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2022年05月26日
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vol.1086 記事一覧

4月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

〇銚子港: 4月の北部まき網による水揚物の主体はマイワシであった。マイワシの主漁場は、月を通じて塩屋崎沖~犬吠埼沖であった。マイワシの1網当たり平均漁獲量は126トンで、1網当たり200~300トン以上獲る船もあった。

銚子港への4月の水揚量は3月をやや上回り、前年を上回った(表1)。水揚げされたマイワシは体長15.5~16.5cm、体重45gにモードがあり(図1、2)、主に明け2歳魚と考えられる。

〇石巻: 4月の水揚量は3月および前年を上回った(表2)。4月の水揚量としては、ここ数年では本年が最も多く、主体は定置網であった。石巻港水揚げのマイワシは体長18cm主体で20cm以上のサイズも混じった。体重は55g主体で100g以上のサイズも混じった(図3、4)。主に明け2~3歳魚と考えられる。

2. 日本海側のマイワシについて

〇境港: 4月の水揚量は3月および前年を下回ったが(表3)、2020年を上回った。3月同様に漁場は隠岐海峡周辺に形成された。4月はマサバとマアジの水揚量も多かった。境港に水揚げされたマイワシは体長17cm、体重60 gにモードがあった(図5、6)。主に明け1歳魚と考えられる。

3. 太平洋側のマサバについて

〇石巻港: 4月の水揚量は3月および前年を下回った(表4)。マイワシ同様に定置網による水揚げであった。石巻港水揚げのマサバは体長(尾叉長)のモードは25cmと31cmにあり双峰型の組成であった。体重のモードは140gに見られ、240g以上も多かった。

4. 日本海側のマサバについて

〇境港: 4月の水揚量は3月および前年を上回った(表5)。ここ数年、水揚げが少ない状況が続いていたが、本年は好調な水揚げであった。境港水揚げのマサバは体長(尾叉長)のモードは33cm、体重のモードは480gで、600g以上も混じった(図9、10)。

5. 東シナ海側のマサバについて

〇松浦港: 4月は対馬海域主体に操業が行われ、九州西沖海域、東シナ海中南部でも操業された。4月の水揚量は3月および前年を下回った(表6)。4月は3月同様にマサバよりもマアジの水揚量が多かった。遠洋旋網漁船による松浦港へのマサバの水揚物は、体長27 ~28cm主体で、体重のモードは280gであった(図11、12)。2歳魚主体の日が多かったが、日によっては1歳魚が主体となった。

6. 東シナ海側のマアジについて

〇松浦港: 4月の水揚量は3月および前年を下回った(表7)。漁場は対馬海域と九州西沖海域であった。遠洋旋網漁船による松浦港水揚のマアジは、体長18cm、体重100gにモードがあり、1歳魚主体であった(図13、14)。

7. まとめと5月の動向

太平洋側のまき網によるマイワシ漁場は、4月を通じて塩屋崎沖~犬吠埼沖に形成された。水揚物は体長15.5~16.5cm、体重45gにモードがあった。1網当たり平均漁獲量は126トンで、1網当たり200~300トン以上漁獲する船もあった。4月も3月に引き続き、2歳魚主体の水揚げが続いたが、石巻港水揚げの定置網で2~3歳魚の水揚げが多く、北上の兆しが見えている。5月中旬から下旬にかけて北部まき網の漁場はわずかに北上し、銚子港での水揚量は前年並み~前年を下回る程度となり、石巻港でもまき網による水揚げが増えると考えられる。

日本海側のまき網によるマイワシ漁場は引き続き隠岐海峡周辺に形成された。3月および前年同月と比較すると水揚量は下回ったが、3月の水揚量が同程度であった2020年4月を上回った。水揚物の魚体は体長17cm、体重60 gにモードがあった。4月の境港ではマイワシ以外にもマサバやマアジの水揚量も多かった。5月のマイワシ水揚量は4月並み~下回る程度の水揚げになると予想される。ここ数年の傾向から6月以降は0歳魚が水揚げされると考えられる。太平洋側と日本海側では水揚げされるマイワシの体長は同程度であるが、体重は日本海側のマイワシが10~20g 重かった。太平洋側のマイワシの成長の悪さが表れている。

石巻港水揚のさば類については定置網主体で、3月および前年を下回った。ここ数年好調であった宮崎県北浦でも、3、4月ともに前年を下回る水揚げであった。石巻港定置網水揚物の魚体は体長25cm、体重120g前後にモードがあり、体長30cm以上、体重240g以上のサイズも多かった。体長30cm以上の比較的大きなサイズが水揚げされていること、5月中旬から親潮の北退に伴い、石巻付近で操業する底曳網でもマサバが漁獲され始めたことから、産卵を終えた群が徐々に北上していると考えられる。

日本海側のまき網によるマサバ漁場は、山陰沖~浜田沖および隠岐海峡周辺に形成された。マサバの水揚量は過去5年で2番目に多かった。体長33cm、体重480gモードで比較的大型であった。5月現在も水揚げが続いているが、体長30cmを下回るサイズが主体となっている。

東シナ海のまき網では、マサバについては対馬海域を中心に2歳魚主体で1歳魚が混じる程度の漁獲であった。マアジは対馬海域と九州西沖海域で水揚げがあり、1歳魚主体の水揚げであった。4月以降は九州西沖海域でブリの水揚量が増えている。

(水産情報部)

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