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2022年05月02日
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vol.1081 記事一覧

令和4年3月のスルメイカ漁況について

1.3月のスルメイカ漁について

1)全国の生鮮スルメイカの水揚げ動向

JAFIC主要港における生鮮スルメイカの2022年3月の水揚量は303トンで、2000年以降の3月の水揚量としては、2017年3月の241トンに次いで、過去2番目に少なかった。端境期を迎え前月の319トンから5%減少し、前年同月の452トンから33%減少した(図1)。2022年1~3月の累計水揚量は864トンで、2020年1~3月の1,730トンの5割減、2021年1~3月の1,433トンの4割減と、資源の減少傾向が続く中、低調な水揚げであった。

2)生鮮スルメイカの月別平均価格の推移

2022年3月の生鮮スルメイカの月別平均価格は604円/kgで、不漁を反映し前月から14%上昇した(図3)。2018~2021年の3月の平均価格は521~566円/kgで、今年は昨年同期の2割高であった。

3)各地の漁場形成の特徴(4月中旬まで)

中型いか釣り船(船凍)による日本海のスルメイカ釣り漁は、休漁期間(3~4月)に入ったことから操業がなかった。一方、小型いか釣り船によるスルメイカの主漁場は、前月に引き続き、壱岐諸島・対馬東~見島沖(図4のA)や隠岐海峡(図4のB)で、産卵のために来遊した大型サイズの南下群(20~25尾入/発泡1箱5kg)を漁獲対象に操業が行われた。

壱岐・対馬沖で操業した小型いか釣りのスルメイカの1~4月中旬の累計水揚量は373トンで、前年同期の約半分に留まり、3月上旬に一時的にまとまったほかは低調な漁況で経過した(図5)。また、山陰沖の小型いか釣りによるスルメイカの1~4月中旬の累計水揚量は474トンで、前年同期の1割減に留まった(図6)。

富山湾の氷見等の定置網では、引き続きスルメイカの入網がみられ、他の地域よりはまとまった水揚げがみられた。しかし、富山湾の1~3月の累計水揚量(石川県側除く)は658トンで、前年・前々年同期の半分の量に留まった。(図7)。

2.今後の動向等について

日本海の隠岐諸島周辺では、4月に入り小型いか釣りにより、40尾入/発泡1箱5kg(体重約125g)のスルメイカも漁獲され始めた。このサイズは、生後6~7ヶ月と推定され、10~11月頃に発生した秋季発生系群に相当する。

水産研究・教育機構が山陰から九州北西部で昨年10~11月に合計79点で実施したスルメイカ稚仔(外套長1~3mm、ふ化直後)調査の結果によると、調査点あたりの稚仔採集個体数は0.33尾で、前年の0.62尾および過去10年平均の0.59尾を下回った(図8)。なお、資源量の多かった2000年代前半は2.0~3.0尾であった。この調査結果から見ると、不漁傾向はしばらく続くと見込まれる。

(水産情報部)

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