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2022年05月26日
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vol.1087 記事一覧

4月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1.近海竿釣り船の漁場

4月の近海カツオ竿釣り漁業の主漁場は種子島・奄美大島・沖縄西側海域で、漁獲物の主体はカツオ大・中であった。前月の主漁場だった奄美大島東ではカツオ大・特大主体であった(図1)。奄美大島周辺漁場の平均水温は23.5℃で、前月(平均21.0℃)よりも上昇した(図2)。また、九州から房総の沿岸から太平洋沖合にかけての海面水温は、4月上旬から下旬にかけて全体的に昇温した(図2)。4月中旬の漁場は、四国南方沖でカツオ極小主体、遠州灘でビンナガ小主体に形成されたが短期間で終わった。4月下旬の漁場は八丈島周辺に形成され、ビンナガ大主体であった。

全海域の延操業隻数は527隻(前年同月434隻)、1隻当たりの操業日数は13.5日で前年同月(10.3日)より多かった。各漁場から鹿児島港・勝浦港との距離が比較的近かったため、1隻当たりの操業日数が増加したとみられる。全体の平均漁獲量は4.1トン/隻・日で前月より増加し、前年同月(4.2トン/隻・日)並だった。

2.水揚量と価格

4月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は1,932.2トン、1月からの累計は4,262.8トンで、前年同月(2,876.6トン、累計6,332.4トン)を下回った(図3、4)。本年は4月までの勝浦港への水揚量が著しく少なく、1~4月の累計水揚量は107.7トンで、過去5年平均の3%にとどまり、過去最低水準とみられる。例年は、伊豆小笠原海域で漁獲されたカツオが勝浦港に多く水揚げされる。しかし、今年はこの海域を漁場探索しても魚群が少なく(漁船への聞き取り)、その要因として1~3月の伊豆諸島南部海域の海水温が例年より低くカツオが北上しにくい海況だったことが考えられる。こうした漁海況の中で、燃油費の高騰が続き、魚群が少ないとみられる沖合での探索を避け、奄美大島周辺で操業し、鹿児島港への水揚げが継続したとみられる。

全国平均価格は394円/kgで前月・前年同月より高かったが、過去5年平均価格より安かった(図4)。4月下旬からはまき網での漁獲が少量みられ、平均価格は743円/kgで、勝浦港への水揚げがほとんどだった。

3.今後の見通し

5月に入り、奄美大島周辺での操業は減少し、八丈島の東でビンナガ大、数量は少ないが紀伊半島周辺でカツオ中を漁獲している。例年と同様であれば、ビンナガ漁場は今後東に移動する。しかし、燃油高のため沿岸で漁獲がある間は、沿岸や伊豆諸島周辺の比較的水揚港に近い海域で漁場が探索されるとみられる。

(水産情報部)

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