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2022年06月23日
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5月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1.近海竿釣り船の漁場

5月の近海カツオ竿釣り漁業の主漁場は、遠州灘南東沖でカツオ中主体、伊豆・八丈島東海域でビンナガ中主体だった(図1)。2021年と2020年の主漁場は36°N以北の常磐沖まで北上していたが、本年は北上がやや遅い(図2)。遠州灘南方沖から伊豆諸島東沖の海域の水温は徐々に上昇し、カツオが来遊しやすい海況にあるものの、5月下旬の段階で、黒潮続流まで北上しているカツオの群れは少ない(図3)。また、ビンナガ主体の漁場は、5月中旬から下旬にかけて伊豆諸島東海域に集中したが持続せず、漁期は例年より短かった。6月上旬には本年のビンナガ漁はほぼ終わり、カツオ主体に切り替わった。3月までの伊豆諸島南部海域の海面水温がやや低めだったため、伊豆・小笠原ルートを北上するカツオの回遊が例年より遅れているとみられる。

週別の平均漁獲量は前月よりやや増加し、ビンナガが好調だった5月中旬に13.1トン/隻・日で比較的好漁だったが、カツオが好漁だった前年と比較すると少ない(図4)。

2.水揚量と価格

5月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は2,837.4トン、1月からの累計は7,300.6トンで、前年同月(3,161.5トン、累計9,493.9トン)を下回った(図5)。春から初夏にかけてカツオ水揚げの主要港となる勝浦港への水揚量は、本年は4月までは著しく少なく、同港の1~4月の累計水揚量は114.5トンで、過去5年平均の3%にとどまり、過去最低水準だった。しかし、5月の水揚量は例年並みとなり、4月までと比較して急増したため、「豊漁」と報道されている。

釣りによる生鮮カツオの全国平均価格は316円/kgで前年同月より高かったが、前月・過去5年平均価格より安かった(図6)。例年どおり5月にまき網によるカツオの水揚げがはじまり、主に銚子港に水揚げされた。魚体は釣り・まき網ともに4~5kgの大サイズが主体であった。

3.今後の見通し

5月末から房総東沖の黒潮続流の南側にもカツオ漁場が形成されている。例年、この海域はビンナガ漁場となっていたが、本年のビンナガ漁は6月上旬に終了したとみられるため(前述)、今年はカツオ主体となりそうだ。また、本年は東北沿岸に冷水が分布しているため、沿岸沿いのカツオの北上はしばらく妨げられるとみられる。常磐海域への北上も、もう少し水温が上昇し、沖側から漁場が形成される見込みだ。

(水産情報部)

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