトナムへ出荷され、100g以上のサイズは国内加工向けに出荷されている。

4. 東シナ海側のマサバについて

〇松浦港:6月の水揚量は5月を下回り、前年並みであった(表5)。東シナ海中南部海域主体に操業があり、九州西沖海域や対馬海域でも操業した。マサバよりもマアジの方が多かった。水揚げされたマサバは体長(尾叉長)32cm、体重480gにモードがあった(図9、10)。

5. 東シナ海側のマアジについて

〇松浦港:6月は東シナ海中南部主体に操業が行われ、対馬海域や九州西沖海域でも操業された。6月の水揚量は5月を下回るとともに前年を下回った(表6)。6月はマサバよりもマアジの水揚量が多かった。東シナ海中南部海域でのCPUEも2020年、2021年、過去5年平均を上回っており、魚群がまとまっていたことが考えられる。遠洋旋網漁船による松浦港へのマアジの水揚物は、体長18cm、体重100gにモードがあり(図11、12)、1歳魚であった。

6. まとめと7月の動向

太平洋側のまき網によるマイワシ漁場は、6月上中旬は塩屋崎沖~犬吠埼沖に形成され、下旬ごろから金華山沖主体に漁場が形成された。水揚量は5月を下回り、4、5月よりも小型サイズが水揚げされるようになった。石巻港への定置網の水揚げも続き、東北各港へまき網による水揚げもあった。東北各港で水揚げされたマイワシも銚子港水揚げ分と同様のサイズであった。

道東海域では本年は親潮の勢力が強く、道東沖の水温が10℃前後に保たれた。この水温の状況の影響を受け、棒受網やたもすくい網の漁場が落石沖~花咲沖の広い範囲に形成されるとともに、まき網も出だしから好調であったと考えられる。7月以降は水温上昇の影響を受け、襟裳沖~落石沖野広い範囲に漁場が形成され、水揚げサイズも小型化している。大型魚の群れの一部はさらに北上していると考えられる。

日本海側のまき網による6月のマイワシ漁場は、引き続き隠岐海峡周辺に形成された。境港へ水揚げされたマイワシは5月と比べて大型のものであった。鮮魚として出荷できるサイズであったため、境港におけるマイワシの価格は5月を上回った。境港ではマアジ、マサバに加え、ウルメイワシの水揚げが好調であった。7月以降もウルメイワシ主体の水揚げが続くなか、大型のマイワシも水揚げされている。

東シナ海のまき網では、マサバ・マアジについては東シナ海中南部海域を中心の操業であった。前年は対馬海域~浜田沖でのマアジの漁獲が好調であったが、今年はその傾向は見られなかった。東シナ海中南部海域ではマアジのCPUEも高く、魚群がまとまっていると考えられた。7月以降も東シナ海中南部海域や日によって九州西沖海域等でマアジの漁獲が続いている。

(水産情報部)

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