まいわしは、まき網では常磐沖や静岡県沖、山陰沖等で漁獲された。常磐沖では、伊豆諸島東西水域で産卵を終えた群れが徐々に北上したことから、水揚げの主体であった銚子では1日あたり2千500~4千500トンのまとまった漁獲が延べ9日間みられた。魚体は20~110gの小羽~大羽で、45gの中羽主体であった。前月好漁だった山陰沖では、4月上中旬はまいわし主体の水揚げが続いたものの、下旬にはあじ、さば主体に切り替わった。また、定置網では引き続き三陸沿岸や北陸の富山湾や能登半島沿岸で水揚げされた。三陸沿岸では4月中旬以降まとまって入網し、石巻主体に連日100~700トンの水揚げが続いた。魚体は35~60g主体であった。
4月上中旬の主要港における水揚量(以下「4月上中旬の水揚量」という。)は3万トンで、前月から16%減少し、前年同月から5%減少した。価格は44円/kgで、前月の24%高、前年同月の33%高であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、鳥取主体に千葉・石川・京都等からであった。4月上中旬の入荷量は前月から32%減少し、前年同月から13%減少した。価格は前月の13%高、前年同月の8%高であった。
今後、三陸~常磐沖で北上群の漁獲が本格化し、大型サイズ主体に脂のりの良いまいわしが入荷すると予想され、東京への入荷量はやや増加し、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
さば類は、まき網では太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲された。太平洋中部水域のまき網漁は、沼津、小川、奈屋浦に水揚げされたほか銚子にも運搬船で搬入された。山陰沖は4月上中旬はまいわし主体であったものの、下旬にはまさば主体に切り替わり、1千トンを超える水揚げが延べ2日間みられた。東シナ海は、対馬沖はまあじ主体、西沖はぶり主体の水揚げだったことから、さば類は低調であった。伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が行われ、まさば主体にごまさばを漁獲した。また、三陸沿岸や富山湾では定置網の水揚げがみられた。三陸沿岸では4月下旬以降漁獲がまとまり始め、石巻主体に水揚げされた。魚体は120~400gで140g主体であった。富山湾では1千600トン水揚げし、前年(100トン)、過去10年平均(340トン)を大幅に上回った。
4月上中旬の水揚量は3千400トンで、前月から70%減少、前年同月から59%減と大幅に減少した。価格は104円/kgで、前月の15%高、前年同月の11%高であった。
消費地(東京)における さば類の入荷先は、まさばは千葉・静岡・三重・富山・鳥取等から、ごまさばは千葉・静岡・長崎からであった。4月上中旬の入荷量は前月から18%減少し、前年同月から4%減少した。価格は前月13%高、前年同月の14%高であった。
今後夏場へ向けて各地のさば類の水揚げはさらに低調となると予想され、東京への入荷量はやや減少するものの、卸売価格は産卵後の身質の低下からやや弱含みで推移すると見込まれます。
小型いか釣り漁船によるするめいか漁の漁場は、日本海側の山陰及び九州北部に形成された。秋季発生系群が徐々に北上し、4月末には能登半島沖や佐渡、新潟沖でも操業が始まった。また、富山湾の定置網(氷見等)は引き続き入網がみられ、4月は前月(190トン)を上回る450トンで、前年(370トン)、過去10年平均(350トン)をやや上回った。
4月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、156トンで前月から31%増加し、前年同月の2.1倍であった。価格は663円/kgで、前月並み、前年同月の13%高であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、富山・長崎主体に石川・鳥取・山口等、活物は静岡・千葉・三重であった。4月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から12%増加し、前年同月から8%減少した。価格は前月の4%安、前年同月の3%高であった。
例年5月に入ると能登半島沖に漁場が形成され、小型サイズ主体に水揚げされる。今後、生鮮物の東京の入荷量はやや増加し、小型主体の入荷が続くとみられ、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。冷凍物は、国内物の入荷が引き続き少ないものの、代替品のするめいか類の輸入が安定していることから、入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では山陰沖、対馬沖・九州西沖(五島沖)等に漁場が形成された。山陰沖ではまいわしやさば類主体の水揚げであったものの、4月に入りまあじの漁獲は上向いた。対馬沖ではまあじ主体に水揚げし、魚体は80~100g主体であった。九州西沖では4月前半はぶり主体であったものの、後半はまあじ主体になり、180~220g主体に水揚げされた。
4月上中旬の水揚量は3千900トンで、前月から64%増加し、前年同月から18%減少した。価格は171円/kgで、前月の12%安、前年同月の4%高であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に福岡・佐賀・宮崎等、中小あじは新潟・三重・宮崎、小・豆あじは三重主体に千葉・新潟・京都等からであった。4月上中旬の入荷量は前月から7%増加し、前年同月から20%減少した。価格は前月の16%高、前年同月の15%安であった。
今後、盛漁期に入ることから水揚げが徐々に本格化すると予想され、東京への入荷量やや増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の主漁場は奄美大島周辺海域に形成され、鹿児島主体に水揚げされた。魚体は大~特大(5~6kg)主体であった。一部の漁船は四国沖~伊豆諸島海域で操業したものの、千葉県勝浦の4月の水揚量は90トンで前年(1千200トン)の5%にとどまり低調であった。なお、勝浦の水揚げは4月までは1日あたり数トン~10トンであったが、5月は40~250トンと好転しつつある。また、4月末から伊豆諸島海域でかつお・まぐろ旋網漁も始まり、きめじ主体に銚子、千葉県勝浦に水揚げした。
4月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、1千400トンで前月から3%増加し、前年同月から10%増加した。価格は375円/kgで、前月の31%高、前年同月並みであった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、鹿児島主体に千葉・静岡・三重・長崎・宮崎等からであった。4月上中旬の入荷量は前月から17%増加し、前年同月から6%増加した。価格は前月の17%高、前年同月の8%安であった。
今後、盛漁期に入り産地の水揚げが徐々に増加すると予想され、東京の入荷量はやや増加すると見込まれます。卸売価格は現在高止まっているものの、漁況の好転に伴いやや弱含むと見込まれます。
(水産情報部)