まいわしは、まき網では常磐沖や静岡県沖、山陰沖等で漁獲された。常磐沖(犬吠埼~塩屋崎沖)では、水揚げの主体であった銚子で1日あたり1千~5千トンのまとまった漁獲が延べ8日間みられた。魚体は30~110gで、中羽主体にニタリ(大中サイズ)が混じった。粗脂肪量(千葉県水産総合研究センター測定)は10~20%の脂ののったものが徐々にみられ、旬の入梅いわしの時期を迎えた。また、三陸沿岸では定置網やまき網での漁獲がみられた。道東沖では、さけ・ます流し網漁業代替のまいわし棒受網漁が始まった。初水揚げは昨年より13日遅く、6月は道東一帯で1日あたり数トン~200トンの水揚げがみられた。また、例年通りミール向けを主体とするまいわしまき網漁も始まり、6月27日に釧路へ初水揚げした。
6月上中旬の主要港における水揚量(以下「6月上中旬の水揚量」という。)は2万3千トンで、前月から42%減少し、前年同月から53%減少した。価格は44円/kgで、前月の5%高、前年と比べて魚体が小さかったこともあり、前年同月の10%安であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、千葉・鳥取主体に北海道・岩手・宮城等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から50%増加し、前年同月から14%減少した。価格は前月の19%高、前年同月の25%高であった。
不漁の魚種が多いこともあり、まいわしは入梅いわしの旬を迎え末端のニーズが強くなると予想される。東京への入荷量は横ばい、卸売価格はやや強含みと見込まれます。
さば類は、まき網では太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部等で漁獲されたものの、産卵期を終え、群れが北上を始めたことから、各地とも低調な漁模様であった。一方、三陸沿岸では定置網や底曳網による漁獲が続いた。定置網では、水揚げの主体であった石巻で6月上旬は1日あたり200~700トンと好調な水揚げが続いたものの、徐々にまいわし主体の漁に切り替わった。底曳網では、特に6月中旬にまとまった漁獲がみられ、石巻に連日300トン程水揚げされた。また、伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が行われ、ごまさば主体にまさば混じりの漁獲があった。
6月上中旬の水揚量は1万4千トンで、前月から38%増加し、前年同月の3倍であった。価格は101円/kgで、前月の6%高、前年同月の3%高であった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは岩手・宮城・千葉・静岡・富山・石川・鳥取・長崎等から、ごまさばは岩手・宮城・千葉・静岡・三重・愛媛等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から26%増加し、前年同月並みであった。価格は前月の11%安、前年同月の24%高であった。
今後、各地のさば類の水揚げは秋季まで低調に経過すると予想され、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
小型いか釣り漁船によるするめいか漁の漁場は、日本海側の北海道南~山形~北陸~山陰~九州北部の広範囲に形成された。主漁場は能登半島沖で、金沢では6月中旬~下旬前半にかけて1日あたり約100隻が1万箱を超える水揚げをしたものの、下旬後半は1日あたり3千~5千箱と低調になった。魚体は25~30尾入りの中・小型サイズが主体で、20尾入の大型サイズも徐々に増えた。6月に入ると、道南(桧山、松前、函館)でも水揚げが始まったものの、漁獲は低調であった。また、三陸沿岸の定置網や底曳網、富山湾の定置網等による漁獲も引き続きみられた。
一方、6月中旬には中型いか釣り船(船凍)による日本海のするめいか漁が始まった。小木・酒田の船団の15~16隻が例年通り大和堆に出漁したものの、漁獲が低調であったことから、能登半島沖(輪島沖)に移動して操業した。
6月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、1千トンで前月の4.8倍、前年同月から20%増加した。価格は601円/kgで、前月の8%安、前年同月の3%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、石川主体に北海道・山形・秋田・新潟・富山・福井・山口・長崎等、活物は新潟・三重であった。6月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月の1.9倍、前年同月から7%増加した。価格は前月の9%安、前年同月の12%安であった。
入荷の主体である北陸物の漁獲は例年より少ないものの、徐々に上向くと予想される。生鮮物の東京への入荷量はやや増加し、中・小型主体の入荷が続くとみられ、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。冷凍物は、生鮮物の入荷がやや増加することから、入荷量はやや減少し、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では山陰沖、対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部海域等に漁場が形成された。山陰沖では、6月に入ると大中型まき網船がくろまぐろ漁に切り替えたことや、中小型まき網船はいわし類・さば類等の漁獲が好調だったこともあり、まあじの漁獲は前月から大幅に減少した。東シナ海では、まあじ主体に水揚げした。また、三陸沿岸では少量ではあるものの定置網や底曳網による水揚げがみられた。
6月上中旬の水揚量は3千900トンで、前月から38%減少し、前年同月から21%増加した。価格は220円/kgで、前月の24%高、前年同月の5%高であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に石川・山口・佐賀等、中小あじは新潟・石川・長崎等、小・豆あじは三重主体に新潟・石川・富山・京都・和歌山等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から5%減少し、前年同月から24%減少した。価格は前月の34%高、前年同月の71%高であった。
今後、低調な水揚げが続くとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船は、伊豆諸島海域および房総半島~常磐東方の黒潮続流域等に漁場が形成され、かつお主体の漁を行った。1日1隻あたりの平均漁獲量は4.4~8.5トンで、気仙沼や千葉県勝浦等に水揚げされた。気仙沼では、例年より遅れて6月1日に生鮮かつおの初水揚げがあり、3~4.5kgの大~中サイズ主体に155トン水揚げされた。気仙沼の竿釣り船による水揚量は、6月上旬に500トン、中旬に1千100トンと上向いたものの、下旬は630トンに落ち込んだ。千葉県勝浦では、6月の水揚量は2千100トンで、魚体は4~5kg級主体と例年の主体である2kg級の2倍程度大きかった。なお、例年この時期に漁獲されるびんながの6月の水揚量は800トンで前年同月の2割程度にとどまった。
一方、かつお・まぐろまき網漁は、伊豆諸島海域および常磐沖でかつお・きめじ主体にきはだ・くろまぐろ等を漁獲したものの、低調であった。
6月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、5千100トンで前月から61%増加し、前年同月から28%減少した。価格は312円/kgで、前月並み、前年同月の85%高であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷先は、宮城・千葉主体に静岡・三重等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から53%増加し、前年同月から5%増加した。価格は前月の3%安、前年同月の42%高であった。
今後も常磐~三陸沖でかつお主体の水揚げが続くものの、現在の漁獲の主体が4~5kg級で成熟していることから、このサイズの群れは間もなく南下が始まると見込まれる。このことから、今後の漁獲は低調となると予想され、東京への入荷量は減少し、卸売価格はやや強含みと見込まれます。
(水産情報部)