〇銚子港: 5月の北部まき網による水揚物の主体はマイワシであった。マイワシの主漁場は、月を通じて塩屋崎沖~犬吠埼沖であり、中旬ごろから仙台湾にも漁場が形成された。マイワシの1網当たり平均漁獲量は112トンで、4月を下回った。1網当たり200~400トン以上獲る船もあった。
銚子港への5月の水揚量は4月並みで、前年を下回った(表1)。水揚げされたマイワシは体長16.5cm、体重50gにモードがあり(図1、2)、主に明け2歳魚と考えられる。
〇石巻港: 5月の水揚量は4月を下回り、前年を上回った(表2)。4月に引き続き好調な水揚げであったが、5月中旬ごろから定置網と底曳網によるさば類の水揚げが増加し、5月の水揚量はマイワシを上回った。水揚げされたマイワシは体長16cm、体重50gにモードがあった(図3、4)。主に明け2歳魚と考えられる。
〇境港: 5月の水揚量は4月並みで、前年を上回った(表3)。漁場は3月以降と同様に隠岐海峡周辺に形成された。5月はマサバとマアジの水揚量が多かったが、日によってマイワシが水揚げされることも多かった。境港に水揚げされたマイワシは体長17cm、体重65gにモードがあった(図5、6)。主に明け1歳魚と考えられる。
〇石巻港: 5月の水揚量は4月および前年を上回った(表4)。マイワシ同様に定置網と底曳網による水揚げであった。水揚げされたマサバは体長(尾叉長)33cm、体重440gにモードがあった。
〇境港: 5月の水揚量は4月および前年を上回った(表5)。4月に引き続き、好調な水揚げであった。水揚げされたマサバは体長(尾叉長)25cm、体重220gにモードがあった(図9、10)。
〇松浦港: 5月は対馬海域主体に操業が行われ、東シナ海中南部でも操業された。5月の水揚量は4月を下回り、前年並みであった(表6)。5月は4月同様にマサバよりもマアジの水揚量が多かった。遠洋旋網漁船による松浦港へのマサバの水揚物は、体長29cm、体重340gにモードがあった(図11、12)。1歳魚主体の日が多かった。
〇境港: 5月の水揚量は4月を上回るとともに、前年を上回った(表7)。水揚されたマアジは、体長14cm、体重40gにモードがあり、1歳魚主体であった(図13、14)。主に養殖餌料向けに冷凍されたが、大きいサイズが混じったときは、鮮魚として仕向られることもあった。
〇松浦港: 5月の水揚量は4月および前年を下回った(表8)。漁場は東シナ海中南部海域で、対馬海域や九州西沖海域でも操業した。遠洋旋網漁船による松浦港水揚のマアジは、体長18cm、体重80gにモードがあり、1歳魚主体であった(図15、16)。
太平洋側のまき網によるマイワシ漁場は、5月を通じて塩屋崎沖~犬吠埼沖に形成され、5月中下旬ごろから仙台湾にも漁場が形成された。水揚物は体長16.5cm、体重50gにモードがあった。石巻港への定置網の水揚げも続いたが、水揚げされたマイワシは2歳魚主体となった。道東海域では、6月3日から棒受網漁、6月7日からたもすくい漁が開始され、体重80g以上のサイズが4割混じり、大型サイズが多く水揚げされた。6月以降の北部まき網の漁場は徐々に北上し、仙台湾~気仙沼沖にも漁場が形成されると考えられる。道東沖棒受網では体重60~80gサイズの水揚げが続くと考えられる。
日本海側のまき網による5月のマイワシ漁場は、引き続き隠岐海峡周辺に形成された。水揚量は4月並みで前年同月を上回った。水揚物の魚体は体長17cm、体重65gにモードがあった。4月から引き続き、境港ではマイワシ以外にもマサバやマアジの水揚量も多かった。ここ数年の傾向から、6月のマイワシ水揚量は5月を下回る程度になり、6月下旬~7月上旬以降は0歳魚が水揚げされると考えられる。道東海域の棒受網による水揚物は、前年と比較すると体重が約10~20g重いものが含まれている。太平洋側・日本海側ともに、水揚げされるマイワシの体長は同程度であるが、体重は日本海側のマイワシが10~20g 重く、年令は1歳異なっている。これらの特徴は太平洋側のマイワシの成長の悪さを表している。
石巻港水揚のさば類については、定置網と底曳網主体で、水揚量は4月および前年を上回った。前年に比べると黒潮続流の暖水の北上が弱いため、沿岸を北上するさば類が多く、例年に比べて金華山付近の定置網と底曳網での水揚量が多かったと考えられる。
日本海側のまき網によるマサバ漁場は、山陰沖~浜田沖および隠岐海峡周辺に形成された。体長29cm、体重340gモードで4月水揚げ分と比較すると小型サイズが水揚げされた。6月以降も日によってマサバ主体の水揚げとなると思われる。
東シナ海のまき網では、マサバについては対馬海域を中心に1歳魚主体の漁獲であった。マアジは東シナ海中南部海域主体に1歳魚主体の水揚げであった。
(水産情報部)