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2022年05月26日
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令和4年4月のスルメイカ漁況について

1.4月のスルメイカ漁について

1)全国の生鮮スルメイカの水揚げ動向

JAFIC主要港における生鮮スルメイカの2022年4月の水揚量は191トンで、端境期を迎え、前月から42%減少した。2000年以降の4月の水揚量で、最低だったのは2021年の196トンで、今年はこれより若干少なかった(図1)。

2022年1~4月の累計水揚量は1,108トンで、2020年1~4月の1,947トンの43%減、2021年1~4月の1,629トンの32%減と、資源量の減少および日本海での外国漁船の漁獲量が増加する中、低調な水揚げであった(図2)。

2)生鮮スルメイカの月別平均価格の推移

2022年4月の生鮮スルメイカの平均価格は676円/kgで、不漁や端境期で水揚量が少ないことを反映し前月から12%上昇した(図3)。2018~2021年の4月の平均価格は548円/kgで、今年は過去4年平均の23%高であった。

3)各地の漁場形成の特徴

中型いか釣り船(船凍)による日本海のスルメイカ漁は、休漁期間(3~4月)であった。一方、小型いか釣り船によるスルメイカ漁の主漁場は、前月に引き続き、産卵場である壱岐諸島・対馬東~見島沖(図4のA)や隠岐海峡(図4のB)、浜田沖や能登半島沖(金沢)等に形成された。Aの漁場では、例年のこの時期と同様にケンサキイカの割合が6割前後であった。

壱岐・対馬沖で操業した小型いか釣りのスルメイカの1~5月上旬の累計水揚量は382トンで、前年同期の771トンの約半分に留まった。3月上旬に110トンと一時的にまとまったが、3月中旬に40トン、下旬に20トンと減少し、4月上旬には55トンとややまとまったものの、4月中旬に40トン、4月下旬は10トン以下に減少した(図5)。また、山陰沖の小型いか釣りによるスルメイカの1~5月上旬の累計水揚量は582トンで、前年同期の568トン並みであった(図6)。

富山湾の氷見等の定置網では、引き続きスルメイカの入網がみられ、他の地域よりはまとまった水揚げがみられた。富山湾の1~4月の累計水揚量(石川県側除く)は928トンで、4月にやや盛り返したことから、前年・前々年・過去10年平均の35%減に留まった(表1)。

金沢では小型いか釣りによる生鮮スルメイカの水揚げが4月末から始まり、5月10日現在の累計入港隻数21隻・水揚箱数767箱で、隻数・箱数は昨年同期の14%、31%と低調な出足であった。サイズは20尾入15%・25尾入30%・30尾入40%・バラ入15%と、日本海を北上し始めた秋季発生系群(30尾入・バラ入)に、冬季発生系群(20尾入)が混じった。

佐渡や新潟では4月中旬に小型いか釣りの水揚げが始まった。佐渡では4月中・下旬の入港隻数と水揚箱数は1隻/日で10~20箱/日、5月上旬には3~6隻/日、60~70箱/日と低調な漁況であった。5月中旬には酒田でも水揚げが始まったが、能登半島以北では群がまだ薄い。

2.今後の動向等について

2022年4月に水産研究・教育機構が実施したスルメイカ新規加入量調査によると、1調査点当たり採集尾数は13.3尾で前年の72%、近年平均の64%と少なかった。一方、5~7月に漁獲対象となる外套背長5cm以上の平均採集尾数は10.0尾で前年の297%、近年平均の156%で、大和堆付近で多かった(図7、8)。このため、来遊量は前年を上回り、近年平均並み、主な漁場は本州北部日本海以北で、漁期は近年同様という予報が公表された。ここ数年、漁獲量が過去最低を更新している中で、明るい材料となっている。

(水産情報部)

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