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2022年05月02日
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3月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1.近海竿釣り船の漁場

3月の近海カツオ竿釣り漁業の主漁場は前月から大きな移動はなく、奄美大島東方海域のA漁場(平均水温21.0℃)で、カツオ特大・大銘柄主体だった(図1)。全海域の延操業隻数は610隻(前年580隻)、平均漁獲量は3.4トン/隻・日(前年同期3.8トン/隻・日)で、前年より延隻数は多く、平均漁獲量は少なかった。奄美大島西海域のB・C漁場に中銘柄主体の漁場も形成されたが平均漁獲量は2.6~2.8トン/隻・日でやや少なかった。その他、沖縄南海域・伊豆諸島海域・小笠原南方海域ではキハダ主体となった。B・C漁場周辺海域の海面水温は、前月末は20℃台付近でカツオにとってはやや低めであったが(図2a)、3月下旬にかけて21~22℃に上昇した(図2b)。

2.水揚量と価格

3月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は1,813.5トン、1月からの累計は2,233.8トンで、前年(同月2,630トン、累計3,455.8トン)を下回った(図3、4)。漁場が伊豆諸島海域には形成されず、奄美大島周辺海域に集中した影響で、主な水揚港は鹿児島港となり、例年水揚げがある勝浦港は5.8トンと極めて少なかった(図4)。

全国平均価格は350円/kgで前年より高かったが、過去5年平均価格より安かった(図5)。水揚港が分散せず、鹿児島港に集中したことも影響しているとみられる。水揚港別では御前崎で平均994円/kgと高値、勝浦では日によって価格の変動が大きいが平均204円/kgで安値となっていた。

3.今後の見通し

4月に入っても依然として大型のカツオ主体の水揚げとなっているが、奄美大島西側を通り北上してきたとみられる中型カツオも種子島の西で漁獲され、鹿児島港に水揚げされている。高知県南方の黒潮内側域も徐々に水温が上昇しているため、種子島周辺から北上する中型カツオの漁場が期待されるが、4月中旬現在は黒潮周辺で大銘柄のカツオの漁場が形成されている。また、黒潮大蛇行内側の熊野灘でビンナガ漁場が形成されはじめ、近海竿釣り船の中には、ビンナガ主体に移行する船も増加する見込みだ。

(水産情報部)

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