まいわしは、まき網では常磐沖や静岡県沖、山陰沖等で漁獲された。常磐沖では引き続きまいわし主体に漁獲され、水揚げの主体であった銚子では1日あたり2千~5千トンのまとまった漁獲が延べ10日間みられた。魚体は45~65gの小中羽~中羽主体であった。山陰沖では、5月上中旬はまいわし主体に漁獲され、境港では水揚量が1日あたり1千トンを超えた日もあった。また、三陸沿岸では引き続き定置網による漁獲が好調で、連日100~500トンを水揚げした。
5月上中旬の主要港における水揚量(以下「5月上中旬の水揚量」という。)は4万トンで、前月から34%増加し、前年同月から11%増加した。価格は42円/kgで、前月の5%安、前年同月の2%高であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、千葉主体に青森・岩手・宮城・鳥取等からであった。5月上中旬の入荷量は前月から10%減少し、前年同月から10%減少した。価格は前月の14%安、前年同月の15%安であった。
今後も常磐沖で好調な水揚げが続くと予想され、東京への入荷量は増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。
さば類は、まき網では太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲されたものの、各地とも低調な漁模様であった。一方、三陸沿岸では定置網や底曳網による漁獲が好調であった。定置網では、水揚げの主体である石巻で1日あたり100~400t、大船渡で100~300tの水揚げが続いた。底曳網も5月中旬から水揚量が増加し、連日石巻に1日あたり250~350t水揚げされた。また、伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が行われ、まさば主体にごまさばを漁獲した。
5月上中旬の水揚量は1万トンで、前月の2.9倍、前年同月から16%増加した。価格は96円/kgで、前月の8%安、前年同月の10%高であった。
消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは宮城・千葉・静岡・三重・富山・鳥取・長崎等から、ごまさばは千葉・静岡・三重等からであった。5月上中旬の入荷量は前月から30%減少し、前年同月から11%減少した。価格は前月の4%高、前年同月の37%高であった。
今後夏場にかけて各地のさば類の水揚げは低調と予想され、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
小型いか釣り漁船によるするめいか漁の漁場は、日本海側の山形~北陸~山陰~九州北部に形成された。5月下旬以降、能登半島沖の操業隻数が増加し、金沢では1日あたり20~50隻が1千~3千800箱を水揚げしたものの、前年、平年と比べて操業隻数、水揚箱数は少なく低調であった。サイズは30尾入りの小型サイズが主体であった。一方、富山湾の定置網(氷見等)では引き続き1日あたり1~6トンの水揚げがあり、5月の総水揚量は350トンで、前年(80トン)、過去10年平均(190トン)を大きく上回った。また、5月中旬から太平洋側でも漁獲が始まり、三重県のまき網や八戸や石巻の沖合底曳網で漁獲された。
5月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、217トンで前月から39%増加し、前年同月から11%増加した。価格は655円/kgで、前月並み、前年同月の22%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、富山主体に石川・山口・長崎等、活物は静岡・千葉であった。5月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から6%減少し、前年同月から68%増加した。価格は前月の18%安、前年同月の30%安であった。
今後、日本海の東北~北陸の水揚げが本格化すると予想されることから、生鮮物の東京への入荷量はやや増加し、小型主体の入荷が続くとみられ、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。冷凍物は、国内物の代替品のするめいか類の輸入が好調であることから、入荷量は横ばい、卸売価格は円安の影響により高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では山陰沖、対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部海域等に漁場が形成され、水揚量は5月単月で2年振りに1万トンを超え、好調な漁模様であった。山陰沖では、5月上中旬はまいわしやさば類主体の水揚げであったものの、下旬にまあじ主体に切り替わり漁獲が上向いた。魚体は40~60g主体と小さかった。東シナ海は、対馬沖、東シナ海中南部海域ではまあじ主体、西沖ではぶり主体にまあじ混じりの水揚げであった。九州西沖の魚体は80~120g主体であった。
5月上中旬の水揚量は6千200トンで、前月から56%増加し、前年同月から21%増加した。価格は178円/kgで、前月の4%高、前年同月の21%高であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に鳥取・島根・佐賀等、中小あじは新潟・島根・長崎、小・豆あじは三重主体に新潟・石川・京都等からであった。5月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から7%減少した。価格は前月の3%安、前年同月の12%高であった。
盛漁期を迎え、安定した水揚げが続くと予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の主漁場は、5月に入り北上が本格化し、伊豆諸島海域に形成され、1日1隻あたりの平均漁獲量は5.3~7.7トンに上向いた。漁場が北上したことから、千葉県勝浦の5月の水揚量は1千900トンと前月(100トン)から急増した。魚体は3~5kg級主体で、例年漁獲される2kg台よりも大型のものが漁獲された。また、近海竿釣り船では例年この時期にびんながが漁獲されるものの、5月は2千800トンで前年同月(4千400トン)の6割程度にとどまった。
一方、かつお・まぐろまき網漁は、伊豆諸島海域でかつお主体に漁獲し、銚子、千葉県勝浦等に水揚げした。
5月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、3千200トンで前月の2.3倍、前年同月から7%減少した。価格は315円/kgで、前月の16%安、前年同月の46%高であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷先は、千葉主体に静岡・三重・和歌山・鹿児島等からであった。5月上中旬の入荷量は前月から40%増加し、前年同月から23%増加した。価格は前月の17%安、前年同月の26%高であった。
今後、漁場がさらに北上し、常磐沖の水揚げが本格化すると予想され、東京への入荷量はやや増加し、卸売価格はやや弱含むと見込まれます。
(水産情報部)